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インバウンドマーケティングのススメ!“見込み顧客”の心をつかむコツ

今回のテーマは、マーケティングにおける最先端の概念「インバウンドマーケティング」についてです。

19世紀に近代資本主義が確立され、「マーケティング=販売戦略」の歴史がスタートして100年以上。

インターネットの登場と発展によって、長らくメインの方法として採用されてきたアウトバウンドマーケティングにかわって、インバウンドマーケティングが重視されつつあります。

しかし、「そもそもインバウンドマーケティングって何?」「どうやって進めていけばいいの?」という方も多いでしょう。

そこで、今回はインバウンドマーケティングの基本的な概念や考え方についてまとめてみました。

インバウンドマーケティングとは?

そもそも「インバウンドマーケティング」とはどのようなものなのでしょうか?

そして、「アウトバウンドマーケティング」との違いとは?

まずはそこからまとめてみましょう。

新聞広告や折り込みチラシ、テレビやラジオのCMといった不特定多数に向けた宣伝、また顧客になりそうな人を選んで送るダイレクトメールなど、「外に向けて出す(Outbound)」を基本としているマーケティングを「アウトバウンドマーケティング」といいます。企業が主導権を握り、消費者にアプローチする手法です。

アウトバウンドマーケティングの手法は、20世紀の大量生産・大量消費の時代では非常に効果的でした。

しかし、ユーザーニーズが多様化し、無数の商品が日々誕生する現代では、アウトバウンドマーケティングの手法が通用しづらくなってきています。

人が一日に目にする広告は3,000件を超えるといわれており、その中で記憶に残るのは3つしかないという意見もあります。広告予算を使い、多くのユーザーにアプローチすれば成果がでる、という時代ではなくなってきたのです。

そんな中、注目されているのが「インバウンドマーケティング」です。企業が主導権を握って、ユーザーへ届けるアウトバウンドマーケティングとは逆に、インバウンドマーケティングでは、ユーザーが主導権を握り、ユーザー自らの好みや考えで商品・サービスへの理解を深めていきます。ユーザー自らが「内に入ってくる(Inbound)」ことを基本にしているため、「インバウンドマーケティング」といわれています。

自社の商品やサービスを求める人々に見つけてもらう、企業が発信したいことではなくユーザーが知りたいことを発信し、理解を深めてもらう、そんなマーケティング手法です。

インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの違い

少し乱暴なたとえかもしれませんが、いわばアウトバウンドマーケティングは「企業が鉄砲を持ち、とにかく数を打って当たる」という考え方であり、インバウンドマーケティングは「ユーザーが鉄砲を持ち、自分の好きな商品・サービスを打ち落としていく。そのための玉や的を用意する」という考え方です。

では、インバウンドマーケティングについて、より具体的に見ていきましょう。

インバウンドマーケティングの効果

ユーザーのニーズが多様化する現代では、従来のアウトバウンドマーケティング効果を発揮しづらくなっています。なぜなら、インターネットが普及した今、多くの人は情報を与えられることを嫌い、能動的に探すことを好むからです。

では実際に、インバウンドマーケティングの考え方を取り入れ、ユーザーに見つけてもらう、ユーザーが知りたい情報を提供することを実施した結果、どのような効果が期待できるのでしょうか。

メリット:顧客獲得単価の削減される

インバウンドマーケティングは、アウトバウンドマーケティングと異なり、広告による顧客獲得に頼らない手法です。

インバウンドマーケティングの基本はあくまでも「ユーザーに見つけてもらう」「有益な情報を提供する」ことです。これらは無料で利用されているSNSや検索エンジンなどで自然と見つけられるものです。

もちろん、ユーザーに有益な情報を提供するには、コンテンツを作成する手間と費用がかかります。しかし、常に消化されている広告費と異なり、優れたコンテンツは企業の資産として残り続けるため、長期的に見ると費用対効果は高くなります。

インバウンドマーケティングのメリット: 顧客の獲得単価の削減

メリット:顧客ロイヤリティの向上する

自ら興味をもって探し、欲しい情報を手に入れた見込み客は、広告で集客した見込み客よりもロイヤリティが高い傾向にあります。

マーケティングを認知ステージ、興味関心ステージ、比較検討ステージ、成約ステージ、継続ステージに分けて考えてみましょう。インバウンドマーケティングを実施した企業では、それぞれのステージでの転換率(ユーザーが次のステージへ移行する割合)が非常に高くなる傾向にあります。

