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YouTubeを見ていると目を惹くのはセンスのいい動画の数々。サムネイルやフォント、BGMまで洗練されたイメージがあります。最近は個人のユーチューバーも、プロ顔負けのクオリティで投稿していますよね。
企業の動画活用が急速に進み、YouTubeチャンネルを持つ企業が増えたからこそ、そんな動画を見て「センスがいい動画はどうやって作るんだろう……」と考えている方も多いはず。
そこで今回は、センスがいい動画を作る方法を解説します。プロ顔負けの、とまではいきませんが、「センスがいい」動画は3つのステップで簡単に作れます。これからYouTubeに動画をアップしようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
センスがいい動画を作るためには
センスがいい動画は目を惹きます。YouTubeで何かキーワードを検索すると、同じテーマでたくさんの動画が表示されます。同じテーマの動画が並んでいたとして、もっともクリックされるのはセンスがいい動画です。
例えば、こちらは「iPad Pro 活用」と検索した結果。奮発してiPad Proを買ったはいいけれど、YouTubeとネットフリックスくらいにしか使ってない、他の人はどんな風に使っているんだろう、と考える人は多いでしょうし、買う前にiPad Proでどんなことができるのか調べる人も多いと思います。
そうした人が調べると、10分以上しっかり解説された動画がたくさん出るんですが、全部見るでしょうか?サムネイルやタイトルなどをヒントに、数個だけ見ると思います。
その数個に選ばれることが非常に重要なのですが、これもセンスの一つです。
そもそも、センスとはなんなのでしょうか。大辞林 第三版には「物事の微妙な感じや機微を感じとる能力・判断力。感覚。」と書かれています。センスは才能と考えてしまいがちですが、実は細部まで行き届いたこだわりが生み出すものです。
動画におけるセンスとは「ターゲットに対してわかりやすく情報を伝える能力」です。何をどう伝えるのか?この部分を極めれば、だれでもセンスがいい動画を作れます。今回はそんなセンスがいい動画の作り方を解説します。
センスがいい動画を作る3つのメリット
センスがいい動画には3つのメリットがあります。
1つ目は「目を惹く」点。YouTubeには同じ検索ワードでも、数多くの動画が表示されます。この中でほかの動画ではなく、自分のコンテンツを選んでもらうためには、目を惹かなければいけません。センスがいい動画は魅力的で多くの人の目を惹きます。
2つ目は「リピーターが生まれる」点。ある動画を見てセンスがいいと感じたら、ほかの動画も見てみよう!という気になりますよね。また新しい動画を見るためにチャンネル登録してくれたり、SNSをフォローしてくれたりするかもしれません。ユーザーの期待値を上回るセンスを見せつければ、リピーターが生まれます。
3つ目は「ブランディングになる」点。後ほど解説しますが、センスがいい動画を作るためには、ブランディングが大切です。動画だけではなく、サムネイルやフォント、BGMなど、あらゆる要素が組み合わさってセンスになります。センスがいい動画は、あなたのブランドになるのです。
センスがいい動画を作る「3」のステップ
それでは、どうやってセンスが良い動画を作ったらいいのでしょうか?
