主要SNS広告を徹底比較【LINE・Instagram・Twitter】

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主要SNS広告を徹底比較【LINE・Instagram・Twitter】

公開日:2019年12月24日 / 更新日:2020年9月30日

Web広告と言えばGoogleやYahoo!のリスティング広告が主流ですが、LINE・Instagram・TwitterといったSNS広告にも注目が集まり、年々存在感を増してきてます。
SNS広告はそれぞれのサービス内容に由来する、媒体ごとのはっきりとした強みを持っています。そのため、商品・サービスと広告媒体がマッチすれば非常に大きな効果が期待できます。

今回は、そんなSNS広告の特徴や強みを徹底比較してみます。
これからSNS広告を始めようとしている方はもちろん、Web広告自体が初めてという方にもSNS広告はおすすめできますので、ぜひ参考にしてみてください。

Webプロモーションの中心はSNSへ

Webプロモーションの中心はSNSへ

スマートフォンの普及とともに爆発的にユーザー数を増やしてきたSNS。インターネットを利用している人のほとんどは何かしらのSNSに触れている時代です。

特に、日本国内でユーザー数が多いのが、LINE、Instagram、Twitterの3つ。

各SNSの利用者数を見てみましょう。LINEの月間アクティブユーザー数(MAU)は2020年3月で8,400万人、Instagramは2019年6月3,300万人、Twitterは2017年10月から発表がありませんが4,500万人となっています。数字の上でもこれらSNSが日本国内で広く利用されていることがわかります。
SNSは人々の生活に浸透し、目にする広告もテレビCMや雑誌からWeb広告、SNS広告へと徐々にシフトしてきているのです。

SNS広告は、ディスプレイ広告と似ており、基本的には潜在層にアプローチする広告です。
リスティング広告と違い、ユーザーは自分から商品・サービスを探すというアクションを取っているわけではありません。ユーザーが友人とのコミュニケーションや情報収集のためにSNSを利用している中で広告を見せる、つまりユーザーの日常に入り込むため、温度感は低く、場合によっては嫌われる可能性さえあります。
SNS広告で成果を得るには、利用するSNSや自社の商品・サービスの相性はもちろん、SNS広告を見ているユーザーがどういった感情で広告を見ているかという点を念頭に置いて戦略を立てる必要があります。

主要SNSの利用傾向

広告プラットフォームとして無視できない存在になっているSNSですが、実際に利用しているユーザーはどういった層なのでしょうか。
SNSごとに利用者層は大きく異なるため、ひとつずつ見ていきましょう。

主要SNSの利用傾向①:LINE

LINEは、日本国内で爆発的に普及している、主にメッセージのやり取りをするためのSNSです。
ただメッセージを送るだけでなく、多種多様なスタンプを送り合ったり、無料で通話もできたりと、今まで携帯電話が担っていた役目のほとんどをLINEだけで、しかも無料で行えます。さらにLINE漫画やゲームアプリ、LINE PAY、LINEモバイルなど生活に必要な様々なサービスを展開しており、日本人の生活になくてはならないプラットフォームになっています。

そのため、年齢性別は日本人の統計分析とほぼ等しくなっています。
世代や地域にもあまり偏りが無く、インターネットに親しんでいる若年層はもちろん、50代以上の高齢層も多く利用しています。

メッセージアプリとしてほとんどのインターネットユーザーに浸透していますが、現在はLINE PAY、ニュースやクーポン、保険に投資まで、事業範囲を大きくし続けています。

また、LINEは2017年から「LINEデリマ」という名前でフードデリバリー事業を展開していましたが、2020年3月に出前館と完全統合しました。フードデリバリー事業は新型コロナウイルスの影響で大きく注目を集めましたが、Uber EatsやDiDi Foodを筆頭に様々な企業が参画し競争が激化しています。

LINEが持つ圧倒的なユーザー層を上手く取り込み、急成長中のフードデリバリー業界で「圧倒的なNo.1を目指す」狙いがあるようです。

このようにLINEはコミュニケーションだけでなく総合的なプラットフォームとして拡大を続けており、まだまだ成長途中のSNSといえます。LINE広告が出稿できる場所も以前は「LINE NEWS」「タイムライン」でしたが、現在はそれらに加え「トークリストの最上部」「LINEウォレット」「LINE漫画」「LINEポイント」「LINEブログ」「LINEチラシ」「LINEショッピング」と増え続けています。

