優良顧客が勝手に育つ仕組みを構築する|マーケティングオートメーション【2019年9月26日セミナーレポート】

7a8733e2aaa3cc5e966e21755bc59ea1a710a057
優良顧客が勝手に育つ仕組みを構築する|マーケティングオートメーション【2019年9月26日セミナーレポート】

弊社で定期的に開催しているマーケティングオートメーション、インバウンドマーケティング関係のセミナー、9月26日は「優良顧客が勝手に育つ”仕組み”」をテーマに、インバウンドマーケティングの全体像を紹介しました。
ここ数年、インバウンドマーケティングの必要性が高まっていることもあり、製造業や法人営業などBtoBのマーケティング担当者をはじめ、多くの方に来場いただきました。驚いたことに、府外(中には東京から!)から来られた方もいらっしゃり、非常に濃い時間になりました。

当記事ではセミナーの内容やディスカッションの中でいただいた質問などを紹介します。

顧客を見つけるのではなく、顧客に”見つけてもらう”

消費者行動が多様化し、ニーズも複雑化しています。従来のマスマーケティングやフィールドセールス(テレアポなど)の効果が落ちていることは、現場の方であれば強く実感していると思います。
今、業種に限らず「営業を増やしても売り上げが伸びない」「広告に投資しても顧客が集まらない」といった課題を抱えている企業は多くあります。

そんな中、注目を浴びているのが「インバウンドマーケティング」と呼ばれる手法で、営業や広告で「顧客にアプローチする」のではなく、適切なコンテンツ展開やパーソナライズ施策により「顧客からアプローチしてもらう」手法です。

今回のセミナーでは「インバウンドマーケティングとは何か?」に始まり、インバウンドマーケティングを実現するための「ペルソナとカスタマージャーニーの作り方」や、パーソナライズ施策(One to Oneマーケティング)を実現する「マーケティングオートメーションの構築方法」を紹介しました。
どれも、いかに顧客にアプローチしてもらうかを考えるうえで必要な知識です。

セミナー受講風景

セミナー受講風景

セミナー受講風景

セミナー受講風景

従来の手法(アウトバウンドマーケティングと呼ばれます)を「インバウンドマーケティング」にシフトすることで、企業の営業・マーケティング戦略は大きく変わります。

インバウンドマーケティングセミナーで得られる知識・スキル

  • インバウンドマーケティングの基礎知識
  • インバウンドマーケティングの組み立て方
  • 貴社の顧客が“リード”から“優良顧客”になるまでの流れ
  • マーケティングオートメーションの基礎知識

弊社開催セミナーの特徴

  • ツールの使い方ではなく“戦略”が学べるセミナー
  • 現場でインバウンドマーケティングをコンサルティングしている3名登壇
  • 世界シェアNo1ツール「HubSpot」の認定代理店によるセミナー
  • 導入企業様の実数値による事例紹介
  • マーケティング課題の発掘、インバウンドマーケティング実施のためのワーク付き
画像:セミナー資料 情報過多社会におけるマーケティングの課題

画像:セミナー資料 情報過多社会におけるマーケティングの課題

重要なことは、「現代は情報過多社会である」ことを正しく認識することです。SNSを開けば数百人の意見が目に入り、Googleで検索すれば数百万件の情報がヒットし、一日に数千件もの広告を見て、メールボックスには数十件のメールが届いています。
そんな中で、自社の広告やメッセージがきちんとターゲットに届き、影響を与えられる確率はどの程度でしょか?

インバウンドマーケティングが求められる理由

画像:セミナー資料 アウトバウンドマーケティングの特徴と利用シーン

画像:セミナー資料 アウトバウンドマーケティングの特徴と利用シーン

過去100年のマーケティングの歴史において、ほとんどの手法がアウトバウンドマーケティングと呼ばれる「企業が顧客に情報を届けるプッシュ型手法」でした。
アウトバウンドマーケティングには、かけた費用に対してどの程度のリターンが見込めるかなどがわかりやすく、事業計画が立てやすい特徴があります。一時的な費用対効果が明確なため、多くの企業が積極的に利用してきました。

画像:セミナー資料 情報過多社会によりアウトバウンドマーケティングの成果が低下している

画像:セミナー資料 情報過多社会によりアウトバウンドマーケティングの成果が低下している

しかし、前述した情報過多社会の影響により、アウトバウンドマーケティングの効果は低下しています。広告出稿額が増えたことにより、広告費が高騰しているのに加え、見込み顧客の行動が多様化したことで確実に情報を届けることが難しくなったためです。