「センスがいい動画を作ろう」と思って勝手にセンスが良い動画ができたら苦労はしませんよね。
実際、非常に難しいことなのですが、ちょっとしたポイントを意識するだけでグッとセンスがよく見えます。ここでは、センスがいい動画を作る3つのステップを解説します。
センスがいい動画を作るためには、空気感の統一が大切です。サムネイルやフォント、BGMといった要素は、特に統一しやすいです。今回はこれらの要素をどのように考え作るのか?この点について解説します。
動画の中身も大切ですが、それらを伝える要素も重要です。素材を作るよりもどう生かすかを学び、センスのいい動画を作ってください。
ステップ1:サムネイルは動画の表紙
YouTubeで動画を見る際に、まず目に入るのがサムネイルです。サムネイルは動画にとっての表紙です。表紙に惹かれなければ、だれも動画を見てくれません。だからこそ、多くの人はサムネイルにこだわります。人気ユーチューバーの中には、本編の編集よりもサムネイルのほうに時間をかける方もいるようです。それくらい重要な要素ということですね。
ただしサムネイルにこだわる場合は統一感に注意しましょう。たとえば、おしゃれなサムネイルだと思ってクリックしたら、全くおしゃれな動画ではなかったといったケース。サムネイルの内容と動画の中身が違うと、ユーザーは続けて見てくれません。これではユーザーの期待値以下の内容になってしまいます。
サムネイルは表紙だと考え、中身の雰囲気と統一してください。雑誌を購入する際に、表紙の雰囲気が中身に反映されてなかったらどう思うでしょうか。必ずサムネイルと中身は統一感を持って制作しましょう。
それでも魅力的なサムネイルでクリックさせたらいい、とおもうかもしれませんが、そうはいきません。YouTubeは再生回数よりも視聴時間を重視しています。サムネイルと本編に統一感がなく、すぐに視聴をやめられてしまったら、「質が低い動画」「ユーザーニーズを満たしていない動画」と判断され、そもそも検索結果に表示されにくくなってしまいます。
ステップ2:フォントをコントロールする
センスがいい動画に重要なのはフォントです。動画では、サムネイルと中身にフォントを使うケースが多いと思います。この部分をコントロールすると見違えるようにおしゃれになります。
フォントには大きく分けて明朝体とゴシック体が存在します。英語圏の言語であれが、セリフ体とサンセリフ体といいます。明朝体はフォーマルで繊細なイメージ、ゴシック体はポップで力強いイメージを持っています。この2つを間違えるだけでも大きくイメージが変わるのです。
【おすすめのフリーフォントサイト】
フォントフリー :http://fontfree.me/
ためしがき:https://tameshigaki.jp/
FONT BEAR:https://fontbear.net/
上記はおすすめのフリーフォントサイトです。こちらから、世界観に合う雰囲気のフォントを選んで使用してください。また動画内でフォントを利用する際は、著作権に注意しましょう。
フリーフォントと書かれているからといって、そのまま使っていいわけではありません。必ず著作権を確認した上で、ルールを守って利用しましょう。
フォントの使い方のコツは、統一感です。遊びとしていろいろなフォントをアクセントに使うのは問題ありませんが、基本となるフォントはサムネイルと動画全体、チャンネル全体である程度統一させましょう。フォントは意外なほどユーザーの態度に影響を与えます。
ステップ3:BGMにこだわる
動画には映像だけでなく音があります。動画中に流れる音楽に気を配ることで、センスがいいイメージを与えられます。また音楽はユーザーの感情をコントロールできる要素の一つです。映画音楽では映像と音楽を組み合わせて、観客に喜怒哀楽の感情を呼び起こします。
動画に利用する音楽は、できるだけ単調なものがおすすめです。空気感をコントロールする意味でも、音のみで構成された「Instrumental」や、心地よいリズムが続く「Lo-fi HipHop」といったジャンルがいいでしょう。
さっそく、おしゃれな動画に使われることの多い「Lo-fi HipHop」を聞いてみましょう。
どうでしょうか。単調なフレーズがなんども繰り返される音楽なので、動画の邪魔になりませんよね。映画音楽もそうですが、邪魔にならないというのがポイントです。
動画に合わせる音楽を選ぶ際は、フォントと同様に著作権に気をつけましょう。YouTubeでは数多くの方が動画を見ます。あまり閲覧が伸びていないからといって著作権違反の音楽を使うのは避けてください。
YouTubeは優れた著作権チェック機能を持っているので、動画が削除されたりすることもあります。
厳選したセンスがいい動画を紹介
最後にYouTubeに存在するセンスがいい動画を紹介します。映像はもちろん、フォントやBGMにもこだわっている動画のみを集めました。今後の動画作りの参考にしてください。
事例1 クセのないフォントとサイズ
無駄な要素がなくシンプルなフォント使いが特徴的な動画です。クセのないフォントに、ちょうどいい文字の大きさ。この2点を守るだけでもおしゃれな雰囲気になります。BGMも動画に調和しており、センスのいい雰囲気が漂っています。