主要SNSの利用傾向②:Instagram

Instagramは、写真や動画の投稿をメインとしたSNSで、若年層の女性の間で広く流行しています。
Instagramで「映える」写真のことを「インスタ映え(する写真)」と呼ぶのがブームになり、「インスタ映え」は流行語大賞にも選ばれました。最近では「映え」よりも日常のワンシーンのような自然な写真が人気になる傾向にあり、プロ並みの撮影技術がなくても活用しやすいSNSになってきました。

通常は、撮影した写真にコメントを添えて投稿するという使い方が主なのですが、ここ数年は「ストーリーズ」が非常に活発に利用されています。「ストーリーズ」とは、投稿から24時間経つと自動で消えてしまうサービスで、後に残らないというところが逆に気軽で良いと親しまれ、非常に広く利用されています。

また最近「リール」という新機能も登場しました。「リール」は15秒の動画を投稿でき、ストーリーズのように24時間経過しても消えません。今後どのように活用されるか注目が集まっています。

広告プラットフォームとして見ると、Facebookに買収されたことでFacebook広告と統合されており、Facebookが持つ膨大なデータを利用した広告配信が可能になっています。
「インスタグラマー」と呼ばれるInstagramをメインに活動するインフルエンサーも登場し、広告以外のプロモーションでもよく使われています。また、若い女性が中心ではありますが、年々男女差は縮まり、年齢層も幅広くなってきています。Instagram=若い女性という考えはもう古いかもしれません。

2016年のInstagram利用者年齢性別のデータ

2016年のInstagram利用者年齢性別のデータ。若干女性のほうが多いが年齢差は年々縮まっている。また利用者の年代も30代以上の割合が伸びている。

2019年のインスタグラム利用者の年齢性別データ

2019年のインスタグラム利用者の年齢性別データ。女性の割合が若干増えたが、30代、40代の利用者が増えていることがわかる。

画像引用元:【2019年11月最新版】Instagramのユーザー層と活性化する時間帯|SNSマーケティングや広告配信に生かせる知識をお届け

主要SNSの利用傾向③:Twitter

Twitterは、140字以内という短い制限が設けられた、「ツイート(つぶやき)」と呼ばれる投稿をメインとするSNSで、日本ではLINEに次ぐユーザー数を誇ります。
芸能人やインフルエンサーの利用も多く、自分から投稿するよりも有名人の投稿を見るために利用しているという人も少なくありません。
男女比はほぼ半々で、世代としては20代~30代が最も多く、10代からの支持も強いのが特徴です。またヘビーユーザーが多く一日の平均ログイン回数は7回にも上ります。

サービスとしての一番の特徴は投稿の拡散性の高さで、他人の投稿をそのまま自分のタイムラインにも流すことのできる「リツイート」機能によって、一度火がついた話題は一瞬にして拡散されていく情報の速さが特徴的です。
この機能を利用して、リツイートするだけで懸賞に応募できるキャンペーンなどがよく実施されています。
ユーザー数は多いものの、他のSNSと違って多角的なサービス展開や新機能の追加などが活発に行われておらず、成長性としては低い面があります。

主要SNSの広告媒体としての特徴

主要SNSの広告媒体としての特徴
LINE、Instagram、Twitterの主要SNS3つについて、利用者層や簡単な特徴を解説してきました。
ここまでは、基本的には「SNS」としての特徴の解説でしたが、ここからは、「広告媒体」としての特徴についても解説していきます。

主要SNSの広告としての特徴①:LINE

LINEの広告サービスは「LINE Ads Platform(通称LAP)」と呼ばれていましたが、2020年1月より「LINE広告」に変更されました。

LINE広告では、静止画と動画の2種類の広告が配信可能で、課金形態はクリック課金とインプレッション課金が選択できます。

媒体としての強みは、やはり日本国内における圧倒的な普及率でしょう。
SNSというと、どうしても若年層にユーザーが偏りがちなため、広告のリーチも若年層に偏りやすく、中高年にはなかなかリーチしづらいところがあります。しかし、LINEは中高年にも広く利用されているおかげで、SNS広告の弱みとなりやすい「中高年へのリーチ」が逆に強みとなっています。
加えて、LINEの展開するサービスのひとつである「LINEリサーチ」を活用することで、自社がLINE広告で配信している広告によって、自社に対するユーザーの意識がどれだけ変化したかというブランドリフト調査を行うことも可能です。
LINEが持つインフラとしての特性と、多彩なサービス展開の相乗効果によって、日本中のユーザーに対してまんべんなくアプローチができるのがLINE広告の一番の強みと言えるでしょう。

