【近くなるAI】CRM最大手セールスフォースとAppleが連携

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【近くなるAI】CRM最大手セールスフォースとAppleが連携

9月25日から4日間、「Dreamforce2018」というイベントがサンフランシスコで開催されました。

DreamforceとはCRM(カスタマー・リレーションシップ・マーケティング)ツール最大手のセールスフォースが毎年秋に開催するイベントです。

90か国以上から17万人以上の人が参加する巨大イベントで、CRMの注目度がうかがえます。

Dreamforce2018で語られた「セールスフォースのビジョン」の中に、非常に興味深いものがありました。Dreamforce2018の内容はもちろん、セールスフォースCEOのキース・ブロック氏と日本経済新聞のインタビューを中心にご紹介します。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マーケティング)とは

数年前から注目を集めているCRMは、顧客の情報、顧客との関係を管理し、マネジメントに活用するマーケティング手法です。

単に「顧客情報管理」や「顧客管理システム」といわれることもありますが、CRMは情報を管理することではなく、管理された顧客情報をもとに顧客のロイヤリティ、呼格満足度の向上を目的としています。

MA(マーケティング・オートメーション)やSFA(セールス・フォース・オートメーション)など、似た機能を持ったツールも数多くありますが、それぞれ目的が異なります。

MAはマーケティング全体の自動化を目的としています。つまり、リードの獲得から育成、クロージング、収益の最大化など、全体的に管理、最適化することができます。マーケティング活動全体を俯瞰し管理できることが特徴です。

SFAは主にBtoB企業で活用されており、見込み客の獲得からクロージングまでの営業フローを管理します。BtoBでは商談から成立までの期間が非常に長い場合があります。確度の高い見込み客を判断し、営業に取り次ぐ。そこから商談管理や期待売上などを管理し、営業リソースを無駄なく活用できます。

Apple連携によりCRM、AIがより身近に

Dreamforce2018では、データ統合環境を提供する「Customer360」や音声でツールを動かせる「Einstain Voice」など、セールスフォースのビジョンを伝える発表が数多くありました。

しかし、中でも注目された発表は「Appleとの提携」でしょう。ここからは2018年10月3日に掲載された、日本経済新聞とセールスフォースのCEOキース・ブロック氏のインタビューを中心にご紹介します。

セールスフォースは2022年に売上高を現在の2倍の230億ドル(約2兆6千億円)に伸ばす計画を掲げています。

CRMの市場規模は年平均14%で拡大しています。その中でセールスフォースは毎年30%のペースで成長を続けており、世界シェアの20%を占めています。

アップル連携軸に成長 米セールスフォース共同CEO:日本経済新聞

 

Q:Appleと提携した狙いは何ですか

A:CRMなど我々のクラウドサービスをAppleの携帯端末で利用しやすくするためだ。同社の『iOS』向けにソフト開発キットを提供、音声認識技術の『Siri』などと直接連携できるようにする。我々の人工知能(AI)『アインシュタイン』も携帯端末から利用できるようになる

 

『アインシュタイン』とは、セールスフォースが開発したAIです。セールスフォースのCRMツールに組み込まれており、顧客データをもとに予測や提案を行います。

「天才は複雑なことをシンプルにする」というアルバート・アインシュタインの言葉通り、『アインシュタイン』は徹底してシンプルで、使いやすさを追求しています。

Q:アプリ連携ソフトの米ミュールソフトを65憶ドルで買収しました。

A:我々の企業買収では過去最大だ。同社の技術により、異なるプラットフォームのデータを瞬時に連携させられるようになった。デジタル革新が企業の最大課題になる中、必要なデータの統合を簡単に進められる。

我々は米IBMや米アマゾン・Web・サービス(AWS)などとも提携している。今後重要なのは、あらゆるものがネットにつながる『IoT』の分野だ。アインシュタインとIBMのAI『ワトソン』をつなぎ、エレベーターなどの故障の発見予測から整備しや部品の適正配置までAIでできるようにした

 

ミュールソフトは、アプリケーションとデータをAPIで接続・連携するiPaaSプロバイダです。

iPaaSとは、「Integration Platform as a Service(サービスとしての統合プラットフォーム)」のことで、企業のクラウド活用のために様々なプラットフォームを統合するプラットフォームです。

CRMをはじめ、新しいツールを企業が導入するとき、これまでツールとの差異が壁になります。いわゆるレガシーシステムの障害により、CRMやMAといった革新的ツールの導入に踏み切れない企業も数多くあります。

セールスフォースはミュールソフト買収をはじめ、様々なサービスとの連携に力を入れているのは、企業のシステム導入障壁を下げる目的があります。

CRM世界最大手のセールスフォースの今後、何よりも、マーケティングの未来について、期待できるニュースでした。