ジオターゲティングの仕組みとメリット、広告手法4選

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ジオターゲティングの仕組みとメリット、広告手法4選

近年では、ユーザーの位置情報を活用した広告のターゲティング、いわゆる「ジオターゲティング」と呼ばれる広告手法に注目が集まっています。
ジオターゲティングは、スマホや普及によって台頭してきた手法で、GPSやビーコンを使ってユーザーの位置情報を割り出し、広告を配信します。ジオターゲティングは、商圏内でのプロモーションが重要な実店舗はもちろん、特定の施設やイベントの参加者へのプロモーションにも使われ、様々な広告手法、媒体があります。

今回は、このジオターゲティングの仕組みやメリットについて解説しつつ、ジオターゲティングを活用できる広告媒体をいくつか紹介していきます。

ジオターゲティングとは

ジオターゲティング広告とは
ジオターゲティングのジオ(geo)とは、「土地」を表す英語で、その名の通り、土地を利用したターゲティングのことを言います。
ターゲティングには様々な種類があり、ユーザー属性ターゲティングでは年齢や性別などのデモグラフィック情報、インタレストターゲティングではユーザーのWeb上での行動履歴に基づいた興味関心によるターゲティングが可能です。他にもIPアドレスなどをもとにした企業ターゲティングなど、様々なターゲティング手法があります。
ジオターゲティングでは、ユーザーの位置情報を利用して、特定の場所にいるユーザーのみに広告を配信することができます。

ジオターゲティングの仕組み

ジオターゲティングの仕組みは、パソコンであればそのユーザーのIPアドレス、スマートフォンを使っているユーザーであればそのユーザーのGPSを利用してユーザーの位置を特定し、ターゲティングに活用します。最近はビーコンを利用する広告手法も増えてきました。

また、より広義のジオターゲティングとしては、ユーザーの現在地だけでなく、ユーザーが検索したことのある地名や、ユーザーが過去に滞在したことのある位置などもターゲティングに活用します。
これらの情報は、単なる位置情報としての意味だけでなく、広告配信においてはユーザーの行動を把握する上で大変重要な価値を持つものなのです。
例えばFacebook広告では、配信エリアを指定する際、「この地域のすべての人」「この地域に住んでいる人」「最近この地域にいた人」「この地域を旅行中の人」という項目を設定します。住んでいる人と旅行中の人は、同じエリアにいてもニーズが全く違うユーザーです。

ジオターゲティング 4つのメリット

ジオターゲティングのメリットとして最もわかりやすいのは、店舗ビジネスでWeb広告を出稿している場合でしょう。
店舗ビジネスでは、自社の店舗とユーザーとの距離が、ユーザーが来訪してくれるかどうかに大きく影響します。そのため、なるべく店舗に近い位置にいるユーザーに広告を表示させた方が、費用対効果も高くなるのが自然です。

ジオターゲティングを活用すれば、現在地が店舗と近いユーザーに向けてダイレクトに広告でアプローチすることが可能になります。
それだけでなく、ユーザーと店舗との実際の距離を広告上に表示して、ユーザーが店舗に来訪しやすいように誘導することもできます。
店舗に来訪する可能性が高い距離の近いユーザーにはアプローチを強化して来訪を促し、逆に来訪する可能性の低い距離の遠いユーザーにはアプローチを弱めることで広告費を削減できるという、両方の効果を併せ持つのがジオターゲティングの一番のメリットです。

また、もう1つのジオターゲティングのメリットとして、過去のユーザーの滞在地点を知ることで、ユーザーの趣味嗜好を知ることもできます。
例えば、特定の時刻に特定の場所に多くのユーザーが集まっていたことがわかれば、その場所で何らかのイベントが開催されていたことが推測できます。そのイベントの内容を知ることができれば、そこに滞在していたユーザーたちの趣味嗜好まで把握することができてしまいます。
イベントというのはあくまでわかりやすい例ですが、イベントではなくとも競合の店舗などに置き換えれば、自社のビジネスと同じ内容に興味を持っているユーザーの集まりであることがわかります。
そこまでわかれば、あとはそのユーザー群をターゲティングして広告配信をすることで、自社の店舗に来訪する可能性の高いユーザーたちにアプローチすることが可能になります。
ユーザーの位置情報から、趣味嗜好まで知ることができてしまうというのが、ジオターゲティングの2つ目のメリットです。

