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流行に左右されるマーケティングは本質的な戦略ではないのでしょうか?
しかし、新しい技術が次々登場し、消費者の生活スタイル、価値観も変化する中、当然マーケティングも変化していきます。マーケティングには「100年変わらない本質」もあるかもしれませんが、実際の戦略、施策は日々変化し続けています。
今回は2020年に重要になってくると予想されている、Webマーケティングのトレンドについて解説していきます。
インフルエンサーやSNS、AIの活用など、様々な領域にまたがって新たなトレンドが生まれてくることが考えられますので、あくまで予想ではありますが、ぜひこれからのWebマーケティング戦略を考える際に参考にしていってください。
2020年のWebマーケティングトレンド①:マイクロインフルエンサーの活用
マイクロインフルエンサーとは、インフルエンサーと呼ばれる人々の中でも、特に狭い領域で強い影響力を持つ人のことを指します。
フォロワーの数は1万人程度が目安で、通常のインフルエンサーと比べて狭い領域で活動している分、フォロワーひとりひとりとの結びつきが強く、狭く深い繋がりを持っているのが特徴です。
YouTubeで活動するインフルエンサーをユーチューバー、Instagramで活動するインフルエンサーをインスタグラマーと呼ぶように、インフルエンサーと呼ばれる人々の存在はもはや当たり前になってきています。
しかし、そんな今だからこそ、インフルエンサーよりも影響力の小さいマイクロインフルエンサーの活用が重要視されているのです。
元々、インフルエンサーマーケティングとは、様々な領域に強い影響力を持っている人、いわゆる「インフルエンサー」の力を借りて、インフルエンサーに自社の商品・サービスについて紹介してもらってプロモーションを行うことを指します。
インフルエンサーマーケティングのメリットは、ユーザーから見て自然なプロモーションが行える点が挙げられます。通常の広告に対して「広告である」というだけで嫌悪感を抱く人が少なくないのに対し、インフルエンサーによる紹介であれば、「自分が憧れているインフルエンサーがおすすめするなら買いたい」というように、ユーザーに広告感を感じにくいのです。
そして、マイクロインフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーマーケティングをさらに狭くした、より密なコミュニケーションを取るマーケティング戦略と考えてもらえばよいでしょう。
マイクロインフルエンサーと呼ばれる人々は、通常のインフルエンサーと違って、特定の狭い領域だけで強い影響力を持っている人々のことです。
そうした狭い領域においては、活動しているインフルエンサーも比較的少なく、フォロワーの数も少ないことから、マイクロインフルエンサーとフォロワーの関係性は強く、濃くなっていきます。
そのため、マイクロインフルエンサーの投稿は、コメントやいいねなどのエンゲージメント率が通常のインフルエンサーよりも高いと言われており、ユーザーが抱く「この人がおすすめするなら」という感情もより強くなると予想されます。
そういったメリットから、通常のインフルエンサーではなくあえてフォロワーの少ないマイクロインフルエンサーを活用していくことが、2020年のトレンドになるのです。
また、マイクロインフルエンサーが注目されるもう一つの理由として、コストが挙げられます。数年前まで、インフルエンサーはあくまで個人の延長線上にありました。しかし、最近は芸能人よりも影響力を持つインフルエンサー、テレビタレントなどに進出するインフルエンサーも増え、インフルエンサーの価値が上がっています。
そのため、トップインフルエンサーに依頼すると芸能人を起用する場合と同じような費用がかかるようになってきました。
マイクロインフルエンサーは費用が少ないうえ、高いエンゲージメント、つまり費用対効果が見込めるため、中小企業を中心に起用が活発化するでしょう。
2020年のWebマーケティングトレンド②:ウェアラブル端末
ウェアラブル端末とは、スマートウォッチなどに代表される身体に装着できるスマートデバイスのことを指します。
Webマーケティングにおいてはもはや欠かせない存在となったSNSは、現在は主にスマートフォンを通じて利用されています。しかし、ウェアラブル端末が普及していけば、SNSの利用もウェアラブル端末から行われるようになる可能性が高いと言えます。
