WEBマーケティング用語集-アクセス解析Part1

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WEBマーケティング用語集-アクセス解析Part1

Webサイトで何が起こっているかを知り、適切な運営と改善を行うには、アクセス解析が欠かせません。

Googleアナリティクスをはじめ、無料でも詳細な分析ができるツールが普及したことにより、ほとんどのサイトでアクセス解析が行われています。アクセス解析ツールを活用すると、Webサイトで起こる様々なことを数値化、視覚化できるため、Webサイトの改善・運営はもちろん、関係者間の共通言語となり、認識の統一にも役立ちます。

しかし、高機能なアクセス解析ツールが普及したことにより、使いこなせていなかったり、指標の意味を正確に把握できなかったりといったことが発生します。アクセス解析ツールを導入し、レポーティングを行ったにもかかわらず、間違った結論を出してしまったりすることが頻繁に起こります。

そこで今回は、アクセス解析で用いられる様々な用語の定義、活用方法をご紹介します。

なお、セッションなどツールによって定義が異なる用語については、原則としてGoogleアナリティクスの定義を用いています。

ビーコン型

アクセス解析ツールは「ビーコン型」「パケットキャプチャ型」「サーバーログ型」の3つに分けられます。ビーコン型は、Webサイトに「Webビーコン」と呼ばれるタグを設置し、そのタグが読み取る情報をもとに解析するツールです。無料で利用できるツールも多く、最も普及している解析ツールの種類です。

メリットとしては、同じタグを設置すればドメインやサーバーが異なる場合でも計測できることや、原則としてどんなWebサイトでも利用できることがあります。また、キャッシュデータ(ユーザーのブラウザに保存されているデータ)を読み込み、サーバーとの通信が発生しない場合でも解析を行うことが可能です。

パケットキャプチャ型

Webサーバーに流れるトラフィックを監視し、その状況を解析するタイプのアクセス解析ツールをパケットキャプチャ型といいます。Webサイトを閲覧する際、ほとんど必ずサーバーとの通信が発生します。その状況を解析するため、リアルタイムなデータを取得することが可能です。

また、Webサーバーと別にアクセス解析用の「パケットキャプチャサーバー」を使用するため、複数のサーバーに分けられたサイトでも解析できます。大量のアクセスでも解析できるメリットがある一方、解析専用のサーバーを用意するため導入費用が高くなりがちです。

サーバーログ型

サーバーログ型は、Webサーバーに記録されたアクセスログファイルをもとに解析を行います。もともとはWebサーバーの監視用に作られたツールですが、アクセス解析にも使えるように進化しました。

タグが読み込まれたときに計測されるビーコン型の場合、タグが設置できないPDFページや、ページの読み込みができなかったサーバーエラーなどを計測することができません。しかし、サーバーログ型では、PDFやエラーの計測はもちろん、オートページャー(スクロールでページ読み込まれる仕組み)も計測できます。

一方で、サーバーに残らないキャッシュやユーザーのデータは解析できないため、ユーザーの動向が見えづらいことがあります。

PV(ページビュー)数

PV(ページビュー)とは、Webサイトの特定のページが閲覧された回数を表します。Webサイトがどれくらい閲覧されているかを測るうえで最も一般的な指標です。1人のユーザーが1週間に3回Webサイトを訪れ、毎回4ページ閲覧したとすると、ユーザー数は1、セッション数は3、ページビュー数が12となります。

ページビュー数だけでは有効な指標ではありませんが、セッション数やユーザー数と組み合わせることで、Webサイトの課題が見えてきます。

セッション数

セッション数は「訪問数」と呼ばれ、ユーザーが訪問した回数を表します。より正確には「サイトに流入してから離脱するまでの一連の流れ」を表します。1人のユーザーがWebサイトを訪れ5ページを閲覧し、3日後にもう一度訪問し7ページ閲覧した場合、PV数は12ですが、セッション数は2になります。

Googleアナリティクスでセッションが切れる定義は以下の3つです。

  • 30分間作業が行われなかった場合
  • 参照元が変わった場合
  • 日付をまたいだ場合

参照元が変わったときにセッションが切れるため、例えば、WebサイトからオフィシャルTwitterへ遷移し、ツイートのリンクから再度Webサイトに戻ってきた場合、一連の流れといえますが、セッション数は2になります。

同一ユーザーが以下の図のような行動をとった場合、ユーザー数は1、セッション数は5(赤枠部分)、PV数は12となります。

セッション・ユーザー・PVの定義

UU(ユニークユーザー) 数

UU(ユニークユーザー)は、特定の期間に訪れたユーザーの数を表します。単に「ユーザー」ということもありますが、より正確にユニークブラウザということもあります。これは、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールが、ユーザーをクッキーで識別しており、同じユーザーであっても異なるデバイス、異なるブラウザでアクセスした場合は、別のユーザーとカウントされるためです。

UU数で解析する場合は、あくまでも特定の期間に対するユーザー数であることに注意する必要があります。1月のユーザーが50,000人で、2月のユーザー数が60,000人だった場合、1月と2月の合計ユーザー数は110,000人になるわけではありません。1月にアクセスしたユーザーが2月にもアクセスした場合、月別のユーザー数は2になりますが、合計のユーザー数は1になります。

新規(New Visitor)

新規は、特定期間においてはじめてサイトへ訪問したユーザーのセッションを表します。新規か否かの判定はクッキーで行っており、リピーターであっても、クッキーが異なるまたは削除された場合は新規にカウントされます。

