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2020年1月、株式会社アイビスがリリースした「動画広告まるっとおまかせプラン」
年々移り変わる広告ニーズを踏まえ、大企業だけでなく中小企業でも動画広告を活用しやすいように設計された広告運用パッケージです。
今回は、サービスの立ち上げを担当した広告プランナーの宮口さんに、動画広告市場の現状や展望、「動画広告まるっとおまかせプラン」が生み出す広告効果について伺いました。
広告施策は“全体最適化”を考えなければいけない
安居(Grab編集長):よろしくお願いします。ではまず簡単に、自己紹介を。
宮口(広告プランナー):よろしくお願いします。宮口です。アイビスに入社する前は求人広告の提案や原稿作成、制作業務のほか、市の広報業務等を担当していました。採用は経営において重要なテーマです。取材を通して多くの企業様から経営の課題や悩みを伺ってきましたが、課題解決に向けてサポートしたくても採用以外のことは関われない。そんなもどかしい思いを抱えていた時にアイビスに出会ったのです。お客様を大切にし、要望に対してマルチに対応する総合広告代理店であることを知り、転職を決めました。正直、私は求人以外の広告プランニングの経験はなかったのですが、経営課題に直面していた経験から「動画広告まるっとおまかせプラン」の立ち上げに関わらせていただきました。
安居:プランニングの経験がないのに新サービスの立ち上げにかかわるのは大変だったと思います。経験がない分、費用が高い、ブランディング向きといったイメージのある動画広告を低価格、成果重視のプランにできたのかもしれませんね。「動画広告まるっとおまかせプラン」ですが、一言でいうとどういったサービスなのでしょうか?
宮口:名前の通り、動画広告をまるっと一任していただけます。広告で成果を得るには、企画・提案から、広告クリエイティブの制作、運用改善、分析と様々なタスクをこなす必要がありますが、それらをすべて1つのパッケージにしたのがこのプランです。
安居:一任できるのはいいですね。広告クリエイティブの制作会社と広告の代理店が異なると、ミスコミュニケーションが生じ、広告の役割とずれたクリエイティブになってしまいますから。
宮口:はい。広告主様からすれば意外かもしれませんが、すべてを社内で完結できる制作会社、代理店はそう多くありません。広告を最適化するには企画、制作、運用が一体となる必要があります。アイビスは大阪の広告代理店としてはかなりの規模で、これらすべてを社内で完結できる体制が最大の強みです。もちろん、広告運用をA社、デザイン制作をB社と依頼先を変えるのもいいと思います。しかし依頼を1社に絞り、一貫した数字を追いかけるからこそ分かるデータが“本当の財産”だと私は考えます。広告運用とデザインを別々に改善しても、“最適化”とは言えませんからね。
安居:広告成果、コスト面ではやっぱり一任したほうがいいですよね。複数の代理店に依頼した場合、部分最適化はできても全体最適化は進みません。代理店の管理も結構な手間ですから。
宮口:前職ではリソースもなく、予算に厳しかったので新しい広告施策を行うときは大変でした。広告運用、デザイン制作、動画と一番安い代理店を探して別々で発注していたのですが、外注コストは下がったものの、代理店の管理、コミュニケーション、品質維持で社内コストは膨れ上がっていました。見かけ上のコストは下がり、利益を確保できたとしても、人件費にコストがかかっては意味がないことを痛感しましたね。そんな経験からすべて1社に任せたほうが外注コストは上がったとしても、社内コストとか最適化の面でメリットが大きいという考えがずっとあって、このプランを考える時にも“まるっとすべて任せられるパッケージ”にこだわりました。その上で、アイビスの実績とか能力とか、広告主様からの要望を考えて動画がいいなと。
動画広告は多くの広告主が求めている
安居:ありがとうございます。2019年、動画広告の市場はかなり大きく成長しました。これからも成長し続けると想定されます。動画広告はブランディングに強いイメージがありますが、実際はどうでしょうか。
宮口:動画広告の市場規模は2016年から2023年までの間に4倍以上になるといわれています。様々なリサーチ結果が、動画広告の重要性を裏付けています。広告主様が動画広告に投資を増やすということは、効果があることの証明でもあります。
「動画広告まるっとおまかせプラン」は、動画広告に興味はあっても予算やリソース、広告施策の全体設計などいろいろな課題からチャレンジできなかった企業様にぜひ試してほしいサービスです。動画広告自体は認知獲得に有効で、一般消費者向けのプロモーションであればどんな商品・サービスでもマッチする広告施策です。
安居:具体的にはどういった業界や課題解決の利用に向いていますか?