また、ユーザー自らが多くの情報を持っているため、成約後の継続率やアップセルへの反応も高く、LTVの向上にも効果を発揮します。さらにはカスタマーサポートの手間が減るなど、インバウンドマーケティング実施による効果は非常に多岐にわかります。

広告による集客は一過性なものになりやすく、検討段階が長いBtoBでは、適切なタイミングでアプローチすることが困難でした。しかし、インバウンドマーケティングではユーザーと長期的なロイヤリティを築くため、BtoB商材と相性がいいといわれています。

デメリット:効果が出るまでに時間がかかる

広告費を投入すればすぐにある程度の効果が見込めるアウトバウンドマーケティングと比べて、インバウンドマーケティングは効果が出るまでに時間がかかります。

ユーザーが自社のコンテンツを見つけてくれるまで、その商品・サービスを自らの意思で深く理解してくれるまで、ある程度長期的な視点に立って考える必要があります。

デメリット:費用対効果が予測しづらい

アウトバウンドマーケティングでは、かけた広告費に対する成果の予測が比較的容易でした。しかし、インバウンドマーケティングでは、いつ、どの程度の効果が出るのか、どんなコンテンツを公開すればどれだけのユーザーに届くのかが予測しづらい傾向にあります。

インバウンドマーケティングが話題になり、導入する企業が増えていますが、メリットだけでなくデメリットがあることも理解しておきましょう。理想としては、自社の業界でのポジションや製品ライフサイクル※1によっては、アウトバウンドマーケティングのほうが効果的な場合もあります。

理想としては、常にインバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの両方を検討し、「今のフェーズではどちらがいいのか?」、「ビジネス目標を達成するためにどちらが適しているのか?」を考えていきましょう。

製品ライフサイクル※1ある製品が市場に登場してから退場するまでのステージを表したマーケティング用語。導入期、成長期、成熟期、衰退期の4つの段階がある。

インバウンドマーケティングの進め方

インバウンドマーケティングの基本的な概念やメリット・デメリットがわかったところで、実際にどのように進めていくのかを見ていきましょう。

インバウンドマーケティングには効果的な型があり、それは以下の5つのステップに分かれています。

1.ユーザーを引き付ける

インバウンドマーケティングの基本は、ユーザーのほうから情報を探し出し、商品・サービスを見つけてもらうことです。広告のように情報を送り付けるわけではないため、魅力的なコンテンツが非常に重要になってきます。というより、魅力的なコンテンツ無くしてインバウンドマーケティングは始まりません。

インバウンドマーケティングを計画するときは、何よりもまず「ユーザーはどんな情報を求めているのか」を明確にしましょう。

ユーザーを引き付けるコンテンツを作成するコツは、「ユーザー主体のコミュニケーションを図ること」です。自社がどんなメッセージを伝えたいかは重要ではありません。徹底してユーザー目線のコンテンツが必要です。検索キーワードやSNSでの投稿から、「ユーザーは何をもとめているのだろう」、「ユーザーは何が知りたいのだろう」、「どんな答えを求めているのだろう」を考える。これが、インバウンドマーケティングにおける“魅力的なコンテンツ”です。

さらにソーシャルメディアでの拡散性も意識しておきましょう。ユーザーに見つけてもらうという意味では、通常の検索よりもソーシャルメディアが効果を発揮します。「このコンテンツはシェアしやすいか」、「SNSで話題になるか」を考えておくと、インバウンドマーケティングの成功確率が大きく上がります。

2.リードを獲得する

ユーザーを引き付けることに成功したら、次のステップでリード(見込み客)へと育成します。この段階では、ユーザーにさらなる価値を提供する見返りとして、ユーザー自身の情報を手に入れることが大切になります。

よくある例としては、メールアドレスを取得するために、PDFの小冊子ダウンロードコンテンツを提供することがあります。

ここでは、ユーザーを引き付けるコンテンツよりも、さらに魅力的で価値のあるコンテンツが必要です。始める前は、「そんな価値の高いコンテンツは考えられない」と悩むかもしれません。しかし、ウェブサイトやSNSでユーザーを引き付けることに成功したら、その過程でユーザーのさらに深いニーズが見つかることがあります。そのニーズに応えるコンテンツを提供しましょう。

