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2018年9月10日、Google広告で「レスポンシブディスプレイ広告」という新しいフォーマットが追加されるという発表がありました。
Google広告ヘルプによると、レスポンシブディスプレイ広告は、今後ディスプレイネットワークキャンペーンのデフォルトの広告タイプになるとのことです。Googleディスプレイ広告はWeb広告の主流な手法の一つです。この手法のデフォルトになるということは、Web広告にかかわる以上、レスポンシブディスプレイ広告への理解と活用は必須になるでしょう。
2019年には全てのアカウントに標準タイプとして導入される見通しです。
弊社でも、機能の追加が確認できたタイミングで実施してみました。
今回は、新しく追加された「レスポンシブディスプレイ広告」の仕組みと、メリットを見ていきたいと思います。
レスポンシブディスプレイ広告とは
現在、Googleのディスプレイ広告で出稿できるバナーサイズがいくつあるか知っていますか?
ディスプレイ広告は、各々のWebサイトやアプリのデザイン・レイアウトによって最適な表示を行うため、20以上のサイズがあります。
これらのサイズすべてに最適化されたバナーを作成し、運用改善することは簡単ではありません。
実際、ディスプレイ広告のバナーサイズすべてに対応し、成果を見ながら新しいバナーをテストしている例は限られています。
新しく登場したレスポンシブディスプレイ広告は、この悩みを解決してくれます。
2サイズの画像と数種類の広告文を入稿するだけで、自動でサイズやレイアウトを掲載可能サイズに調整し、広告を配信してくれます。
標準のディスプレイ キャンペーンだけでなく、スマート ディスプレイ キャンペーンでも使用できます。アセット(画像、広告見出し、ロゴ、広告文)をアップロードするだけで、ディスプレイ ネットワークに表示される広告が自動的に生成されます。
引用:Google広告ヘルプ
レスポンシブディスプレイ広告の表示イメージ
レスポンシブディスプレイ広告の表示イメージは上記の画像のようになります。
表示イメージでは4種類のみだけですが、実際には20以上あるとされる広告枠のサイズすべてに自動で適応されます。
多様化するデバイス、複雑化する配信面に対して、個別にバナーを作成する必要がありません。
レスポンシブディスプレイ広告に必要なクリエイティブ
レスポンシブディスプレイ広告に必要なクリエイティブは下記の通りです。
- 横長画像:横縦比1.91:1 で、600×314 以上
- スクエア画像:横縦比 1:1 で、300×300 以上
- 横長ロゴ(省略可) :横縦比 4:1 で、512×128以上
- スクエアロゴ(省略可) :横縦比 1:1 で、128×128 以上
- 短い広告見出し:全角15文字、半角30文字以下を1~5 個(長い広告見出しが収まらない小さな広告スペースの1行目に表示)
- 長い広告見出し:全角 45 文字、半角 90 文字以下(広告が大きい場合に短い見出しの代わりに広告の最初の行に表示。表示しきれない場合、末尾に省略記号(…)で表示)
- 説明文:半角90文字(全角45文字)以下で1~5 個(広告見出しの後に表示。表示しきれない場合、末尾に省略記号(…)で表示)
また、レスポンシブディスプレイ広告の画像では、文字領域を20%以内に収める必要がある点に留意しましょう。
どんなサイズで表示されるかわからないため読めない可能性がある上、配信先の広告スペースに収まるように画像の両端がトリミングされる場合があるためです。
また、すでに紹介した表示イメージのように、画像と見出しが自動で組み合わされるため、あえて凝った画像を作る必要もないでしょう。
これらのクリエイティブを設定すると、Googleのディスプレイネットワークに含まれるあらゆるサイト、アプリに用意された20サイズ以上の広告枠に広告を出稿することができます。
レスポンシブディスプレイ広告のメリット
これまでも、バナーサイズを細かく設定すれば様々な運用改善が可能であったディスプレイ広告ですが、レスポンシブディスプレイ広告のメリットは手間なく多くの配信面に配信できるだけではありません。
