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デザインに興味を持つと楽しい反面、自分のデザインスキルの無さに驚くことがあります。優れたデザインを参考にしても、なぜか良いデザインにならない。そもそも良いデザインとは何なんだろう?これはデザインに携わる多くの方が経験する壁です。
そこで今回は、デザインスキルを上達させる3つのコツを解説します。デザインスキルを身につけるコツを理解して、今後のデザインに役立てましょう。
デザインスキルはどうやって上げるのか
デザインスキルとは「デザインの知識と経験」のことです。豊富な知識・経験は、常にあなたの味方になってくれます。「このデザインどうすればいいんだろう?」「ここの色味はどうしよう?」「本当にこれでいいのかな?」こうした疑問はすべて知識と経験が解決します。
今あなたが感じている焦りは、知識不足、経験不足から生まれているのかもしれません。デザインにおける指針がなければ、道に迷ってしまうのは当然です。知識と経験は行くべき道を照らしてくれる存在でもあるのです。
経験を積むには時間がかかりますが、知識は心構え次第で身につけることができます。デザインスキルを上げるためには、まず知識を身につけてください。
デザインの知識を身につける基本は「インプット」「アウトプット」の連続です。とにかく地味な作業の連続なので、時にはくじけてしまうかもしれません。ただ、気付いた時には、デザインスキルの上達を実感していることでしょう。
とはいっても、デザインの知識は広大で、何から学べばいいかわからないかもしれません。
デザインスキルを上達する上で身につけたい知識は「歴史」「思考」「技術」の3つに分けることができます。これらの知識を体系的に身につけることで、デザインスキルの向上が期待できます。さっそく、それぞれのコツを見ていきましょう。
デザイナーの「歴史」をたどる
どの分野においても歴史は重要です。歴史を学ぶことで物事の本質を理解し、未来へ繋げることができます。鉄血宰相と呼ばれたビスマルクは「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と残しており、いかに歴史から学ぶことが重要かわかります。
先人が何十年もかけて、数えきれない失敗の上に身につけたデザインスキルを、あなたも同じように何十年もかけて失敗を重ねて身につける必要はありません。
デザインに関しても、長年の歴史が存在します。私たちの周りにあるデザインは、基礎・基本をもとにして、だれかが作ったものです。デザインの歴史をたどることは、基礎・基本を理解することと同じです。
そして、特に重要なのがデザイナーの歴史をたどること。グラフィックデザインを体系的に学ぶのもいいですが、ジャンルが幅広く時間がかかります。そこで、有名デザイナーにスポットを当てて歴史を紐解いてみましょう。
彼がどんな形でデザインと接してきたのか?彼らのポートフォリオをたどることで多くの知識を身につけられます。
公式サイトでポートフォリオを見よう
デザイナーの歴史をたどるなら、公式サイトに掲載されているポートフォリオがおすすめです。
例えば、ユニクロのロゴで有名な佐藤可士和氏の公式サイトには、これまでのアーカイブが掲載されています。それぞれのページには、豊富な画像と設計図が掲載されており、勉強になる点が多いです。どのような変化を遂げてきたのか、メモを取りながら歴史をたどりましょう。
また日本だけではなく、海外のデザイナーのポートフォリオも参考になります。数々の著名アーティストのアートワークを務めるピーター・サヴィル氏の公式サイトでも、これまでに携わった作品が見られます。こちらも勉強になる点が豊富です。
少しでも気になったデザイナーがいたら、公式サイトにアクセスし、ポートフォリオを確認してみてください。
他にも、デザインの歴史が学べる良書を読むこともお勧めです。
デザイナーの「思考」をたどる
デザイナーは、普段どんなことを考えてデザインしているのか。完成した作品を見ても、そこにあるプロセスまで知ることはできません。ただ、デザインは思考の積み重ねによって完成します。