宮口:今必要とされているのは求人広告ではないでしょうか。今はどの企業でも優秀な人材の確保が課題になっていますから。特に新卒採用は企業ブランディングが肝になっており、最近では大手求人媒体頼りだけではなく、自社の求人サイトを活用するケースが再び増えています。そんな企業様にこそご利用いただきたいですね。もうひとつ例を上げるとすると、飲食や習い事、美容関係といったサービス業です。こうした業界はストーリーを魅せることが非常に重要で、動画広告と相性がいうデータがあります。もちろん、他の業界でも活用できますし、認知拡大から問い合わせ獲得まで、様々な目的に効果的です。
また、“まるっとお任せ”がテーマなので、「これまでWeb広告に取り組んだことがない」、「代理店に任せきりでよくわからない」、「動画広告はハードルが高そう」という方に特にご利用いただきたいです。お客様には、はじめにヒアリングシートのご記入をお願いしますが、あとはアイビスのスタッフがサポートします。営業はお客様目線で一緒に目標達成を目指しますし、ディレクターはマーケティング、広告、制作と幅広いスキルを持っています。運用者は市場の変化に合わせた新しいスキルを身につけるため、社外セミナーへの参加など、積極的に取り組んでいるスタッフが多く在籍しています。デザイナーも広告や流行に敏感でありながら、個性的な腕の良いメンバーが揃っています。こうした人たちが、仕切りのない一つのフロアで働いていることも、広告代理店であるアイビスにご依頼いただく大きな魅力です。「何もわからない」という方も安心してお任せいただきたいと思います。
安居:確かに、アイビスにはいろんなスキルを持つ人がいて、ワンフロアで一緒に仕事をしているというのが大きな魅力だと思います。このプランを考えたきっかけも、そういう社風というか、体制を意識してでしょうか。
宮口:もちろんそれもありますが、一番のきっかけは広告主様からの要望です。動画広告に関する問い合わせが増えている現状はもちろん、様々な調査結果から手軽にチャレンジできる動画広告が必要だと考えました。2020年以降は5Gの普及によってさらに動画広告が重要になってくるという見方もあります。
「チャレンジしてみたいけど、動画制作にコストがかかりすぎる」
「動画広告をどうやって評価したらいいのかわからない」
「自社のサービスに向いているのか、どのような戦略が有効なのかわからない」
こうした課題を解決できるサービス内容は何だろう?喜んでもらえるサービスは何だろう?と何度もチームで話し合いました。何度もお伝えするように、複数の代理店を経由することで発生するデメリットは非常に大きいです。施策全体をパッケージにするという方法は、一見すると当たり前のように感じます。しかし現実は、少しでも条件のいい代理店を探したい広告主様、自分たちの専業に特化したい代理店様、両社の求めるニーズのずれからこれまでほとんどありませんでした。そのため、当たり前なのに他にはない、ユニークなプランを実現できたと考えます。
安居:施策全体を1つのパッケージにするという考え方は確かに新しいかもしれません。このプランの特徴、こだわりもそこにありますか?
