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Google広告を運用していく上で、必ずと言っていいほど迷わされるのが、「入札戦略」をどれにするのが一番いいのかという問題でしょう。
Google広告で新しくキャンペーンを作るときには、大抵の場合、「自動入札」と呼ばれるいくつかの入札戦略の中からGoogleが推奨されるものが自動で選択されますが、本当にそのままの設定で大丈夫なのか、手動にした方が成果が出せるのではないか、と疑ってしまう人も多いはずです。
しかし、Googleも自動入札の利用を推奨しており、「Google広告がこの1年間でリリースした41個の機能アップデート」でも自動入札関連のアップデートが多くありました。
どんなときでも絶対に一番良い入札戦略というものはありませんが、最適な入札戦略を選ぶためには、まずは入札戦略そのものについて知ることが大切です。
今回は、Google戦略の入札戦略それぞれについて解説しながら、特に「スマート自動入札」と呼ばれる3つの入札戦略についてスポットを当てていきます。
Google広告の入札戦略とは
入札戦略とは、Google広告において、広告を出稿するためのオークションに参加するときの入札単価の決め方のことです。入札戦略はキャンペーン単位で設定することができます。
Google広告に代表されるWeb広告は、広告主が上限入札単価を設定し、その入札単価で他の広告主とオークションに参加して、より高い単価で入札した広告が表示されるという仕組みになっています。
この最も基本的な入札方法を主に手動入札と呼び、Google広告では「個別のクリック単価」という名前の入札戦略になっています。
Google広告の入札戦略には、以下の8種類があります。
- 個別のクリック単価
- 拡張クリック単価
- 目標コンバージョン単価
- 目標広告費用対効果
- コンバージョン数の最大化
- クリック数の最大化
- 目標インプレッションシェア
- 視認範囲のインプレッション単価
手動入札:人の手でコントロールしたい広告主向け
Google広告の8種類の入札単価のうち、「個別のクリック単価」「拡張クリック単価」の2つが、手動入札と呼ばれる入札戦略です。
手動入札では、広告グループ単位、またはキーワード単位で広告主が手動で上限入札単価を設定します。
「個別のクリック単価」と「拡張クリック単価」の違いは、ここで設定する上限入札単価が、完全に固定されているか、ある程度の柔軟性をもって変動するかどうかです。
「個別のクリック単価」では、上限入札単価は完全に固定されますので、この上限入札単価を上回る単価で入札されることはありません。反対に、入札単価が下がってオークションに参加できなくなるということもありません。
すべて人の手で管理したいという方におすすめの入札戦略です。
「拡張クリック単価」は、上限入札単価を決めるのは広告主ですが、ここにプラスして、オークションが発生するたびに自動で入札単価を微調整します。
コンバージョンする見込みが高いユーザーに対しては、上限入札単価を多少上回ってでも積極的に入札し、逆に見込みが低いユーザーに対しては、入札単価を下げて消極的に入札します。
人の手でコントロールできる範囲を確保しつつも、機械学習の恩恵も受けられるのが「拡張クリック単価」です。
この2つの入札戦略は、今ではGoogleは推奨しておらず、これから解説する自動入札に移行することを積極的に奨励しています。
自動入札:広告運用の手間を減らしたい広告主向け
残る6種類の入札戦略は、自動入札と呼ばれる、Googleが自動で上限入札単価を設定してくれる入札戦略なのですが、この自動入札の中にも「通常の自動入札」と「スマート自動入札」という2つの区分が存在します。
「通常の自動入札」というのは、「クリック数の最大化」「目標インプレッションシェア」「視認範囲のインプレッション単価」の3種類を指します。
「クリック数の最大化」は、文字通り、予算内で最大のクリック数を獲得することを目指す入札戦略です。予算を全て使い切った上でクリック数をできるだけ多くしようとするので、低いクリック単価で広告を出稿できます。コンバージョンの獲得よりも、認知拡大を目的とした出稿に適しています。
「目標インプレッションシェア」は、目標とするインプレッションシェアの割合を定め、それを達成できる最小の単価で入札を行う入札戦略です。
クリック単価を低く抑えるという点では「クリック数の最大化」と同じですが、こちらは目標設定によっては2位、3位に表示されることもあるため、予算を使い切るとは限りません。
「視認範囲のインプレッション単価」は、ディスプレイ広告専用の入札戦略で、広告がユーザーの視認範囲に表示されたときだけ、インプレッション単価制でコストが発生する入札戦略です。
ここで言う「視認範囲」とは、「広告の面積の50%が表示された状態」を指すので、全て見えている状態とは限らないことに注意が必要です。
スマート自動入札:Googleが推奨するコンバージョン獲得のための入札戦略
最後にスマート自動入札です。
スマート自動入札は、「目標コンバージョン単価」「目標広告費用対効果」「コンバージョン数の最大化」の3種類があり、Googleの機械学習を駆使した高度な入札調整が可能な入札戦略です。
通常の自動入札は、自動ではありますが機械学習はほとんど使われておらず、単に入札調整の工数を減らすためのものです。
対するスマート自動入札は、Googleが保有する膨大なデータを元に、オークションごとに機械学習が稼働し、あらゆるパラメータを考慮して入札単価を設定してくれます。
Googleのデータでは、これらスマート自動入札を使うことで、従来の手動入札よりも遥かに高いパフォーマンスを発揮できるとされており、利用が強く推奨されています。
スマート自動入札①:目標コンバージョン単価
