ITPがWeb広告に与える影響とは?影響範囲や対策を解説

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多様化する消費行動や特定ユーザーへのアプローチには、Web広告が最適です。しかし、個人情報の取り扱いが世界的に厳しくなり、Web広告の配信に悪い影響を与えています。

特に、Web広告業界を揺るがす規制としてApple社の「ITP」が挙げられます。
今回は、ITPの概要や、ITPが広告配信に及ぼす影響を解説します。

ITPとは?

「ITP(Intelligent Tracking Prevention)」とは、Apple社が個人のプライバシー保護を目的として、ユーザーのアクセス情報であるCookieを制限する機能です。


ITPは、MacやiPhoneで使われているブラウザ「Safari」に実装されており、従来の広告運用やマーケティングに影響を及ぼす可能性があります。
日本国内においては、iPhoneの利用者が50%以上を占め、モバイル・タブレット向けにWeb広告を配信している企業への影響が懸念されています。

【2021年現在】 iOS14におけるITPの影響

2017年にApple社がITP1.0を導入して以降、複数回のアップデートにより影響範囲が拡大しています。
2021年現在、iOS14に向けた最新の「フルITP」では、どのような点が変更されているのでしょうか。

Safari以外のブラウザでもITPが適用される

従来のITPによる規制では、Apple社のWebブラウザ「Safari」のみが適用対象でした。
しかし、iOS14向けのフルITPによる最新の変更点では、「Google Chrome」や「Firefox」など、ほかのWebブラウザもITPの対象となりました。

またiOS14で動作するアプリ内ブラウザすべてに、ITPが適用されます。コミュニケーションツールの「LINE」や、SNSツールの「Facebook」「Twitter」「Instagram」といったアプリもITPによる影響を受けます。

Cookieだけでなくストレージも制限

フルITP以前のバージョンでは、Cookieが制限されたことを受け、ローカルストレージを利用することでユーザーのトラッキング情報を取得していました。しかし、フルITPにアップデートされてからは、ローカルストレージにもITPの影響が拡大しています。

ローカルストレージに記録されたデータは、最大7日間保管されますが、ユーザーがアクセスをしないとデータが削除されます。なおITP2.0以降、サードパーティCookieは完全ブロック、ファーストパーティCookieに関しても24時間でデータが使用不可になります。

IDFAの取得がデフォルトで不可に

IDFAとは、iOS端末の広告用識別子のことで、iOS14では、IDFAの取得がデフォルトで不可となりました。

これまで広告主は、IDFAを使用してユーザーの広告エンゲージメントや、アプリ内でのユーザー行動を計測していました。しかし、IDFAの取得が困難になることで、ユーザー行動をトラッキングすることができなくなります。

ITPがWeb広告運用に与える影響

ではITPの導入は、広告運用にどのような影響を与えるのでしょうか。

Web広告の大半は、「サードパーティCookie」と呼ばれるユーザーが訪問したサイト以外のドメイン(ホスト)が発行するCookieを使い、情報収集した上で配信されています。しかし、ITP2.0以降では、このサードパーティCookieは無効化の対象となり、ユーザーデータの収集が厳しくなりました。

つまり、サードパーティCookieの情報を使用するツールを導入している場合、ユーザーデータが入手困難になるため、広告配信の精度に影響が出るということです。
具体的な影響については、以下2つをご覧ください。

リターゲティング広告の制限

リターゲティング広告とは、各媒体で用意しているトラッキングコードをWebサイトに設置し、一度サイトを訪れたユーザーに対し、再度広告を表示させる広告手法です。サードパーティCookieを活用した代表的なWeb広告である「リターゲティング広告」。

リターゲティング広告は、Web広告のなかでも費用対効果が高い手法でした。しかし、2020年3月にバージョンアップしたフルITP(iOS14向け)では、サードパーティCookieを完全に制限することが明記されており、iOSを利用しているユーザーが、Webサイトにアクセスした際に発行されるCookie情報が入手できなくなるため、リード獲得や成果が減少すると考えられます。

コンバージョン(成果)の減少

さらに、リターゲティング広告配信だけでなく、コンバージョンにも影響が及ぶ可能性があります。

1度Webサイトに訪問しただけでコンバージョンするユーザーもいれば、何度か訪問した上でコンバージョンするユーザーもいます。
今回のITPによって影響を受けるのは、後者です。

サードパーティCookieの使用が制限されたことで、最初の訪問から数日経ってコンバージョンしたユーザーのCookie情報は入手できなくなりました。結果、コンバージョンを正確に計測することが難しくなるほか、広告施策の分析ができず、機会損失につながる恐れがあります。

ITPの影響を防ぐ対策

サードパーティCookieが完全に制限されてしまった以上、リターゲティング広告の精度は期待できないものとなりました。そこで、Cookieに頼っていた広告配信から、ITPの影響を受けないような新しいマーケティング施策が求められます。

大衆に向けたマーケティング展開

リターゲティング広告では、ユーザーの嗜好にもとづき、広告を配信していました。しかし、Apple社によるサードパーティCookieの制限を受け、今後は、他の方法で、自社Webサイトへの訪問や購買意欲を促す必要があります。

SEO施策では、ペルソナやカスタマージャーニーを設計し直すことで、さらに潜在顧客を獲得できます。潜在顧客への最適なアプローチ方法や、それぞれのマーケティングファネルに沿った情報発信、広告配信の代わりとなる施策を進めましょう。

Cookieに依存しない広告手法の模索

サードパーティCookieを活用しない広告手法を模索することも必要です。Googleでは、サードパーティCookieの代替案となる「プライバシーサンドボックス」の検討が進められており、将来的に制限を受けることなく、広告を配信できる可能性があります。

また、Web広告の種類はさまざまです。リターゲティング広告に頼るだけではなく、自社に適したWeb広告を活用し、広告パフォーマンスの向上に取り組みましょう。

まとめ

ITPの導入に加え、サードパーティCookieの制限により、Web広告の主流であったCookieやIDFAなど、ユーザー情報に依存したリターゲティング広告の配信が、今後ますます難しくなっていくと予想できます。

そこで、リターゲティング広告の代わりとなる、Googleでの「プライバシーサンドボックス」の導入や、Facebookの「リード獲得広告」、FacebookとInstagramでカスタマイズ可能な「ショッピング機能」といった、マーケティング施策や広告手法を積極的に取り入れていくことが重要です。

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