宮口:そうですね。やはり一番は、まるっと任せられるパッケージプランにしたことですね。私自身の経験でもあるのですが、企業のマーケティング、広告担当者は忙しい。複数の代理店を管理しながら、顧客獲得という大きなミッションを与えられ、しかも少人数で、他業務と兼務していたりします。このプランを選んでいただく広告主様も同じように、新しい施策をやりたくても時間が取れない方もいらっしゃるかと思います。このプランを選んでいただくと広告施策の大部分をアイビスに任せられる。動画広告の効果を実感しながら、空いた時間で他の施策を検討したり、本業に専念していただきたいと思います。
まるっと任せることのメリットは手間が省けるだけではありません。蓄積されるデータに一貫性が出ます。どんなユーザーが動画広告を閲覧し、どんな風に行動し、いつ商品を購入したのか。またそれは広告施策を設計したときに想定した数値やペルソナと比べてどうなのか。リアルタイムに反映されるデータを元にスピーディーに運用改善を繰り返せます。
安居:広告主様が広告施策のことで手間を取られなくなるというのはいいですね。
宮口:手間なく成果がでることが一番ですからね。次にこだわったことは“気軽に試せる”ということです。なのでサービスページのデザインもBtoBらしい固い感じではなく、気軽さ、簡単さをイメージしました。どんなにいいプランを作っても、広告主である企業様に実際に試していただかないと意味がありません。何か新しいことを始めるとき、いろんな負担があると思います。私たちアイビスはその負担をできるだけ取り除きたい。費用や契約期間もちろんのこと、申し込み後はヒアリングシートを記入するだけの簡単なフローにしました。
LPも動画も “成果獲得に必要な最低限”にこだわる
安居:ありがとうございます。ようやく本題ですが「動画広告まるっとおまかせプラン」について教えてください。
宮口:「動画広告まるっとおまかせプラン」は、広告効果を最大化するパッケージです。成果シミュレーション、広告施策の全体設計から、動画・LP制作、広告運用、レポーティング、分析・改善まで、動画広告に必要な要素はすべて盛り込みました。広告主様側で何かを手配したり、作業していただいたりする必要はございません。基本的には25万円/月の3か月契約で、その中にLP制作や動画クリエイティブの作成も含んでいます。動画広告の種類は主要媒体であるYouTube、Instagram、LINE、Facebookをご用意しました。基本的な配信計画としては、最初2か月が動画広告、後1か月がGoogleのリスティング広告もしくはディスプレイ広告から選んでいただきます。理由は簡単です。動画を配信して終わるのではなく、契約期間の3か月の中でブランディングから集客まで行いたいからです。ただ商品やサービスによって最適なプランは異なります。広告主様の目的を伺い、営業とディレクターから最適なプランをご提案いたしますのでご安心いただければと思います。
安居:25万円の3か月。その中でLPや動画も作ってしまうのは凄いですね。
宮口: 集客の着地ページとなるLPはスマホ版しか作りません。PC版を作るとどうしてもコストが上がってしまいますが、一番重要なスマホ版だけにすることで抑えられます。消費者向け商材の動画広告において、9割以上がスマートフォンでの表示です。PC版に費用をかけるくらいなら広告費に回した方が費用対効果は良くなります。また、動画も成果を得るために必要な要素に絞りました。まず、撮影はありません。すでにある素材を組み合わせて作成します。動画制作の費用の多くは撮影で、1日スタジオを借りて本格的な撮影をするだけで数十万円から数百万円もかかってしまいます。しかし、広告で大切なのはきれいな映像ではなくメッセージです。撮影しない分、メッセージが確実に伝わる動画作成に注力できるのです。。
安居:PC版のLPについてはおっしゃる通り、ほとんど機能しなくなっていますね。動画制作で撮影なしというのは振り切りましたね。確かに動画の品質にこだわれば撮影は必要かもしれませんが、広告効果を得るという点ではいりませんね。
宮口:メッセージ主体の動画制作に絞ることで、動画制作にかかる費用は数十分の一程度です。しかし成果も数十分の一になるかというと、そんなことはありません。ブランディング目的であれば少し弱いかもしれませんが、商品購入や問い合わせ獲得など、ユーザーに“行動させる”という点でみれば、撮影無しの簡素な動画でも同程度の成果が見込めます。
安居:動画広告で一番大きな課題は動画制作のコストだと思います。ここをクリアできたのは凄いことだと思います。いろいろな媒体を選べるようですが、どういった意図がありますか?
宮口:YouTube、Instagram、LINE、Facebook、そしてGoogleのリスティング、ディスプレイ広告はそれぞれ特徴が全く違います。Instagramはストーリーズへの配信が増えていて、フルスクリーンで没入感のある訴求、次のアクションに繋がりやすいことが期待できます。YouTubeはGoogle広告に組み込まれているので、非常に細かなターゲティングが可能です。広告主様の目的や商材、ターゲット層に応じて柔軟に選んでいただきたいと思います。パッケージ化して試しやすい価格で提供することも大切ですが、目的やターゲットに沿わない施策は効果に繋がりませんから。
気軽なだけじゃなく、成果獲得に必要な要素は譲らない
安居:どんな広告の組み合わせがお勧めですか?
