インターネット広告(Web広告)の世界は、さまざまな英略語にあふれています。
今回取り上げる「KPI」もそのひとつ。“Key Performance Indicator”の略語で、「重要業績評価指標」と訳されます。全体的な目標を達成するために行うさまざまな施策が、順調に進んでいるかどうかを確認するために設定する中間指標です。
ここでは、そんなKPIを設定する際の基本的な考え方についてまとめてみました。
KPIの前提
まずはここで、KPIを設定するための前提を明らかにしておきたいと思います。
「KGI」の設定
何といっても、「KGI(Key Goal Indicator)」が設定されていることが前提です。
KGIとはいわゆる「経営目標達成指標」で、たとえばWeb広告を活用するマーケティングの場合、広告を運用した結果の最終的な売上など“全体的な目標”の指標となるもの。
具体的な売上高の金額をはじめ、誰もがひと目見て達成したか否かを判断できるものが適しています。
KPIは、「KGI達成」を目指してさまざまな施策を行う中、節目節目で進捗を確認するために役立たせるべきものといえます。
現状を把握すること
Web広告の場合、実際に広告が興味を持たれた数、そこから売上につながった数などを、具体的な数字のデータとして細かく見ることができます。
広告の表示回数とクリック数からはクリック率(CTR)が導き出されます。広告がどれほど興味を持たれたかということが、データとして表れるわけです。そのほか、たとえばECサイトならどれほどのユーザーが購入に至ったかを表すコンバージョン率(CVR)も知ることができます。
これらのデータをまとめて出すことで、今「KGI達成」のために何をすべきかということが明らかになります。そのうえでKPIを設定し、施策を固めることが大切です。
KPIの基本的な考え方
Web上で広告を見た人が全員、クリックしてくれる。
そのうえで、全員が商品を購入したりサービスの申し込みをしたりしてくれる。
そうなってくれれば「KGI達成」は簡単ですが、実際はなかなかそういうわけにはいきません。CTRやCVRが低かったり、離脱率が高かったり……ということで悩むこともあるでしょう。
そこで役立つのがKPIであるわけですが、設定する際には以下のようなことを考えておく必要があります。
見るべき指標は何か?
「広告がたくさん表示されれば、その分だけ『KGI達成』に近づくのでは?」
確かに、広告の表示回数が上がればクリックする人が増え、その先でサービスを利用する人が増える可能性はあります。とはいえ、どれだけ上がるかは未知数。また、たとえCTRやCVRが上がったとしても微々たるもので、広告を出稿するコストと釣り合わない、結局赤字になってしまうということもあり得ます。
KPIを設定する際は、最終的にきちんと利益を出すということを考え、「見るべき指標は何か」を突きつめて考える必要があります。
実現可能なKPIを設定すること
たとえば、いきなり「コンバージョン率を100%にする」といっても、すぐに実現することは難しいでしょう。
まずは離脱率を指標として「3%減らす」など、実現可能な目標を立てることが大切です。
購入ページや申し込みページを使いやすくする、といった施策を行うことでこの小さな目標をクリアし、さらに一回り大きな目標をクリアし……という積み重ねで「KGI達成」を目指すべきといえます。
KPIとは、そんな小さな積み重ねがきちんとクリアしていけているかどうか、チェックするための指標なのです。