これからのディスプレイ広告のスタンダードになるといわれるほど、強烈なメリットがあります。
Googleの機械学習による自動最適化
レスポンシブディスプレイ広告最大の特徴は、「機械学習による自動最適化機能」です。複数の広告文や画像はこちらで用意する必要がありますが、GoogleのAIが勝手にABテストを繰り返し、最適な組み合わせを見つけてくれます。
また、どの画像とどのテキストの組み合わせの効果が高いかなども詳細に確認することができます。
機械学習によって最適化される大まかな流れは下記の通りです。
- Googleが保有している膨大なデータと設定内容から、Googleの学習モデルに従って、自動的にアセット(見出しや説明文、画像等の各広告要素)を選択
- 広告が実際に配信され、配信成果のデータを蓄積
- 配信成果と学習モデルの予想が比較され、実際の成果に基づいて機械学習が更新
- どのような調整を行えば良い結果が得られるかという予測が更新され、以降の配信がその予測に従って実施
ABテストの重要性は広く知られていますが、実際に行うことは簡単ではありません。膨大なデータから仮設をたて、より良いクリエイティブを提案し、実際にクリエイティブを作成する必要があります。
レスポンシブディスプレイ広告では、こうした手間が自動化されるため、パフォーマンスの向上が期待できます。
クリック単価の抑制とリーチの拡大
20以上ある配信サイズにすべて適応できるということは、それだけ多く配信できるということです。これまでバナーサイズの制限によって発生していた機会損失を防ぐため、リーチ数は飛躍的に伸びます。
また、多くのディスプレイキャンペーンは5~10の主要サイズのみを設定して配信しています。
そのため、競合が広告を配信していないその他のサイズに掲載することで、クリック単価を低く抑えることができます。
実際、弊社で行った実績でも、LAPやツイッター広告といったSNS広告、通常のGoogleディスプレイ広告と比較しても圧倒的に多くのリーチが、数分の一程度のクリック単価で獲得できています。
PDCAサイクルの高速化
Googleの機械学習による自動最適化もそうですが、少ない設定で多くのテストを行えるレスポンシブディスプレイ広告では、PDCAサイクルを早く回すことができます。
バナー画像をプロのデザイナーに作成してもらう場合、提案から各サイズの作成、配信開始まで数日はかかるでしょう。
しかし、レスポンシブディスプレイ広告では、広告文テキストなどの各要素をGoogle広告の管理画面から調整するだけです。
また、20%ルールや画像に広告見出しが組み合わされることを考えると、凝ったデザインの画像を作成する必要もありません。
適当なフリー素材を見つけ、横長とスクエアにリサイズするだけでも成果が期待できます。
それで成果が出た画像をプロのデザイナーが作りこめば、さらに高い効果が期待できます。
レスポンシブディスプレイ広告は広告の新しいスタンダードになる
今回は、Google広告に新しく登場した「レスポンシブディスプレイ広告」を紹介しました。
従来のディスプレイ広告には、データが限られる、バナー作成に費用と時間がかかることによる「運用改善の難しさ」という課題がありました。
レスポンシブディスプレイ広告は、この課題を解決してくれる手法です。
これだけのメリットがあるうえ、Googleがレスポンシブディスプレイ広告を、ディスプレイ広告のデフォルトのタイプとして導入するということは、多くの広告主が活用し始めるでしょう。
それにより従来の方法で配信している広告主は、不利な配信面(競争が激しくクリック単価が高騰している)に配信され、費用対効果が悪化してしまうでしょう。
ディスプレイ広告は「ブランディング」の意味合いもあったため、これまでは運用改善や費用対効果に焦点が当たりづらい側面もありました。
しかし、レスポンシブディスプレイ広告の登場により、より高度な運用改善を行い、よりダイレクトに成果を求める動きが出てくると考えられます。
現在、従来のディスプレイ広告を出稿していたり、これから出稿する予定があるという方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。