宮口:広告主様によっていろいろな組み合わせができると思います。簡単にですが3つほどご紹介します。
求人広告や認知獲得などに使う場合、ストレートにYouTubeの動画広告を3か月続けるパターンがお勧めです。単に3か月広告配信するといっても、それぞれ目的が違います。最初の1か月目は表示回数を増やすために細かなターゲティングをせずに広告配信します。その後2か月目は視聴率の高いオーディエンスをターゲティングして、視聴回数を増やします。そして3か月目は興味関心の度合いが高いであろう視聴済ユーザーにもう一度見てもらうためリマーケティング広告を配信。動画の魅力は記憶に残りやすいことです。ユーザーに2回視聴してもらえたら、サービス名や企業名がしっかり記憶されます。
若年層向けのサービス業や消費財であれば、InstagramやLINEがマッチします。また、InstagramもLINEも類似オーディエンスという、成果につながったユーザー層と似ているユーザー層にターゲティングを拡張する機能が優秀です。そのため最初から細かくターゲティングし、類似配信で拡大。InstagramはSNSの中でもクリック率が高い広告手法ですが、より行動を訴求するのであれば表示機会が圧倒的に多いディスプレイ広告に展開してもいいと思います。
広告の費用対効果、CPA(顧客獲得単価:1件の成果獲得にかかるコスト)を重視するのであれば、YouTubeからのリスティング広告が定番と考えます。どちらもGoogle広告で運用するため、ターゲティング設定を応用できます。YouTubeで2か月かけて配信することで確度の高いターゲティングを見つけ、3か月目に成果獲得に最も適したリスティング広告を配信。商品によっては、ディスプレイ広告に展開したほうがCPAはよくなるかもしれません。
もちろん、この3例は3か月契約という前提で考えた場合です。正直、3か月というのは効果を得るために必要な最低限の期間です。最初から6か月、1年というスパンで広告施策を設計すればもっといろいろなパターンがありますし、あらゆる目的に対応できると考えています。
安居:確かに、主要SNSとGoogleの検索、ディスプレイがあればほとんどの広告主にとって十分な選択肢ですね。3か月という期間もちょうどいいと思います。1~2か月では戦略的な運用ができませんし、6か月、1年となるとハードルが高い。
宮口:まずは3か月やってみて、効果を実感できれば6か月、1年と続けてほしいですね。「動画広告まるっとおまかせプラン」は3か月のパッケージプランで、LP、動画制作も含んでいます。4か月目から通常の運用代行プラン(広告費の20%が運用費)に切り替わるので、より広告費に予算を割けるようになります。
安居:3か月で効果を実感し、4か月目から本格的に成果を上げていく、というイメージですね。では最後に、このプランを利用される広告主様に伝えたいことがあればお願いします。
宮口:率直に“動画広告の効果を実感していただきたい”です。動画広告は今後間違いなく、テキスト、画像に代わってWebコンテンツの中心になると考えます。当然、企業が動画を活用する機会も広告に限らずどんどん増えていきます。しかし、動画制作の費用や施策設計の複雑さといった課題で、やりたいけどできていないという企業様が非常に多い。そんな企業様のお役に立てると嬉しいですね。「新商品のPR・販促を行いたい」「店舗の集客につなげたい」「動画広告の効果を試して次につなげたい」どんな目的であっても、達成できるように全力でサポートします。「動画広告まるっとおまかせプラン」では芸能人を起用してセットを組んで撮影するような動画制作は行いません。そのため、企業ブランディングや投資家向けのアピールなどには向いていないと思います。それよりも「純粋に成果を獲得したい」「効果を実感したい」という方に向いています。完成度の高い動画が集客につながるとは限りません。結局は最初にお話しした“全体最適化に向けてどう活用するか”だと考えています。
動画広告まるっとおまかせプラン
今回はアイビスの新サービス「動画広告まるっとおまかせプラン」について、サービスをプランニングした宮口さんにインタビューしました。
ここ数年、動画広告が話題に上ることが多くありました。しかし、その多くがブランディングなど、断片的な活用方法しか注目されてきませんでした。
これからは動画広告をリスティング広告、ディスプレイ広告と掛け合わせて、成果を獲得しに行く流れが増えると考えられます。動画時代といわれますが、テキストや画像の価値が変わったわけではなく、動画によってこれまでとは違った方法で情報を訴求できるようになるということです。
その点でも、3か月目に動画以外の広告手法を選べる「動画広告まるっとおまかせプラン」は、動画広告の第一歩として最適でしょう。
動画広告に取り組む際は、動画広告だけでなく、様々な施策を包括して“全体最適化”を目指す「動画広告まるっとおまかせプラン」をぜひご検討いただければ幸いです。