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今回は、新聞やテレビでほとんど毎日目にするほど注目されている「シェアリングエコノミー」「シェアリングサービス」をテーマにお送りします。
特にここ数年、耳にする機会が増えてきた言葉ですが、なかなかよくわからないという方も多いでしょう。また、海外で注目されているだけで、日本ではまだまだと思っているかもしれません。
ここでは、シェアリングエコノミーとは何か、また具体的なサービスの内容について、まとめてみたいと思います。
シェアリングエコノミー(共有型経済)とは?
シェアリングエコノミー(Sharing Economy)は直訳すると「共有型経済」となります。簡単に言ってしまうと、モノを個人が独占的に所有するのではなく、それを必要とする人たちが共有するという経済のあり方のことです。
つまり、モノを購入し、所有するのではなく、貸し借りで成り立つ経済のあり方のことです。
数年前から「ミニマリスト」という考え方が広がり、若い人を中心に「無駄なモノは持たないほうがいい」「モノは必要な時にだけ借りればいい」という考え方が広がってきました。
シェアリングエコノミーが誕生した背景には、こうした時代背景、文化の変化があるといわれています。
2000年代の後半から世界的な潮流となりつつあり、貸したい人と借りたい人を結びつける「シェアリングサービス」の事業者が増えています。
ビジネス用語を使って説明するなら、シェアリングサービスは企業(Business)と企業が取引をする「BtoBサービス」や、企業が消費者(Consumer)向けに提供する「BtoCサービス」といった従来のものとは違う、「CtoCサービス」といえます。
当事者となるのは消費者と消費者で、サービス事業者はその仲立ちをすることになります。
シェアリングエコノミーの歴史
シェアリングエコノミーは、さまざまなモノの中でも特に「住まい」という分野で始まりました。
2008年にオープンした、一般の住宅を旅行者などに貸し出す「民泊」のサービスを提供するWebサイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」が、具体的なシェアリングサービスの最初の例であるといえます。
現在、「Airbnb」は日本を含む190ヶ国以上で活用されています。
また、日本では2018年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行されたことで、さらに民泊の認知度が上がり、利用者が増えています。
もしもマンションやアパートにお住まいなら、オーナーから民泊に関する通知があって驚いた、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、開催を2年後に控えた東京オリンピック・パラリンピックでの活用が期待されているのも大きなポイントです。
東京オリンピック・パラリンピックに関しては、競技場、ボランティアなど問題が山積です。しかし、中でも特に大きな問題のひとつは、全国から、そして全世界から狭い東京に押し寄せるサポーターの宿泊施設をどうするかです。
ホテルや旅館だけでは足りません。そこで期待されているのが、民泊という住まいのシェアリングサービスなのです。
さらに今、住まいにとどまらない、さまざまなモノのシェアリングサービスが利用されています。
たとえば、自動車。車を使いたい人と、使っていない車を貸したい人が登録できる「CaFoRe(カフォレ)」というカーシェアリングのサイトがあります。
また、人の時間や専門スキルを活用できるシェアリングサービスも活用されています。
「自分のスキルを活かしたい」という人と、「専門スキルを利用したい」あるいは「学びたい」という人をつなげるシェアリングサービスがあります。
以下、そんな“スキルのシェアリング”ができるサービスについてまとめてみました。
スキルや余剰(無駄)をシェアする注目のサービス
ここで紹介するのは、日本で利用できる“スキルのシェアリングサービス”です。
世界的に有名なライドシェア(相乗り)のウーバーですが、白タクとして規制されており、現在日本国内では利用できません。
シェアリングエコノミーは新しい概念の経済のため、国によって規制の壁が課題になっています。
これから紹介するシェアリングサービスは、それぞれ専用のWebサイトがあり、登録したうえで利用することになります。