LINE広告の広告の配信面は、LINEが展開する様々なサービスはもちろん、LINE Ads Platform for Publishersという、LINEが提携するアプリなどのサービスにも広がっています。
実際に提携しているアプリとしては、チラシ閲覧アプリの「Shofoo!」などがあり、主婦層の女性に対しても強みがあります。
そのほかにもターゲティング機能など様々なアップデートが頻繁にある、注目の広告媒体です。

主要SNSの広告としての特徴②:Instagram

Instagramの広告は、Facebook広告と統合されています。そのため、広告媒体としての仕様はFacebookとほぼ同じです。
静止画と動画の2種類の広告が配信でき、課金形態は「CPM」「CPC」「CPI」「CPV」の4種類があります。

  • CPM…インプレッション課金。認知拡大に効果的。
  • CPC…クリック課金。自社サイトへの誘導や商品購入が目的の場合に効果的。
  • CPI…インストール課金。アプリのインストール数に対して課金される。
  • CPV…動画が10秒以上再生されると課金。認知拡大に効果的だが、CPMより質の高いリーチを獲得する場合に効果的。

媒体としての強みは、Facebookが持つ膨大なユーザー情報を用いた精度の高いターゲティングが可能な点と、全画面を占有するストーリーズ広告です。

SNS広告というと、ユーザーの興味・関心を利用したターゲティングが主流ですが、Facebook広告はその精度・自由度がずば抜けています。例えば、Instagramのターゲティングに使えるインタレストカテゴリの中には、「来月誕生日を迎える友人を持つ人」なんていう非常に具体的なものも存在します。
これは少し極端な例で、正直ターゲティング精度やリーチ力に疑問がありますが、他のWeb広告と比較しても細かなターゲティングが利用できます。
また、Instagram広告は、購買力の高い世代(20~40代)が多く、積極的に流行や趣味の投稿を見ていることも大きな強みになっています。Instagramの利用者層とターゲットがマッチし、さらにビジュアルで訴求しやすい商品のプロモーションであれば、Instagram広告を利用すればまず間違いありません。

LINEの強みがユーザー層の偏りのなさ、生活へ浸透したプラットフォームだとすれば、Instagramの強みはユーザー層の偏り、流行や趣味、いわば特別な瞬間を共有する場ということです。

SNSマーケティングを考えるとデモグラフィック(人口統計)特性だけでなく、ユーザーの心理特性や性質を考える必要があります。Instagramにはファッションや食事、体験など、なんらかの購買行動を伴った投稿が非常に多いという特徴があります。つまり、Instagramの利用者は流行に敏感で、購買意向が高く、さらに購買後にその体験をシェアしてくれる可能性が高いという性質が浮かび上がってきます。

このようにデモグラフィック特性だけでは測れないユーザーのセグメントを理解して使いこなせるようになれば、Instagram広告で大きな成果を上げることができるでしょう。

配信面としては、通常の画像の投稿の中に紛れるインフィード広告と、ストーリーズの形式で紛れ込むストーリーズ広告の2種類があり、どちらもユーザーの投稿に自然に溶け込むネイティブ広告となっています。ここ数年はストーリーズの利用が増え、広告の表示場所も8割以上がストーリーズになっています。ストーリーズでは広告クリエイティブが全画面を占有するため、的確な訴求を行えば高い訴求力、クリック率が期待できます。

主要SNSの広告としての特徴③:Twitter

Twitter広告は、他のSNS広告と比べると少々特殊な特徴を持っています。課金形態はリツイートやいいねなどに対する「CPE」、広告クリックに対する「CPC」、アプリインストールに対する「CPI」、動画再生数に対する「CPV」、インプレッションに対する「CPM」、フォロワー獲得数に対する「CPF」など様々なものが用意されています。
また、Twitter広告は「プロモツイート」と呼ばれる、ユーザーのツイートの中に紛れ込むネイティブ広告の形式を取っていますが、このプロモツイートそのものに対するエンゲージメント(一次拡散)には広告費が発生するものの、プロモツイートの引用へのリツイート(二次拡散)には広告費が発生しません。
複雑でわかりにくい仕組みですが、言い換えれば、ユーザーに拡散されればされるほど、エンゲージメントあたりのコストが小さくなっていくというメリットがあります。

Twitter広告の2次拡散の仕組み

Twitter広告の2次拡散の仕組み

Twitter広告の強みはターゲティングにもあります。Twitter広告に特有のターゲティングとして、「キーワードターゲティング」と「フォロワーターゲティング」があります。そのほかにも「テレビターゲティング」など、Twitterの利用傾向に合わせたユニークなターゲティングが可能です。