新規・リピーターの計測

また、新規・リピーターによる解析を行う場合には、対象期間に注意する必要があります。上記の図の場合、新規は2、リピーターは4となります。もしも1月1日から1月5日までで計測した場合は、新規が4、リピーターは5となります。短い期間で計測すると、新規の割合が事実とずれてくることがあります。

リピーター(Returning Visitor)

過去にサイトに訪問したことがあるユーザーのセッションはリピーターとして記録されます。新規と同じくセッション基準の指標です。新規、リピーターを、「新規ユーザー」「リピートユーザー」といわれることがあるため注意が必要です。

新規・リピーターの解析では、数よりも割合が重要になるため「新規セッション率」という指標を頻繁に使います。

平均セッション時間、平均ページ滞在時間

滞在時間は、ユーザーがどこくらいの時間Webサイトに訪れていたのかを表す指標です。一回のセッションでの滞在時間を「平均セッション時間」、特定のページでの滞在時間を「平均ページ滞在時間」といいます。

Googleアナリティクスで滞在時間を解析する際、最後のページ(離脱ページ)の滞在時間が計測できないことに注意が必要です。Googleアナリティクスでは、そのページに訪問した時間と次のページに訪問した時間の差で滞在時間を計測します。そのため次のページがない離脱ページでは、滞在時間が計測できません。

離脱数・離脱率

ユーザーがWebサイト内で次のページに進まず、他のWebサイトへ移動したり、ブラウザを閉じたりすることを「離脱」といいます。また、特定のページにおいて離脱された数を「離脱数」、特定のページの離脱数をそのページのPV数で割ったものを「離脱率」といいます。

離脱率の良し悪しはページの役割によって変わります。例えば、サンクスページの場合は離脱率が高くても問題ないでしょう。また、Q&Aページについても、疑問が解決されたため離脱したと判断できるため、離脱率が高い=改善の必要があるとは言い切れません。

直帰数・直帰率

Webサイトを訪れた際、他のページに移動することなく離脱した場合を「直帰」といいます。特定のページにおいて離脱された数を「直帰数」、特定のページでの離脱数をそのページのセッション数で割ったものを「直帰率」といいます。

「離脱」はPV基準の指標ですが、「直帰」はセッション基準の指標です。

直帰率・離脱率の計測

上記の図の場合、P2は離脱数2、直帰数1となります。直帰も離脱に含まれることに注意してください。そのため、離脱数が多いページを分析してみると、実際は直帰が多いというケースがあります。離脱と直帰では改善方法や良し悪しの考え方が異なるため、両方の数値を見る必要があります。

また、離脱はPV基準、直帰はセッション基準で計測するため、離脱率、直帰率の計算にも注意が必要です。P2の場合、PV数は5ですが、セッション数は4になります。

加重直帰率

直帰率が高いページは、ユーザーのニーズとマッチしていない可能性があるため、コンテンツ改善の指標として使われます。しかし、Googleアナリティクスで、直帰率の高い順に並べると、ページビューが極端に少なく離脱率100%のページが上部に表示されることが良く起こります。しかし、PV数が10で離脱率100%のページAと、PV数が3000で離脱率85%のページBでは、ページBの方が改善の必要性が高いといえます。

直帰率を基準に、改善すべきページ(検索クエリや参照元でも同様です)を発見するには、「加重直帰率」という指標を用います。加重直帰率は以下の計算式で算出されます。

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直帰率 × (ページビュー数 ÷ 全体のページビュー数)

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全体のPV数を90,000とすると、ページAの加重直帰率は0.1%となり、ページBは28.3%となります。

加重直帰率はWebサイトの改善において価値の高い指標ですが、一つ一つ計算することは非常に手間がかかります。しかし、Googleアナリティクスには加重直帰率で並べ替える機能が付いています。直帰率順に並べ替えた状態で並べ替えの種類を「デフォルト」から「加重」に変更すると、加重直帰率の高い順に並べることができ、課題のあるページを発見しやすくなります。

Googleアナリティクス 直帰率の加重並び替え機能

回遊離脱率

サイト内を回遊したが、フォームなど一部の重要なページに到達しなかった割合を「回遊離脱率」という指標で表すことがあります。回遊離脱率は、ECサイトで商品を探したがカートには遷移しなかったユーザーの割合を知るときなどに使われます。

回遊離脱率は下記の計算式で算出されます。

―――

(フォーム到達数)÷(セッション数-直帰数)

―――

回遊離脱率は参照元やユーザーセグメント別に解析しても気づきが多くありますが、ランディングページ別に解析するとより良いランディングページの発見につながります。

まとめ

アクセス解析では、様々な指標、用語が用いられます。しかし、用語の正確な定義についてはあまり知られていません。アクセス解析は、Webサイトの運用・改善を行うため、数字データをもとに課題を発見します。そのためには、用語や指標が示すものを理解しておく必要があります。

今回はPVやセッションなど、評価を行う際の指標を中心に紹介しました。セッションの定義や離脱と直帰の違いなどは、Webに携わる人でも勘違いしていることがよくあります。また、加重直帰率や回遊離脱率等、Webサイトの課題発見に役立つ指標も紹介しました。

次回はランディングページや離脱ページといったコンテンツを分類する用語や、ディメンション、メトリクス等、Googleアナリティクスを使いこなすうえで欠かせない用語を紹介します。