そうなると、ウェアラブル端末で収集できる膨大なユーザー情報や、果てには画像解析機能を用いたユーザーの表情の分析情報までもが、SNSマーケティングに活用されるようになります。
SNSマーケティングは、現在も非常に重要視されている領域で、LINEやTwitter、Instagramなどの人気SNSは、企業にとってはブランディングの面からも、広告配信の面からも盛んにマーケティングのための研究が行われている媒体です。
スマートフォンだけでは見えなかったユーザーの心理などのきめ細かいデータがインターネットを通じて収集できるようになれば、SNSマーケティングや広告のターゲティングは大きな変化を迎えることになるでしょう。
2020年のWebマーケティングトレンド③:AIを活用したユーザー分析
マーケティング施策の企画・立案のために、AIを活用してターゲットとなるユーザーを分析する動きは、2020年に急速に進むと言われています。
Webマーケティングや、Web広告の領域では、とにかく膨大な量のユーザー情報を入手することができます。
ユーザーの年齢、性別、家族構成、年収、住所、興味・関心、行動履歴……などなど。Webマーケティングを進めていくためには、これらの膨大な情報を活用・分析することが必要不可欠になっています。
新規顧客を獲得したり、既存顧客との繋がりを強めたりするためにこれらの情報が必須だからです。
ユーザーひとりひとりが持っているインサイトについて知るには、その顧客についての情報をひたすら分析していくしかありませんが、Webマーケティングで得られる情報はあまりに膨大すぎて、人間の手で分析するには限界があります。
そこで、データ分析にAIを活用する動きが急速に進んでいるのです。
AIを活用すれば、膨大な情報から適切なインサイトを簡単に導くことができます。そうなれば、企業は顧客ひとりひとりに対してマーケティングを行うOne to Oneマーケティングを行うことが可能になり、顧客に合わせてカスタマイズされたプロモーションを行うことができます。
AIを活用すると聞くとハードルの高いものと思ってしまいがちかもしれませんが、AIを利用した顧客分析ツールは近年増えてきていますし、利用も簡単になっています。
2020年のWebマーケティングにおいて、AIの活用はもはや必須と言えるでしょう。
弊社で導入をサポートしているHubSpotのようなデータマーケティングツールも、AIが組み込まれることでより使いやすく便利に、より企業活動の最適化に効果的なツールとなり普及が進むでしょう。
2020年のWebマーケティングトレンド④:チャットボットの普及
チャットボットとは、人間が入力したメッセージの内容を読み取り、適切な回答を自動で返すプログラムのことです。
このチャットボットは、近年の機械学習技術の発展とともに急速に増加しており、2020年にはさらに普及していくと考えられています。
例えばチャットボットは、FAQ(ヘルプ)の領域で広く利用されています。ユーザーが困っている内容を入力すると、チャットボットがそのユーザーのニーズに合わせた回答を返し、会話形式で問題を解決してくれるという仕組みです。
その他にも、従来のWebフォームの代わりにチャットボットを導入している事例もあります。
Webフォームの場合、ユーザーはあらかじめ用意されたフォームに必要事項を入力していくだけで、めんどうな作業と感じることも多く、「フォーム落ち」と呼ばれる、フォーム入力の段階でモチベーションが削がれて先に進まなくなってしまうことも問題となることが多いです。
そこで、Webフォームの代わりにチャットボットを導入することで、ユーザーはチャットボットと対話しながら、チャットボットの誘導に従って必要な情報を入力していくことになります。
味気ないWebフォームと違い、チャットボットであれば入力するたびに何か返答をしてくれるので、ユーザーにとっては作業感が薄れ、フォーム落ちしづらくなるというメリットがあります。
Webフォームの場合も、ユーザーの入力に合わせて残りの項目数を表示したり、入力が完了した項目は完了マークを表示したりするなど、ユーザーにとってわかりやすい仕組みづくりをすることが有効と言われていますが、チャットボットはそれをさらに進化させたイメージと考えればわかりやすいのではないでしょうか。
また、チャットボットの手法はSNSでも応用されており、LINEやTwitterの企業公式アカウントをそのままチャットボット化している事例もあります。
例えば、日本郵便のLINEアカウントはチャットボットの事例のひとつとして有名です。日本郵便のLINE公式アカウントは、「ぽすくま」というテディベアのようなキャラクターによるチャットボットとなっており、ユーザーはぽすくまに話しかける形で、郵便物の配達状況を調べたり、再配達の申し込みをしたりすることができます。