事例2 ハイセンスな映像とBGM
動画の始まりから洗練された雰囲気が伝わってきます。文字のフェードインに合わせたBGMは、一気にユーザーの目を惹きます。これから始まる動画に思わずワクワクしてしまうオープニングです。
また本編では、いくつものBGMを使い分けて、視聴者のテンションをコントロールしています。動画に使う音楽は一つでなくても構いません。動画の内容に合わせて緩急をつけてあげると飽きずに見てもらえます。
事例3 一貫した世界観
一定のリズム感が心地よいおしゃれな動画です。フォントは細い明朝体を使っており、厳格な中にも柔らかな雰囲気が漂っています。BGMは伝えたい内容を邪魔せず、そっと寄り添う程度。
また動画のカット割りが秀逸なので、飽きずに視聴できます。動画、フォント、音楽で世界観を作り出す。まさにセンスのいい動画といえるでしょう。
事例4 イラスト&デザイン
おしゃれなイラストとフォントが魅力的な動画です。特にフォントは和文・欧文ともにセンスよく使用しており、デザイン性の高さが伺えます。イラスト、フォント、写真、BGMだけで作られた一味違った動画です。
事例5 ブランドイメージを何気なく訴求
ユーチューバーばかりではあまりピンとこないかもしれないので、BtoBのSaas型マーケティングプラットフォーム「Hubspot」の例を見てみましょう。
HubSpotはうまくYouTubeを活用しているBtoB企業です。BtoBの商品はBtoCに比べると顧客数が少なく、YouTubeと相性が良くないように感じますが、HubSpotのYouTubeチャンネルは10万人以上がチャンネル登録しており、同社の顧客獲得・関係構築チャネルの一つになっています。
それぞれの動画はそこまでこった内容になっていません。利用者のインタビュー動画やHubSpotのアップデート情報、活用方法、イベント報告など、そこまで難しい動画制作テクニックを使った動画ではありません。
しかし、ところどころに同社のブランドカラーであるオレンジを効果的に使ったり、HubSpotと似たようなUIをあしらうことで、情報を届けるだけでなくブランドイメージを認識させています。
事例6 YouTube活用の先駆者
AdobeはBtoBを中心に個人クリエイターなどが利用するツールを提供していますが、BtoBソフトウェアで同社程YouTubeを効果的に活用している例はほとんどありません。
いくつかのチャンネルを持っていますが、上記のAdobe Creative Cloudのチャンネル登録者は89万人です。
動画のセンスという意味で、Adobeの右に出るYouTubeチャンネルはなかなかありません。
フォント一つとっても、利用者向けのコンテンツでは細いサンセリフ体(ゴシック体)を、新規利用者向けには太目のサンセリフ体(ゴシック体)と使い分けています。
動画制作に取り組むとAdobe premiere proというツールを使う機会が出てくると思うので、センスを磨くだけでなく、純粋な学習としてみておきたいチャンネルです。
事例7 チャンネル登録者10万人越えながらサムネイルに気を使わないと
最後に、あまりよくない事例ですが、「Microsoft Azure」のYouTubeチャンネルを紹介します。Microsoftが提供するクラウドサービス「Microsoft Azure」は非常に革新的なサービスで、AWSやGoogle Cloudと並んで多くの企業が活用しています。
そのため、チャンネル登録者数は15.6万人とBtoBにしてはかなり多いのですが、再生回数が以外と少ないのです。
こちらは3か月ほど前に投稿された動画ですが、再生回数は1300回程。他にも数か月前の動画で1000回前後のものが多くあります。15万人もチャンネル登録者数がいるので、単純にその10%が見てくれても1万5千回再生になるのですが、なぜでしょうか。
この記事を読んで、チャンネルページを見れば理由が分かると思います。「Microsoft Azure」はサムネイルに注意を払っていないのです。
あまり目を引くサムネイルではないですね。実はHubSpotもあまりサムネイルに力を入れているようには見えません。そのため、チャンネル登録者数の割には再生回数が少ないイメージです。
もちろんそれだけが理由ではないですが、サムネイルに関しては個人ユーチューバーのほうが気を使っている印象があります。
まとめ
今回は活用が広がる動画マーケティングについて、センスが良い動画を作るポイントと事例を紹介しました。3つのステップを意識して、動画の素材はもちろん、サムネイルやフォント、BGMを少しこだわるだけで、ぐっとセンスが良くなります。
企業の動画活用はまだまだ始まったばかりで、十分に体系化・ノウハウ化されているわけではありません。現在、動画マーケティングというと、ユーチューバーの起用や動画広告がメインですが、徐々に広がってきていることも確かです。
今後も試行錯誤が続き、BtoCやBtoBにかかわらず利用が広がっていくでしょう。この記事が貴社の動画活用のヒントになれば幸いです。