キーワードターゲティングは、リスティング広告に似た仕組みで、登録したキーワードを含むツイートをしたユーザーに対して広告を表示するターゲティング手法です。
リスティング広告は、検索するというアクションを起こした顕在層に対してリーチできる広告ですが、キーワードターゲティングは、検索はしていないもののそのキーワードを投稿するというかなり強い関心を持っているユーザーに対してリーチが可能です。

例えばGoogleで「転職 大阪」と検索するユーザーは転職を具体的に考えていると考えられます。一方、Twitterで「仕事 つらい」などと投稿している大阪のユーザーも、まだ具体的には考えていないものの転職する可能性が高いユーザーと考えられます。「転職 大阪」は採用を狙っている多くの企業が出港しているキーワードでかなり競争が激しいでしょう。しかし、「仕事 つらい」と投稿しているユーザーは同じニーズを持ちながらまだ競争にさらされていません。
このように、Twitter広告はリスティング広告でリーチできるユーザーのやや外側、競争が少ないユーザーにリーチできると考えるとよいでしょう。

もう一つの「フォロワーターゲティング」は、特定のアカウントをフォローしているフォロワーとその類似ユーザーに対して広告を表示できるターゲティング手法です。
このフォロワーターゲティングを活用し、自社の競合になっている企業のフォロワーをターゲティングしたり、自社と関連性の高い領域で活動しているインフルエンサーのフォロワーをターゲティングしたりすれば、高い精度で自社の商品・サービスに関心があるユーザーに広告を表示することができます。

このターゲティングができる広告媒体はTwitter以外には無いので、明確な競合やインフルエンサーがTwitterを利用しているなら、ぜひ活用したいターゲティング手法です。
ただし、Twitter広告の注意点として、登録する際に必要な個人情報が少ないため、Facebookと比べると、デモグラフィック特性でのターゲティングの精度が落ちてしまいがちです。
Facebook広告も必ずしも正確なターゲティングができるわけではありませんが、Twitter広告のターゲティングの精度はある程度割り引いて考えることをおすすめします。

2020年9月追記:コロナ禍でSNS広告の注目度が向上

緊急事態宣言やその後も続いた自粛要請が緩和され、徐々に日常が戻ってきた感覚があります。しかし、Beforeコロナに戻ったわけではありません。今も多くの企業はWithコロナ、Afterコロナとしてマーケティング戦略の変革を続けています。
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社がコロナ禍に行った調査によると、コロナ禍で投資を拡大した、今後拡大予定の施策として約6割が「SNS活用/SNS広告」をあげました。

コロナによる投資拡大の取り組み

コロナ禍において無数の変化があったと思いますが、まとめると「コミュニケーションの変化」だと思います。「直接会うことができない」「大人数で集まることができない」「人が多いところに行けない」という変化が最も大きく、ビジネスに影響する変化ではないでしょうか。

SNS活用はまさに、企業と消費者のコミュニケーションです。コロナ禍に注目されるのも当然化も知れません。すでに、コロナ禍においていち早くSNSを活用し、適切な情報を届けた企業は既存のファンと関係を深め、新しいファンも多く獲得しました。

ポカリスエットは「みんなで会えないけれど、歌は歌える」というコンセプトで合唱動画を投稿し、さらにユーザーの投稿も促し大きな話題になりました。

こうした活用事例は数多くあります。コミュニケーションに大きな変化が訪れた今こそ、柔軟にコミュニケーションできるSNS活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。

主要SNS広告を徹底比較まとめ

今回は、主要なSNS広告媒体として、LINE、Instagram、Twitterの3つをご紹介してきました。
LINE広告は、日本国内における圧倒的な普及率と多角的なサービス展開を武器とした幅広いリーチが強みです。
Instagram広告は、Facebookが持つ膨大なユーザー情報のデータを元にした細かいセグメントと、若い女性中心というユーザー層の偏りを利用したターゲティング精度が強みです。
Twitter広告は、他のSNSとは違う、拡散されればされるほど単価が下がるという特殊な課金形態と、キーワードターゲティング、フォロワーターゲティングというTwitterならではのターゲティング手法が活用できることが強みです。
このように、主要SNS3つだけで比較しても、それぞれに全く別の強みがあり、ユーザー層も異なります。
SNS広告は、潜在層にリーチするためには欠かせない重要な広告媒体ですが、SNS広告を効果的に利用するためには、こうしたSNSごとの特性を理解しておくことが大切です。
今回解説した内容を参考にして、SNS広告への理解を深め、ぜひSNS広告を活用してみてください。