With/afterコロナに選ばれたSNS活用・活用|スモールマスの普及

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With_afterコロナ
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2020年5月、アジャイルメディア・ネットワークが「コロナウイルスの感染下におけるマーケティング活動調査」と題して企業のマーケティング責任者・担当にアンケートを実施しました。

今回はこの調査の結果を紹介し、今後のマーケティングについて考えるとともに、With/afterコロナに選ばれたマーケティング手法である「SNS広告/活用」の全体像を見ていきたいと思います。

98%がマーケティング活動に影響を受けた

まず「コロナウイルスの感染下におけるマーケティング活動調査」の結果を見ていきましょう。緊急事態宣言が解除される直前なので今の現状とは少し違うかもしれませんが、「これからどうなるのか」が最も議論されていた時期でもあります。

 

「マーケティング活動へ及ぼした影響」という質問に対し、98%が影響ありと回答しました。

マーケティングは潜在的な消費者を見込み顧客・顧客へと転換するための施策です。そのため潜在的な消費者がどこにいるか、何を考えているかが出発点になりますが、コロナ禍においてこの前提が大きく変わりました。

繁盛の象徴だった行列が危険サインに見られるという変化です。当然、マーケティングも変わらなければいけません。

テレビCMの変化に気づいた人も多いのではないでしょうか。飲食店やサービス業の「お客さんを集めるため」のものから「コロナ対策は万全です」というメッセージに変わり、テーマパークは集客できないためブランディングに振り切りました。

そして、少し前まで珍しかったBtoBソフトウェアのCMが多くなりました。

「投資を抑制した、または抑制する予定がある取り組み」という質問に対しては、イベント/ポップアップストアが上位に。その他にもマス広告、店頭販促、交通広告など様々な取り組みを抑制しているようです。

弊社でもコロナウイルス対策として、セミナーをウェビナーに切り替えるなどの変化がありました。ウェビナーは決して一般的な言葉ではありませんでしたが、今では当たり前になっています。

反対に「投資を拡大した取り組み、または拡大予定・関心の高い取り組み」については、今回のテーマでもあるSNS活用/SNS広告が1位に、他にもeコマースやオウンドメディア、動画、オンラインイベント、Web接客と続きます。

投資を抑制した取り組みの1位が「イベント/ポップアップストア」で、拡大した取り組みの1位は「SNS活用/SNS広告」です。これは対になっていて「顧客と双方向的なコミュニケーションを取る方法」がイベントなどオフラインから、SNSなどオンラインに変わったことを意味しています。

同じことが他の項目にも言えます。投資を抑制した取り組みの2位「マス広告」は、拡大した取り組みの3位「オウンドメディア」と対になっていて、「ブランディングを築く」ための手法です。投資を抑制した取り組みの3位「店舗販促」は、拡大した取り組みの2位「eコマース」と対になっています。

それぞれ見比べると、コロナ禍で影響を受けたオフラインの活動をオンラインに切り替える動きが見えてきます。世のマーケターはただコロナに困惑していたわけではなく、変わりの手法を見つけ、活用を進めていることがわかります。

With/afterコロナのマーケティング

こうした調査から、今後のマーケティングについてどのように考えられるでしょうか。

「Withコロナ」「Afterコロナ」「ニューノーマル」などいろいろな言われ方をしていますが、今後どうなるかはわかりません。しかし、どうなるにせよ完全に元に戻ることはありません。なぜなら今ある変化の殆どは、コロナウイルスと関係がないからです。

最近話題の「リモートワーク」「デジタルトランスフォーメーション」「デジタルシフト」「脱ハンコ」などはすべて、コロナウイルスの数年前から少しずつ進んでいました。コロナウイルスはそれらを数年早めただけといわれています。つまり、元々進んでいた方向に予定より少し早く進んでいるだけなので、コロナ収束後も元に戻ることはないでしょう。

そんな中、今後のマーケティングの重要なテーマになるのが「スモールマス」という考え方です。これは花王が数年前から提唱している概念ですが、従来のマス広告のように広く認知を広げるのではなく、より小さなセグメントに対して深いブランディングを築くものです。

2020年に入り急速にデジタルシフトが進んだことで、ブランディングに求められるものが大きく変わりました。例えば、以前は目的もなく繁華街を歩いて「あ、あのお店見たことある」という理由でお店に入ることが普通でした。そのため、ブランディングでは「多くの人に名前やイメージを覚えてもらう、購買行動の直前に思い出してもらう」ことが重要となり、テレビCM+看板・ポスター広告という組み合わせが有効だったのです。