従来では、こうした作業をWebフォームか電話を通じて行っていました。LINEのチャットボットで、しかもかわいらしいキャラクターが相手だと、ユーザーにとってはより気軽に、より簡単に行うことができるようになります。
このようなチャットボットを活用することで、フォーム落ちを防いでコンバージョン率を上げることもできますし、ぽすくまの例のようにキャラクターを立てれば、企業のブランディングにも繋げることができます。
チャットボットの返答の精度も機械学習技術が成長すればより向上していくでしょうし、チャットボットは2020年のWebマーケティングにおいては無視できない存在となるはずです。
2020年のWebマーケティングトレンド⑤:機械学習によるクリエイティブ制作
バナーや動画などのクリエイティブ制作は、Webマーケティングを成功させる上では欠かせない工程ですが、デザインや撮影などの専門スキルと、マーケティングや広告の知識の両方を併せ持っている人でないとなかなか有効なクリエイティブを作るのは難しく、社内にリソースを持たない企業は制作会社などに外注するしか方法がないのが現状です。
しかし、2020年には、こうしたクリエイティブ制作も、機械学習プログラムによって自動化することができるようになります。
実は現在までにも、機械学習プログラムがオリジナルの画像を作り出す技術は既に一部で利用されており、こうした技術をGANと呼びます。
GANは、大量の画像データを学習させることで、モノクロ写真をまるで本物のカラー写真のように着色したり、一部が欠落した写真を最初からあったかのように補完したり、果てには全く新しい画像を作り出すことさえできる技術です。
このGANを用いると、大量のバナー画像を学習データとして用意して機械学習プログラムに覚えさせてやることで、その学習データを元に新しいバナー画像を生み出すことができるようになります。
現在の技術では、学習データとして膨大な画像が必要になるため、バナー画像のような学習データが用意しにくい領域では使いづらいのが実情ですが、機械学習技術は日々進化していますから、GANでバナー画像を生成するために必要な学習データも、どんどん少なくなっていくはずです。
あるいは、学習データとGANの技術をセットで提供してくれるサービスが登場するかもしれません。
そうなれば、クリエイティブ制作のためのリソースが社内にないという場合でも、GANの技術と学習データさえ用意できれば、あとは機械学習プログラムにクリエイティブ制作を任せることができるようになります。
専門スキルを持ったデザイナーを雇うのは、募集の面からも給料の支払いの面からも難しいかもしれませんが、GANの技術であれば比較的安価で導入できるので、2020年はGANの技術を使ってクリエイティブを制作することが一般的になっていくことでしょう。
ここまで紹介してきたのはあくまで画像に関する生成技術に関してですが、動画作成についても、GANのような機械学習プログラムによって新たな動画を生み出す技術は研究されています。
そのため、バナー画像だけに限らず、動画クリエイティブに関しても、2020年中に機械学習プログラムを使って制作する技術やツールが普及することになるかもしれません。
まとめ
今回は、2020年に流行すると考えられるWebマーケティングのトレンドについて、様々な領域から予想されるものをまとめてご紹介してきました。
特に、現在も最先端のトレンドとなっている、マイクロインフルエンサーマーケティングやチャットボットについては、2020年も引き続きトレンドとして注目を集めることが予想されます。
マイクロインフルエンサーマーケティングも、チャットボットも、SNSの活用とセットで語られることが非常に多い手法です。
そのため、SNSを活用したマーケティングは、今後も重要なポジションを占めることになると言えるでしょう。
また、機械学習やAIと呼ばれる技術についても、今後注目していきたい領域です。
ウェアラブル端末と組み合わせた情報収集や、バナーや動画といったクリエイティブ制作など、機械学習技術は様々な分野で応用され、Webマーケティングにおいて活用されていくことでしょう。
今回ご紹介したトレンドは、Webマーケティングという広い世界でのほんの一部でしかないかもしれませんが、今後トレンドとなる可能性が非常に高い、必ず注目しておきたい領域です。
ぜひ、今回の内容を参考にして、2020年のWebマーケティングトレンドを先取りしてみてください。