画像:セミナー資料 インバウンドマーケティングの特徴と利用シーン

画像:セミナー資料 インバウンドマーケティングの特徴と利用シーン

そこで注目を集めているのが、「見込み顧客がニーズにあった企業(の商品・サービス)を見つけ、積極的にアクションを起こしてもらうプル型手法」、つまりインバウンドマーケティングです。

例えば、今読んでいただいている「Grab」は、日々記事を更新するだけで、広告等の施策は取っていません。
見込み顧客が何かを知りたいとき、SNSや検索エンジンなどで調べます。その時Grabのコンテンツが置かれていて、弊社や提供しているサービスを知ってもらいます。

広告などのプッシュ型手法であれば、100万円投資したら100万円分のリターンしかありません。しかしGrabのようなプル型手法であれば、半年、1年前に書いた記事がいまだにアクセスを集め、見込み顧客からアプローチしてもらえます。広告と違い、たとえGrabの記事更新を止め放置したとしても、しばらくは効果が持続するのです。

そのため、インバウンドマーケティングは効果が出るまで時間がかかるものの、長期的に見るとアウトバウンドマーケティングより費用対効果が高く、コンテンツ(記事など)を通じた関係構築ができるためロイヤリティも高くなります。

画像:セミナー資料 インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの関係性

画像:セミナー資料 インバウンドマーケティングとアウトバウンドマーケティングの関係性

とはいえ、インバウンドマーケティングだけで効果的かというとそうでもありません。アウトバウンドマーケティングも適切に使えば、即効性があり、高い費用対効果が見込めます。
インバウンドマーケティングを軸に見込み顧客と関係を構築し、サービスリリース時など適切なタイミングでアウトバウンドマーケティングを組み合わせることが重要です。

インバウンドマーケティング構築に欠かせない4つのポイント

では、実際にインバウンドマーケティングを構築するにはどうすればいいのか。セミナー本編では次の4つのポイントを紹介しました。

  • ペルソナシート作成
  • カスタマージャーニーマップ作成
  • マーケティングステージに沿った施策
  • 転換率の確認と施策調整

当記事では、来場者から特に関心が高かった「カスタマージャーニーマップ作成」と「マーケティングステージに沿った施策」をピックアップして紹介します。

カスタマージャーニーマップ作成

画像:セミナー資料 カスタマージャーニーマップの作成

画像:セミナー資料 カスタマージャーニーマップの作成

インバウンドマーケティングは見込み顧客に見つけてもらう手法です。つまり、どうすれば見込み顧客に見つけてもらえるか、つまり見込み顧客はどのように行動し、どのように情報を得て、どのように決断するのかを想像することが非常に重要です。
そのために、インバウンドマーケティングの設計段階で作成するのがカスタマージャーニーマップです。

カスタマージャーニーマップを作成することで

  1. 顧客の行動を俯瞰して課題を発見できる
  2. これまで把握できていなかった顧客行動を検討できる
  3. 関係者全員が共通認識を持てる
  4. ユーザー目線で考えられる
  5. 課題解決の優先順位がわかる

といったメリットがあります。

一番重要なことはユーザー目線で考えることです。見込み顧客に見つけてもらい、アプローチしてもらうためには、見込み顧客のニーズを満たすことが欠かせません。カスタマージャーニーマップを作成すると、ニーズを満たすために必要な施策、コンテンツが見えてきます。

画像:セミナー資料 カスタマージャーニーマップの例

画像:セミナー資料 カスタマージャーニーマップの例

マーケティングステージに沿った施策

画像:セミナー資料 マーケティングステージ

画像:セミナー資料 マーケティングステージ

見込み顧客は商品・サービスを発見し、すぐに顧客になるわけではありません。認知した後、様々な情報・体験に触れロイヤリティを増し、何らかのきっかけで顧客化します。そして最終的にはその商品・サービスを広げてくれる推奨者(ロイヤルカスタマー)になります。
インバウンドマーケティングを実現するには、構築段階でこうした各ステージを考えておくことが欠かせません。

潜在顧客をブログに集め、コンテンツオファーなどで関係を築く(見込み顧客になる)。メールマガジンやLINE、会員限定コンテンツ等で関係を深め、インサイドセールスを通じて顧客になる。そして商品・サービスの利用体験、カスタマーサポートを通じてロイヤルカスタマーとなり、推奨してもらう。
こうした一連の流れを描く必要があります。

インバウンドマーケティングとマーケティングオートメーション

インバウンドマーケティングを構築する全体像をつかんだら、それを実現する方法、ツールが必要になります。
インバウンドマーケティングではカスタマージャーニーマップに沿ったコンテンツを提供し、マーケティングステージを上ってもらう必要があります。そのために必要な考え方が「One to Oneマーケティング」です。