さらに、ジオターゲティングの3つ目のメリットとして、ジオターゲティングが利用する位置情報という情報は、ユーザーにとっては比較的個人情報であるという意識が薄く、心理的障壁が低いということが挙げられます。
例えば、マップアプリや乗り換えアプリを利用する際は当たり前のように位置情報を利用しますが、このとき自分の個人情報が利用されていると感じるユーザーはほとんどいないでしょう。
このように、ユーザーの位置情報というデータは、他のデータと比べて、自分の個人情報が利用されているという意識をユーザーが抱きにくいため、ジオターゲティングが活用された広告を見た時に、ユーザーが比較的嫌悪感を抱きにくいのです。
ただでさえターゲティング広告に対して嫌悪感を抱くユーザーが増えてきている世の中ですから、その中で嫌悪感を抱かれにくいというのは、ジオターゲティングの大きなメリットと言えるでしょう。

最後に、ジオターゲティングの4つ目のメリットとして、ユーザーの興味・関心がわからなくても位置情報から行動パターンさえ知ることができれば、そこから興味・関心を類推することができるということが挙げられます。
これは実際に実証研究が行われて論文にも書かれていることなのですが、ある地域を一定の区画に区切り、そこに住んでいるユーザーたちの行動データを計測したところ、同じタイミングに同じ区画に居合わせたり、同じ経路を通ったりと、似通った行動パターンを見せたユーザー同士は、似通った購買行動を取る傾向が非常に強いことがわかっています。
そのため、位置情報さえ入手することができれば、それだけでユーザーの購買行動まで知ることができてしまうのです。
位置情報というデータの入手の容易さと、ユーザーの購買行動というデータの入手の難しさを比較すれば、これがどれだけ画期的なことかわかることでしょう。

このように、位置情報を最大限活用することで、位置情報だけでなく購買行動という別のデータまで手に入れることができてしまうというのが、ジオターゲティングの4つ目のメリットです。

ジオターゲティングが使える広告手法4選

ジオターゲティング広告の仕組みやメリットが分かったところで、実際にジオターゲティングが活用できる広告媒体について解説していきます。
ジオターゲティングは多くの広告手法が対応していますが、その粒度や精度、ターゲティングの角度は様々です。

ジオターゲティングが使える広告媒体①Facebook広告

ジオターゲティングが使える広告媒体①Facebook広告
1つ目は、Facebook広告です。Facebook広告といえば、Facebookが保有する膨大なユーザーデータを元にしたきめ細やかなターゲティングが強みですが、実はジオターゲティングの面でも他の媒体と比べて抜きんでています。
まず、配信地域の指定として、特定の住所を中心とした半径〇km、といったような指定の方法が可能で、これは日本全国どこでも指定ができます。
逆に、同じような方法で除外地域を指定することもできるので、非常に細かく配信地域を指定することも可能になっています。
この配信地域の指定は、基本的にはユーザーのGPS情報を利用して広告配信の有無を決定するものですが、これに加えてさらに、この地域に住んでいる人、最近までいた人、旅行中の人など、様々な設定を行うことが可能です。旅行中の人というターゲティングは、その地域の観光業にとってはまさしくターゲット層なのではないでしょうか。逆にスーパーなど旅行中の人があまり立ち寄らないビジネスの場合は、住んでいる人だけに広告配信することができます。

これらの設定は、Facebookが持つ膨大なユーザーデータと機械学習アルゴリズム、またユーザーごとの投稿の内容などから判断されているため必ずしも正確なものとは限りませんが、非常に細かく設定ができます。ニッチなターゲティングを行いたい場合であっても、Facebook広告であれば不足ないターゲティング設定が行えることでしょう。