3.リードを育成する

リード(見込み客)を獲得したら、顧客化に向けて育成していきます。ここでは、One to Oneマーケティングと呼ばれる考え方が重要になります。

One to Oneマーケティングとは、見込み客一人ひとりに対して適切な方法でアプローチし、1対1の関係を築く手法です。

一斉送信されたメールマガジンなどに対し反応するユーザーは多くはありません。一人ひとりに対して最適なタイミングで、最適なメッセージを送る必要があります。

見込み客が抱いている感情、置かれている状況は一人ひとり異なります。同じ商品を探していても、価格にしか興味がないユーザーもいれば、見た目にしか興味がないユーザーもいるでしょう。それをスマートフォンで調べている人もいれば、PCやタブレットで調べている人もいます。もちろん、生活習慣によって行動するタイミングも異なりますし、Twitterを中心に使う人もいれば、Instagramしか使わないという人もいます。

これまでは、こうしたユーザーの感情や状況を考慮せずに、全員に同じメッセージを送り、同じ手法でアプローチしていました。しかし、MA(マーケティングオートメーション)などのツールが進歩したことによって、One to Oneマーケティングが現実的なものになっています。

4.顧客化する

リードを育成したら、いよいよ顧客化する段階に入ります。育成が不十分な状態で販売を行うと、顧客が離れていってしまう可能性があるため、ここでも一人ひとりに最適なタイミングでアプローチすることが求められます。

MAでは、見込み客一人ひとりをスコアリングすることができます。ウェブサイトに訪問したら1点、メールマガジンの本文にあるリンクをクリックしたら3点、資料請求をしたら10点…などとユーザーの行動に点数を割り振ります。そして、30点に達したら販売促進メールを送る、などを設定しておけば、最も効果的なタイミングで販売を行うことができます。

現代のユーザーは、常に大量の情報を仕入れ、多くの商品・サービスを比較検討し、新しいものを発見しています。資料請求した段階では、まだ多くのユーザーが情報収集段階でしょう。

MAを活用すると、リードの獲得から育成、顧客化を高い精度で最適化できるため、インバウンドマーケティングの成果が大きく向上します。

5.満足させる

インバウンドマーケティングの最後のステージは、顧客を満足させることです。そして、この段階こそがもっとも重要で、ビジネスにおいて価値があります。

多くの営業やマーケティングの担当者は、顧客化した時点である程度満足してしまいます。しかし、顧客をフォローアップすることで得られるものは、追加購入やLTVの向上だけではありません。SNSや口コミが盛んな現代では、満足度が高い顧客こそが、新しいリードを獲得するための最大のチャネルになります。

インバウンドマーケティングでは、顧客との双方向なコミュニケーションが実現されます。そのため、顧客となった後も、細かなニーズの変化を知り、価値を提供し続けることが可能になります。

顧客に対し「さらに価値を提供するにはどうすればいいか?」、「もっと満足してもらうにはどうすればいいか?」を考え続けることこそが、インバウンドマーケティングを長期的に成功させる秘訣です。

インバウンドマーケティングのステップ

まとめ

今回は、インバウンドマーケティングについて、基本的な考え方や概念について紹介しました。

インバウンドマーケティングは、これまでのマーケティングの概念を大きく変えるものです。実際、インバウンドマーケティングの提唱者であるブライアン・ハリガンは、「マス・マーケティングは死んだ」とまで言っています。

実際には、まだまだ従来のマーケティング手法も十分効果を発揮するシーンもあるとは思いますが、インバウンドマーケティングがそれほど画期的であることも確かです。

少し前に、「コンテンツマーケティング」という言葉が流行しましたが、インバウンドマーケティングはコンテンツマーケティングの概念をより研ぎ澄ましたものと考えることもできます。

「サイトに載せるコンテンツ(テキストや画像、動画など)をより充実させることで、ネットユーザーの心をつかみましょう」というのがコンテンツマーケティングの基本ですが、これはインバウンドマーケティングをスムーズに進めるための基本でもあります。

インバウンドマーケティングは、ネットを利用する人の中でも特に自社が扱う商品、サービスに興味があると思われる“見込み顧客”に狙いを定め、リードの獲得、育成、満足度の向上を図るマーケティング手法です。

そう考えると難しく感じてしまいますが、「コンテンツマーケティングの延長線上にある」と考えれば、ハードルが下がるのではないでしょうか。

何はともあれ、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを提供できれば、ブログでもTwitterでもfacebookでも、LINE@でもいいのです。

今は全体像が見えなくても、まずは何か一つ、ユーザーにとって価値のあるコンテンツを発信することから始めてみてはいかがでしょうか。ユーザーにとって価値のあるコンテンツ、育成するために必要なコンテンツとアプローチ、顧客化のタイミングなどは、実際にやってみたら少しずつ見えてきます。