自分のスキルを活かして副業を始めてみたり、毎日の生活を少し楽にするサービスがたくさんありますので、ぜひチェックしてみてください。
Airbnb(エアビーアンドビー)
シェアリングエコノミーの火付け役とも言えます。2008年にアメリカでサービスを開始し、2014年から日本でも提供され始めました。
2017年11月に独占禁止法違反の疑いで日本法人が検査されたり、住宅宿泊事業法(いわゆる民泊新法)の施工の影響により掲載物件が大きく減少したりと、ネガティブなニュースで印象に残っている方も多いと思います。
日本は世界に比べて民泊の利用率が非常に低い状態にありますが、東京オリンピックや大阪万博といった国際的なイベントをきっかけに普及していく可能性があります。
CaFoRe(カフォレ)
カーシェアというと、「タイムズカーシェア」が有名です。しかし、タイムズカーシェアの場合は貸し出す車をタイムズ側が用意しているため、シェアリングサービスの特徴であるCtoCではなく、BtoCのサービスです。
「CaFoRe」は、「車を持っているがあまり使っていない」人と、「車を持っていないがたまに使いたい」人を結びつけるサービスです。貸し出す側は車庫においている車を有効活用して副収入を得ることができ、借りる側はレンタカー感覚で安く車を利用できます。
クラウドワークス
「クラウドワークス」は、主にWeb関係のスキルを持つ人たちが登録し、個人のスキルを共有し合うサービスです。たとえばWebサイトのデザイン、ロゴ作成、キャッチコピーやサイト内コンテンツのライティングなどを依頼することができます。
またWeb関係に限らず、画像や動画の作成、翻訳などのスキルを活かしたい、スキルを借りたいという人たちが利用しています。
副業解禁が取り上げられる中、これからさらに伸びていきそうなシェアリングサービスの一つです。
AsMama(アズママ)
いわば、“ママの子育てスキル”をシェアリングできるというのが、「AsMama」の基本です。
特に都会では核家族化や地域社会の希薄化が進み、子育てに悩む若いカップルが身近な人に相談できずに困ってしまうという状況が見られつつあります。
そこで利用できるのが、「AsMama」です。登録するママたちで保育園の送り迎えを助け合ったり、ベテランママさんに相談したり、地域交流会で孤立を避けたりすることで、より充実した子育て生活を送ることができます。
AsMamaが対象を“子育て中のママ”に対象を絞っているように、非常にニッチな業界でも数多くのシェアリングサービスが生まれています。
tadaku(タダク)
日本に住む海外の人々の“料理スキル”をシェアできるのが「tadaku」です。美味しい本場の家庭料理を学べる個人の料理教室に参加することができます。
多くの場合、ホストの自宅にゲストが複数人招かれて一緒に料理を作ったり食事を楽しんだりするという流れになっており、料理を通じた“プチ国際交流”の場になっているのもポイントです。
国ごとの料理を楽しむことはもちろん、料理をきっかけに英会話を学んだり、旅行で訪れた土地の思い出を懐かしんだりと、様々な体験を提供しています。
※Airbnb https://www.airbnb.jp/
※CaFoRe http://www.cafore.jp/docs/guide_cafore/
※クラウドワークス https://crowdworks.jp/
※AsMama http://asmama.jp/
※tadaku https://www.tadaku.com/
まとめ:シェアリングエコノミーの今後
今回は、急速に広がるシェアリングエコノミーとは何なのか、実際にどんなサービスが提供されているのかをご紹介しました。
数年前まで日本は規制が強く、シェアリングエコノミーが普及しないといわれていましたが、現在では海外のサービスが進出するだけでなく、日本初のシェアリングサービスも生まれています。
「モノを持たず必要な時にだけ借りる」「使っていない時間やスキルを有効活用する」という考え方は、個人が力を持つ現代にマッチしています。
すでにご紹介したように、シェアリングエコノミーは東京オリンピックなど国際的なイベントを機に急速に広がる可能性があります。
今回はCtoCのシェアリングサービスを中心に紹介しましたが、カーシェアの「タイムズカーシェア」やシェアオフィスなど、BtoCでの広がりも期待できます。
シェアリングエコノミーは、貸し手と借り手がいればほとんどどんな業界でも成り立つ事業形態です。AsMamaのようにニッチな事業も数多くありますので、ぜひ興味がある業界について調べてみてください。