ジオターゲティングが使える広告媒体②Google広告

ジオターゲティングが使える広告媒体②Google広告
Google広告はWeb広告をけん引する存在ですが、ジオターゲティングも優れています。Facebook広告と同じく、Google広告もでも特定の住所を中心として半径〇km、といった形での配信地域の指定が可能になっています。

また、店舗ビジネスに嬉しい機能として、Googleマイビジネスと連携することで、Googleマイビジネスに登録されている住所を中心に半径〇km、という一括設定も可能です。
全国に店舗を構えている場合など、店舗ごとに配信地域を指定するのは非常に骨の折れる作業ですが、Googleマイビジネスに店舗情報の登録さえしてあれば、GoogleマイビジネスとGoogle広告を連携させることで一括で配信地域を指定することができるます。ぜひ利用してみてください。

また、Google広告は、指定した配信地域ごとに入札価格の偏差をつけることができるため、店舗に近いエリアほど入札価格を高くしたり、注力エリアは入札価格を高くして配信を強化したりといった、細かい設定を行うことも可能です。
ただし注意事項として、目標コンバージョン単価制などのスマート自動入札を利用している場合、地域ごとの入札価格の偏差は無効化されて自動入札に上書きされてしまいますので、スマート自動入札を利用する場合はお気を付けください。

Google広告が持つジオターゲティング機能の一番の強みとしては、ローカル検索広告が挙げられます。
ローカル検索広告とは、Google広告に用意されている広告メニューのひとつで、店舗ビジネスに特化した機能を持った配信方法です。ローカル”検索広告”という名前の通り、検索(リスティング)広告のひとつでもあります。
ローカル検索広告は、ユーザーの位置情報(GPS)と、あらかじめ登録しておいた店舗の住所や電話番号などの情報を紐づけて、自社の店舗の周辺でインターネットを利用していたり、自社の店舗の周辺地域について調べていたりするユーザーに対して広告を出すことができます。
しかも、検索広告だけではなくGoogleマップにも広告を掲載できます。飲食店であれば、「居酒屋 難波」などとGoogleマップで検索するユーザーに広告を掲載できるわけです。

ジオターゲティングが使える広告媒体③GeoLogic Ad

ジオターゲティングが使える広告媒体③GeoLogic Ad
続いて紹介するのは、GeoLogic Adというスマートフォンユーザーの位置情報に基づいた広告配信を行うDSP広告です。GeoLogic Adには大きく2つのジオターゲティングに特化した広告メニューがあり、その他にも様々なジオターゲティングを活用した広告メニューが存在します。

まず1つ目の広告メニューは、スマホオリコミです。スマホオリコミは、ユーザーの位置情報を利用して、店舗の周辺に「今いる人」「過去に居たことがある人」「住んでいる人」のスマートフォンへ、チラシ配りの感覚で低コストで広告配信が可能なサービスです。
スマホオリコミは、「だれ」「いつ」「どこ」の3つの条件を組み合わせて配信対象のユーザーを指定し、簡単に広告配信が可能なので、Web広告の知識がなくても安心なのが特長です(例:大阪府大阪市浪速区湊町2-1-7の半径1km以内に過去180日以内に訪問した人)。

また、スマホオリコミには、最低出稿金額が30万円からという条件付きではありますが、出稿に必要な設定を全てお任せできるプレミアムサービスもあります。どう出稿するのが最適か全くわからないという方は、こちらの利用も検討してみるといいかもしれません。

2つ目の広告メニューは、ジオゲノムターゲティングです。ジオゲノムとは、GeoLogicが独自に収集・分類した地理情報のデータベースで、どの住所にどのような人々が住んでいるのかを独自開発のエンジンが分析し、36の地域クラスターに分類した「ジオデモグラフィックデータ」を活用したターゲティングを行うことができます。
この36の地域クラスターの中には、「超高級住宅地のエグゼクティブ」「子育てマイホーム」「超高齢化が進む農村」などがあり、これらのクラスターと、ユーザーの位置情報を紐づけることで、ユーザーをプロファイリングします。
このデータに基づき、ユーザーの購買行動を予測し、ターゲットとして合致するユーザーだけをターゲティングして広告配信を行うのが、ジオゲノムターゲティングです。
この「ジオデモグラフィックデータ」のような独自データを保有しているのはGeoLogicだけですので、他の広告媒体では不可能な精緻なターゲティングを行えることでしょう。