デザインスキルを上げるためには、この思考をたどることが重要です。初期段階から何を考え、完成形にたどり着いたのか。こうしたプロセスほど参考になるものはありません。
私たちが見ているデザインはいつも完成形です。真似はできても自分のスキルに落とし込み、応用することは簡単ではありません。そこで、思考にスポットライトを当て、本質的な部分を理解していきます。
同じようなデザインでもプロセスは異なります。この違いを理解することで、デザインスキルの向上が期待できるのです。
プロセスを参考に思考をたどる
デザイナーの思考をたどるならプロセスがまとめられた記事やインタビューを読みましょう。特にロゴデザインの制作過程は、重要な要素がギュッと詰まっています。目的・ラフ・考え・意図・アイデア……。など学ぶ点が多いです。
大手企業のロゴ制作過程は、多角的な視点からデザインを生み出しているので参考になります。
「Qiitaのビジュアルアイデンティティを再定義し、ロゴ等を変更しました」
「Slack のロゴが新しくなりました!」
「リニューアルした SmartHR ロゴの作り方」
上記はおすすめのロゴ制作過程をまとめた記事です。こうした記事は、公式サイトではなく、開発者ブログなどに掲載されています。ぜひ、制作過程を見て思考をたどってみてください。
デザイナーの「技術」をたどる
技術は思考を具現化するために必要な能力です。著名なデザイナーは思考だけではなく、職人のような高い技術を身につけています。
職人の業界では、技術は教えてもらうのではなく「盗むもの」といわれます。盗むと聞くと、嫌な感じがするかもしれませんが「盗む=観察」に近いです。よく作品を見て真似することが技術の向上につながっていきます。
デザイン業界も同じで、ただ参考書を読むだけではなく、手を動かしながら技術を身につけなければいけません。つまり、デザイナーの技術をたどることがデザインスキルの向上につながるのです。
そこで、あらゆるデザインを模写して、実際に作って見ましょう。模写を繰り返すと、技術はもちろん歴史や思考も理解できます。短期間でスキルアップしたいなら、とにかく作品を模写してください。
技術を盗む模写の手順
まずは模写の題材を探します。できるだけ有名なデザインを題材にしてください。著名なデザインは多くの人が関わって作られています。デザインの基本となるセオリーが豊富なので、学ぶことが多いです。
続いて、PhotoshopやIllustratorといったツールを起動し、題材のキャプチャを見ながら要素を真似ていきましょう。ここで重要なのは適当に真似するのではなく、細部までこだわってコピーすること。
例えばWebサイトなら、ボタンのデザインや位置、大きさなど、普段見過ごしている部分まで疑問を持つことが大切です。優れたデザインには、必ず理由があります。意味もなくボタンの色が赤いわけではありませんし、単にデザイナーの好みでそのフォントが選ばれているわけでもありません。
そうした一つ一つを意識してコピーすることで、技術はもちろん歴史や思考も身についてきます。
また「いいな」と思った部分はメモを取りましょう。これにより、デザインのコツが理解できます。いずれチートシートとして役に立つかもしれません。
模写する際は、とにかく観察を意識してください。やみくもに模写し続けてもデザインスキルは上達しません。
模写が終わったら、元の題材と細部まで見比べましょう。その中で、何が違うのか確認しながら、細部まで突き詰めてください。最初は時間がかかりますが、徐々にスピードが上がっていきます。
以上のような流れを繰り返し、数をこなしていくと、徐々にデザインの共通項が見えてきます。また模写のスピードが上がると、実践の作業もスピーディーになるでしょう。余裕がある場合は毎日1本、ない場合は週数本でもいいので習慣付けてください。
デザインスキルアップの方法まとめ
今回はデザインスキルを上げる方法を解説しました。デザインスキルは歴史・思考・技術をたどることで身につきます。3つに分けることで、膨大なデザイン関連の知識を学ぶ方向性のヒントになれば幸いです。
知識を得るだけで劇的にスキルが向上することはありません。知識を学ぶことを地道に続け、少しずつ経験を積むことで心強い味方になってくれます。本記事のコツを参考に、実践で役に立つ知識を身につけてください。