「目標コンバージョン単価」は、恐らく最も多く利用されている入札戦略でしょう。
新しいキャンペーンを作るとき、大抵の場合は、この入札戦略がデフォルトで設定されます。
この入札戦略は、コンバージョン1回あたりにかけてもいいコストを広告主が設定し、その範囲内でできるだけ多くのコンバージョンの獲得を目指す入札戦略です。
広告でいくら商品が売れたとしても、広告費がかさみすぎて利益が出なくなってしまっては意味がないので、コストを最小化して利益を確保しながらコンバージョン数を増加させることができる点が便利と言えます。
スマート自動入札②:目標広告費用対効果
「目標広告費用対効果」は、ECサイトなど、コンバージョンによって得られる売上にバラつきがある場合に使える入札戦略です。
「目標コンバージョン単価」は、その内容が何であれ、コンバージョン1件として扱いますので、もし自社サイトで100円の商品と1万円の商品を販売していた場合、低単価でコンバージョンを獲得できる100円の商品ばかり売ってしまうことが考えられます。
それに対して、「目標広告費用対効果」は、コンバージョンによって得られる売上を考慮して、費用対効果を最大化する入札戦略です。
多くの商品をバランスよく売りたい場合は、「目標コンバージョン単価」よりもこちらの方が適しています。
スマート自動入札②:コンバージョン数の最大化
「コンバージョン数の最大化」は、文字通り、予算の範囲内でできるだけ多くのコンバージョンを獲得しようとする入札戦略です。
「目標コンバージョン単価」と似ていますが、実際に中身のアルゴリズムはほとんど同じと言われています。
コンバージョン単価を上限とするのが「目標コンバージョン単価」、予算を上限とするのが「コンバージョン数の最大化」という違いがあります。
利益を度外視してでもとにかくたくさんのコンバージョンを獲得したい場合には、「コンバージョン数の最大化」が最適と言えるでしょう。
機械学習を上手に使いこなすスマート自動入札の調整方法
スマート自動入札は、機械学習によって調整される入札戦略ですが、そのアルゴリズムは非公開で、そもそも機械学習が何なのかよくわからないという方も多いでしょう。そのため、調整方法がわからずパフォーマンスが悪化してしまい、手動入札に切り替えてしまうというのはよくある話です。
Googleの推奨としては、スマート自動入札の最初の学習期間は「2週間」を想定すべきとしています。
それまでにコンバージョンのデータが豊富に蓄積されていれば学習期間を短縮することもできますが、いずれにせよ1週間程度は様子を見る必要があります。
スマート自動入札を導入してから目標設定を調整する場合なども、頻繁に設定を変更してしまうとそのたびに学習がやり直しになってしまい、本来の成果が得られなくなってしまいます。
安定して高いパフォーマンスを発揮させるためには、目標設定の変更は数日から1週間程度空けるようにして、学習が完了するのを待つようにしましょう。
それでもパフォーマンスが良くならないという場合は、そもそも無茶な目標設定になっていたり、データの蓄積が不十分であったりという理由が考えられます。
その場合は、一旦手動入札に切り替えて人の手で運用を行い、十分にデータを蓄積させてからスマート自動入札を導入すると、スムーズに学習を進めることができます。
Google広告スマート自動入札の設定方法
Googleも推奨するスマート自動入札の役割や活用方法が分かったところで、実際の設定方法を見ていきましょう。入札戦略はGoogle広告のキャンペーンごとに設定します。管理画面からすぐに設定できるので、簡単にスマート自動入札に切り替えることができます。
STEP1:キャンペーンの作成
既存のキャンペーンの入札戦略を変更することもできますが、今回は新しいキャンペーンに設定する方法を紹介します。
まずはGoogle広告のキャンペーンから新規キャンペーンを作成しましょう。
キャンペーンを作成する手順はこれまでと同じです。キャンペーンタイプや目的を選択して次に進みます。
STEP3:入札単価を設定
キャンペーンの設定を進めると「入札単価」という項目があります。デフォルトでは重視している要素として「クリック数」が選択されています。この場合、「クリック数の最大化」という入札戦略が適応されます。
重視している要素を変更することで別の入札戦略に切り替えることもできますが、今回は「または、入札戦略を直接選択します」をクリックしましょう。
(非推奨)とありますが気にする必要はありません。Google広告は「重視している要素は何ですか?」という質問に答えてもらうことで、入札戦略を選びやすくしているだけです。選択肢や設定内容、機能に差はありません。
STEP3:入札戦略の内容を入力
「または、入札戦略を直接選択します」をクリックすると「入札戦略を選択してください」という項目がデフォルトで「クリック数の最大化」になっています。
ここをクリックすると、「目標コンバージョン単価」など様々な自動入札機能を選択できます。
今回は利用機会の多いスマート自動入札である「目標コンバージョン単価」を選択してみましょう。すると目標コンバージョン単価を入力する欄が出てくるので、ここに任意のコンバージョン単価を入力します。
なお、目標コンバージョン単価を設定するにはすでにアカウントのコンバージョン設定が完了している必要があります。
Google広告の入札戦略はどれを選べばいい?まとめ
Google広告の8種類の入札戦略と、Googleが特に推奨するスマート自動入札の扱い方について解説してきました。
入札戦略は、広告運用の方針を決める鍵にもなる大変重要な設定ですので、あらかじめそれぞれの入札戦略の特徴をよく理解して、目的に応じた適切な入札戦略を使いこなせるようにしておきましょう。
同じ自動入札でも、特徴を理解した扱いができているかどうかで成果が大きく変わってくるはずです。
ぜひ今回解説した内容を広告運用に活用してみてください。