【代理店について知ろう】Google広告をプロに頼むメリット

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Google広告を始め、多くのWeb広告はインハウス(社内運用)でも出稿できます。しかし広告施策を検討する時、インハウスで運用すべきか、広告代理店に頼るべきか、迷うこともあるのではないでしょうか。

広告代理店に依頼するデメリットについては、事業をされている方であれば十分承知だと思います。例えば、代理店への依頼費用が必要になる、社内にノウハウを蓄積できない、商品理解に課題がある、などです。

どんなに評判が良く優秀な広告代理店であっても依頼費用はかかりますし、社内にノウハウは溜まりません。また実際にその商品を開発し、提供している社内の人間よりは、商品理解が劣るでしょう。

ではなぜ、広告代理店に頼る事業主が多いのでしょうか?

実際2020年11月に行われたBtoB企業のWebマーケティング実施状況に関する調査では、社内で運用している事業主が20.9%、部分的、完全に外注している事業主が24.8%という結果になりました。

 

この結果からも、インハウスと代理店運用、どちらかが優れている、とは一概に言えなさそうです。自社のリソース状況やノウハウと、代理店運用のメリット・デメリットを考慮して、それぞれの場合に最適な選択を行う必要があります。

今回はなぜ広告運用を代理店に頼むのか、代理店運用のメリットを見ていきましょう。基本的にはGoogle広告の場合で考えていきますが、多くのWeb広告で同じことが言えると思います。

Google広告を代理店で運用するメリット

1.自社のリソースを使わない

Google広告を広告代理店に依頼する場合、最初に思い浮かぶメリットはリソースの削減、最適化ではないでしょうか。

Google広告の運用では日々、出稿キーワードやターゲティング・プレースメント・入札単価や入札戦略・広告クリエイティブを見直し、運用改善を行う必要があります。中でも検索広告における除外キーワードの追加や除外プレースメントの設定などは、地味で急激に成果が上がるものではありませんが、長期的には大きく費用対効果を改善させることができます。

このような運用業務を兼業で行うことは簡単ではありません。予算や目的にもよりますがインハウスで運用する場合も、アカウントに1人程度専任の運用担当者が必要になります。

そうしたリソースを用意することが難しい場合は、広告代理店に頼った方が良いでしょう。

ただしこれは特に新しく広告施策を始める中小企業では、慎重に判断しないといけません。Web広告に力を入れるため専任者を雇った場合、もし思うような成果が出なかった時の方向転換が難しくなります。かといって専門知識のない人が兼業で運用しても、広告費を無駄にしてしまう可能性が高いでしょう。

そのため広告費がそこまで大きくない(数十〜数百万円程度)場合や、新しく始めるため効果や予算が読めない場合に、まず広告代理店で運用することをオススメします。インハウスにしてノウハウを社内に溜めたいのであれば、広告が軌道に乗り専任者を雇っても問題ない状態になってからにした方が良いでしょう。

2.専門家による高精度の運用が期待できる

Google広告の運用は、出稿するだけであれば誰でもできます。自動最適化機能も備わっているため、少し勉強すれば問題なく運用できるでしょう。

しかしGoogle広告の機能は年々複雑化、高度化しており、理解して正しく使うことは非常に難しくなっています。さらに年に何十回とアップデートがあるため、それらを活用することはもちろん、理解することも専門家でないと難しいでしょう。

自社にこういった知識などを持っているGoogle広告の専門家がいない場合は、広告代理店に頼った方が良いでしょう。

広告代理店の運用者は運用を仕事とし、年間何十件もの案件を回しながらGoogleの担当者と電話でやり取りしたり、優先的に媒体資料を受け取ったり、ベータ版の新機能を試したりしています。