One to Oneマーケティング

アドビシステムズが2019年7月に発表した調査によると、消費者の半数以上はパーソナライズされたエクスペリエンスを求めていることが分かります。
このニーズに答える施策が「One to Oneマーケティング」です。

画像:セミナー資料 One to Oneマーケティングの具体例

画像:セミナー資料 One to Oneマーケティングの具体例

One to Oneマーケティングとは、「その人が欲しい情報(その人のための情報)を、その人が欲しいタイミングで提供する」という考え方、手法です。
具体的には、過去にWebサイトを訪問したAさん、Bさん、Cさんがそれぞれ時計、靴、鞄の商品ページを見たとします。この時、彼らは購入には至らず離脱してしまいました。
そして後日、Aさん、Bさん、CさんがWebサイトを再訪問しました。この時、従来はトップページのキャンペーンバナーには単に「●●が30%OFF!」と共通したセール情報を掲載していたと思います。
しかしそれでは、時計が欲しかったAさんのニーズは高まりますが、Bさん、Cさんにとっては関係のない情報となってしまいます。
One to Oneマーケティングでは、例えば過去に時計ページを見たAさんには時計のキャンペーンと、靴ページを見たBさんには靴の新商品情報を、鞄ページを見たCさんには鞄の選び方コンテンツを表示します。

カスタマージャーニーマップやマーケティングステージを用意するのも、こうしたOne to Oneマーケティングの施策を確実に行うためです。
すでに会員になっている人に新規会員登録特典の情報を届けることは、無駄になるどころかロイヤリティを低下させてしまいます。会員には会員向けの、新規訪問者には新規訪問者向けの、検討段階のユーザーには決断に至るための、それぞれ最適化することが求められています。

では、One to Oneマーケティングをどのように実現するのか。それがマーケティングオートメーションです。

マーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションというと、「人の手で行っていた定型的な施策を自動化するもの」「データ処理や分類など人が行うとコストがかかるものを自動化するもの」という印象があります。しかし、実際には「One to Oneマーケティングを実現するツール」といった方が正確です。
マーケティングオートメーションにより、人の手で行っていた業務を自動化するにとどまらず、これまで実現できなかった施策が展開できます。

様々な機能をもつマーケティングオートメーションですが、今回はスコアリングとワークフローの2つを紹介しました。スコアリングは見込み顧客(リード)を点数化し、興味関心や確度の度合いを測るものです。ワークフローは様々なマーケティング施策を自動化するもので、One to Oneマーケティングの実現には欠かせません。

画像:セミナー資料 ワークフローの紹介

画像:セミナー資料 ワークフローの紹介

実際にこれらの機能を世界シェアNo1のマーケティングオートメーションツール「HubSpot」を用いてデモンストレーションしました。

画像:HubSpotデモ風景 フォーム作成

画像:HubSpotデモ風景 フォーム作成

デモンストレーションでは、HubSpotを用いてフォームを作成し、フォームの送信内容に応じて見込み顧客の確度を数値化、その数値と内容によって担当者を自動で振り分けるといった内容を紹介しました。
デモンストレーションの最中、「こうした条件で担当を振り分けることはできますか?」「こんなフォーム項目は設定できますか?」など、いろいろな質問をいただきました。やはり多くの企業でマーケティング、営業活動を効率的に実施することは急務のようです。

デモンストレーションでは紹介しませんでしたが、HubSpotには顧客の行動に応じて表示するコンテンツを自動で変更する「スマートコンテンツ」など、パーソナライズな関係を構築する機能が備わっています。

優良顧客が勝手に“育つ“|マーケティングオートメーションセミナレポート

弊社ではマーケティングオートメーション、インバウンドマーケティングをテーマに定期的にセミナーを開催しています。
8月に行ったセミナーは、営業効率化と業務自動化をテーマに「HubSpot」の活用方法を紹介しました。
しかし、営業効率化だけでなく、より全体的なマーケティング改革を望む声が多く、インバウンドマーケティングの全体像をテーマに、「見込み顧客が勝手に育つ仕組みづくり」を紹介しました。

冒頭でも紹介したように、マーケティングオートメーション導入の必要性は年々増しています。今はBtoB業界で注目されていますが、根底にある「パーソナライズマーケティング(One to Oneマーケティング)」は業種を問わず求められています。

次回は10/29日に同様のテーマで開催いたします。ご都合が合いましたらぜひご来場ください。