しかしこうした行動は少なくなり、人々はある程度目的を決めてから外に出るようになりました。つまり名前を覚えてもらうことではなく、より深く「このお店に行きたい」と思ってもらうことが必要になります。

ECサイトを展開すればより顕著です。以前は立地やショッピングモール全体の集客力が重視されていました。しかし、ECサイトを立ち上げたら自分の力で集客する必要があります。Amazonや楽天などモール型ECサイトに出店しても、ブランド名で検索してもらえるかが重要です。

こうなると、「覚えてもらう、思い出してもらう」というブランディングでは不十分です。

そこで登場するのが、見込みの高いセグメントに対し豊かな情報を継続的に届け、関係を築いていく「スモールマス」という考え方です。

コロナ禍で拡大した取り組みの1位が「SNS活用/SNS広告」ですが、実はSNSはスモールマスと非常に相性が良いのです。

これから求められるスモールマス「SNS広告/活用」

それではSNSがどのようにWith/afterコロナに有効なのか、スモールマスにどう活用するのかを、主要プラットフォームごとに紹介します。

改めてSNSを活用するメリットを見てみましょう。そもそも今SNSが注目されている理由は、制限されたオフラインイベントの代わりという側面があります。オフラインイベントの目的は、見込み顧客・顧客と直接的なコミュニケーションを取り、その場での購買行動や関係構築を行うことです。

上記画像は、アライドアーキテクツが行った「新型コロナウイルス感染症拡大に伴うSNS利用実態調査」の結果の一部です。コロナによってSNSの利用は変わらないと回答した人が一番多いですが、概ね企業にとってはポジティブな変化が多いことがわかるでしょう。

SNSの本質はコミュニケーション、コミュニティなので、オフラインイベントの代わりの役割を果たすことができます。それでいて、オフラインイベントより圧倒的にたくさんの見込み顧客と関係を築く事ができます。オフラインイベントで1000人集めるのは大変ですが、Twitterのフォロワーを1000人集めるのはそこまで難しくありません。

スモールマスの観点から見ると、SNSはより多くのメリットがあります。スモールマスの目的は、セグメントされた見込み顧客と関係を築くことです。ターゲティング広告、フォロワーに向けた情報発信はまさにその目的を達成する手法です。

今、マーケティングに求められているのは「覚えてもらう、思い出してもらう」ことではなく、「この商品がほしい、このお店に行きたい、このサービスを利用したい」と思ってもらうことなので、従来のマス広告のように一方的に情報を届けるのではなく、SNSを通じて継続的に情報を届け、双方向的なコミュニケーションを取ることが有効です。

それでは、主要SNSの特徴を見ていきましょう。

Twitter

日本では最も利用者が多いSNSで、「情報のライフライン」と呼ばれています。Twitterをビジネスに活用するときは、2つのことを意識しましょう。

1つは、政治関係のニュースメディアとして情報を得たり、その瞬間を共有して楽しむ場として利用されることが多いということです。

「新型コロナウイルス感染症拡大に伴うSNS利用実態調査」では、コロナ禍において利用が最も増えたSNSとしてTwitterが上げられていますが、これはTwitterがニュースメディアとしての側面を強めたためです。

感染状況や政府の発表がすぐにシェアされ、それに対する有識者、一般人の意見もすぐに投稿されます。

またイベントごとなどを同時に投稿し、その瞬間を共有することを楽しむ傾向にあります。毎年元日やエイプリルフールのツイートが話題になりませんか?最近はテレビ番組も感想をハッシュタグで募集することが多く、Twitterとの連携を強めています。これも同じ番組を見ている離れた人とその瞬間を共有する行為です。

つまり、Twitterとは「最新情報とその意見を知る/発信する」と「その瞬間を周囲と共有する」という大きな利用目的があります。

つまりビジネス目的でTwitterを利用するときは、世間一般のイベントと重ね合わせることだ成功の秘訣です。例えば、元日にフォロワー(顕在的なファン)がツイートしていたら「今年もよろしくお願いします」というリプライをつけるなどです。一方的な情報発信ではなく、なにかを共有・共感する小さなコミュニケーションが効果的です。

2つ目は、拡散力です。シェアの機能は多くのSNSが持っていますが、Twitterは「リツイート」によりシェアする文化が根づいています。しかしビジネス目的のツイートでシェアを狙うのは簡単ではありません。無理に拡散を広げるよりもフォロワーの投稿に細かく反応するなど、同じコミュニティの仲間であることをアピールしていきましょう。