その他の広告メニューとしては、電車の路線情報を利用したジオターゲティングや、マンションターゲティング、オフィスターゲティングなど、一口にジオターゲティングと言っても様々でユニークなターゲティング手法を活用することができます。

ジオターゲティングが使える広告媒体④AIGeo

ジオターゲティングが使える広告媒体④AIGeo
最後に紹介するジオターゲティング広告は、AIGeoです。
AIGeoは、4500万人以上のユーザーの位置情報を蓄積していて、その膨大な位置情報を活用したジオターゲティングを行える広告配信プラットフォームです。

「AIBeacon」はBluetooth、Wi-Fiの両方で位置情報を取得できます。ユーザーが「AIBeacon」の通信範囲内でBluetoothかWi-Fiをオンにしていれば、検知することができます。自分の店舗にAIBeaconを設置すれば、店舗の近くの人にプッシュ通知を出したり、AIGeoを見て来店した人が何人いたかを測ることもできます。

また、AIGeoは、Google広告とデータ連携を行って、Googleと共同でシステム開発を行っていることから、Google広告との親和性が非常に高いことも特徴です。Google広告で出稿を行っている方には、特にオススメできるジオターゲティングプラットフォームと言えるでしょう。
当然広告配信先にはGoogle広告の配信枠が含まれています。それ以外にもInstagramやLINEなどのSNS、クックパッドやShufoo!といったアプリにも配信できます。

ジオターゲティングが可能な広告媒体4選まとめ

今回は、近年注目が集まっているジオターゲティングに焦点を当てて、ジオターゲティングの仕組みと4つのメリットを解説し、またジオターゲティングが活用できる代表的な広告手法を4つ紹介しました。

ジオターゲティングのメリットについておさらいしますと、まず1つ目に、店舗ビジネスでWeb広告を出稿している場合に店舗から近いユーザーには強く、店舗から遠いユーザーには弱く、というように位置情報に基づいて広告施策の調整ができるため、広告の費用対効果を高められることが挙げられます。
2つ目に、過去のユーザーの滞在地点を知ることで、ユーザーの趣味嗜好を知ることができる点が挙げられます。競合他社の店舗や、自社のビジネスと関連性の高いイベントの開催地など、自社に興味・関心を持っている可能性の高いユーザーが集まりやすい地域をターゲティングすることで、効果の高いターゲティングが期待できます。
3つ目に、位置情報というデータの特性として、他のデータと比較して個人情報という意識を抱かれにくく、心理的障壁が低くなりやすいという点が挙げられます。
ターゲティング広告に嫌悪感を抱くユーザーであってもジオターゲティングに対しては位置情報という簡単なデータしか使っていない分嫌悪感を抱かない可能性が高く、クリック率の向上が期待できます。
4つ目に、位置情報から得られる行動データから、購買行動の傾向を類推することができるという点が挙げられます。

このように、ジオターゲティングには非常に多くのメリットが存在します。
そのメリットを活用することができる広告媒体の代表例が、Facebook広告、Google広告、GeoLogic Ad、AIGeoの4つです。
位置情報から購買行動や興味関心を類推する方法については、GeoLogic Adが非常に優れています。GeoLogicは国税調査に基づいて子どもの年齢によるターゲティングが可能な「PTA」という広告メニューもあります。

Facebook広告とGoogle広告は、ジオターゲティングに限らずWeb広告で広く使われる代表的な広告媒体ですので、まずはこの2つの媒体から利用してみるのがよいのではないでしょうか。
皆さんもぜひ、これらの媒体を利用してジオターゲティングを活用してみてください。