Instagram

Instagramとは何者だ? 13のデータで捉えるビジネスチャンスの正体」という記事で詳しく紹介していますが、Instagramはビジネス利用に向いているSNSです。購買転換率が高い、企業の投稿を受け入れやすい、企業アカウントをフォローする人が多い、などいろいろなデータがあります。

そんなInstagramをビジネスに活用する場合、大切なのはストーリーです。

InstagramはTwitterのようにニュース性やリアルタイム性を求められることはありません。その代わりにストーリーや感情、雰囲気が求められます。

コンテンツの消費期限が早いと言われるSNSですが、Instagramにおいては数ヶ月前の投稿にリアクションが付くことも珍しくありません。ユーザーはハッシュタグなどいろいろな方法でコンテンツを渡り歩きます。Twitterのようなタイムライン型の場合、過去のコンテンツを遡るのは大変ですが、Instagramは検索結果やプロフィール画面でタイル型を採用しています。そのため、過去の投稿も見られることが多く、コンテンツの消費期限が長いのです。

最近はリールなど動画コンテンツの機能が増えてきているので、ビジネス活用に置いても動画でどれだけストーリー、雰囲気を伝えられるかが重要になるでしょう。

Facebook

ここ数年、日本国内ではFacebookの利用者がほとんど増えていません。むしろアクティブユーザーは減少傾向にあります。しかし、ビジネスチャンスが非常に大きいため再注目されています。

その理由は「コミュニティ」の重要性が再認識されてきたからです。ここ数年マーケティングのテーマは「一方的な広告から双方向のコミュニケーションへ」でした。そして、企業と消費者が最も濃くコミュニケーションする場所がコミュニティです。

Facebookでは企業が情報を届けるFacebookページの他に、参加者が平等に投稿し会えるFacebookグループなど、様々な機能があります。そうした機能が「一方的な広告から双方向のコミュニケーションへ」というテーマに合い、再注目されています。

また、Facebook広告の精度の高いターゲティング・豊富なクリエイティブも注目されている理由の1つです。

ユーザーの広告慣れ、Web広告を活用する広告主の増加により、費用対効果を高めることが難しくなっています。そんな中でターゲットをピンポイントに狙い、最適なクリエイティブで訴求できるFacebook広告が再評価されています。

LINE

最後にLINEです。LINEはコロナに関する調査で厚生労働省と協力してアンケートを実施するなど、企業が提供するSNSの域を超え、日本人の生活になくてはならない存在になっています。

LINEは利用者の量も利用頻度も圧倒的なので、上手く行けば非常に効果的です。ただし、1つ注意する点があります。それは新規顧客を獲得することが難しい点です。

LINE公式アカウントを友だち登録してもらえたら、積極的に情報を届けることはもちろん、アンケートなどいろいろな機能を使ってコミュニケーションを取ることができます。しかし、Twitterのように気軽にシェアする文化があるわけでも、Instagramのようにハッシュタグ検索が一般的なわけでもありません。

既存顧客との関係強化・関係維持には有効ですが、新規顧客を獲得するには他SNSの活用やLINE広告などいろいろなプッシュ施策も必要になるでしょう。

まとめ

今回は新型コロナウイルスの影響で起こったマーケティングの変化として、SNS活用をテーマにお送りしました。

新型コロナウイルスにより「ニューノーマル」などと呼ばれる変化が起こっていますが、実際には数年前から徐々に進んでいたデジタルシフトが加速したに過ぎません。

そのため、今の状況、変化は一時的なものでコロナ収束後、元に戻ると考えるのは危険です。

EC化率は徐々に上がり続けEC展開する企業は年々増えていましたし、テレワーク導入率も国が目標を定め、それに向けて浸透していました。フードデリバリーも急速に普及しましたが、数年前から注目されていました。それに伴い、従来のマス広告・看板広告等への投資が大きく減りましたが、これも数年前から徐々に減り続けています。

当然、マーケティングの変化も一時的なものではないでしょう。今は「コロナが収束したら元に戻る」と耐える時期ではありません。新しいマーケティング手法を取り入れ、一気に加速したデジタルシフトに対応する必要があります。

そのための方法の一つとして、今回はSNS活用、SNS広告を取り上げました。

まだアカウントを作っていない、アカウントはあるけど運用してないという場合は、ぜひ活用に向けて動いて見てください。すでに活用している場合は、SNS広告などさらにプッシュする施策を試してみるのもいいでしょう。