ただ出稿するのではな、広告の費用対効果をシビアに追い求めていく場合は、社内に広告運用専門のチームを持つか、広告代理店にその役割を果たしてもらうことになります。

3.豊富な経験値を積んでいる

Google広告には頻繁に新しい機能がリリースされます。自社で運用していたら、その機能を試すには自社の広告費を使って実行するしかありません。しかし、新しい機能の中には、まだ広告運用の現場では使いにくいものがあったり、限られた業界業種、目的において有効なものもあります。

もし広告代理店に運用してもらっていたら、「あの新しい機能って実際どうなんですか?」と質問できます。「こういう業種では効果があったけど、貴社と近い業種では効果があまりなかった」というような有益な情報が得られるかもしれません。

広告代理店によっては特定の業種を専門としている場合もありますが、基本的には多種多様な広告主・広告媒体を取り扱っています。なので基本的に広告代理店より豊富な事例やノウハウを持っているインハウスはありません(もちろんインハウスが扱っている自社の業界においてはその限りではありません)。

4.広告運用・制作・マーケティング全般を依頼できる

広告代理店の多くは社内に広告運用者だけでなく、マーケティングの専門家・デザインやシステム開発の専門家もいます。そのためマーケティング全般の設計から、ランディングページ制作、広告運用まで一貫して任せられます。当然広告代理店の多くは特定の広告手法だけを専門にしているわけではないので、Google広告とSNS広告の掛け合わせといった戦略も立ててくれます。

一般に、マーケティング戦略では関わる業者やチームが少ないほどうまくいきます。例えばマーケティング戦略を立てるチームとGoogle広告の運用、Twitter広告の運用、ランディングページやバナーの制作を行う業者が全部バラバラだと、メッセージに一貫性が無く効果が半減する、コミュニケーションコストが掛かりすぎる、といった課題が生まれます。

そうした事態を避けるにも、基本的には一つの戦略は一つの業者で実行しましょう。

インハウスで行う場合、広告運用はできるけどWeb制作は外注する、Google広告は運用するけれどTikTok広告のように新しいものは代理店に依頼する、といったケースが多いと思います。

しかし、このような方法には上記のような課題が生じる可能性があります。特別な事情(制作会社と付き合いが長く、コミュニケーションロスがない。その業者に依頼した方が一貫性が保てる)を除き、全てを任せられる広告代理店と二人三脚でマーケティング施策を実行した方が良いでしょう。

5.自社にノウハウを蓄積するきっかけになる

最後のメリットは、自社にノウハウを蓄積するきっかけになる、というものです。一般的には広告代理店に頼ると自社にノウハウが溜まらないことがデメリットに上げられます。

本当にそうでしょうか?

広告代理店に頼ることで、その代理店から様々な情報を得ることができます。営業担当・運用担当者と会話をすれば、最新のWeb広告トレンドや業界の動きを知ることができるでしょう。広告代理店から納品される広告レポートは、まさにノウハウの宝庫です。

もちろん運用の細かな技術はその代理店の価値そのものなので、教えてはくれないでしょう。しかし「Google広告のクリック単価ってどうやって決まるんですか?」「費用対効果を高めるために日々どんなことをしているのですか?」「レスポンシブディスプレイ広告の動画自動生成機能って、実際どんな動画が作られるのですか?」などと質問してみてください。

単に検索したり本を読んだだけでは得ることができない、プロの知識が得られると思います。

このように考えると広告代理店に依頼することで、むしろ社内にノウハウを早く蓄積することができます

自社にノウハウを溜めたいのであればゼロから始めるのではなく、広告代理店からノウハウを得てみてはいかがでしょうか。広告運用でやりがちな失敗談など「インハウス運用する前に聞いといてよかった…」と思うようなエピソードが聞けるかもしれません。

まとめ

今回はGoogle広告を広告代理店に外注するメリットを紹介しました。最初にお伝えした通り、デメリットは十分認識されていると思います。

改めてよく言われるのは、代理店への依頼費用が必要になる、社内にノウハウが溜まらない、商品理解に課題がある、などですね。

しかし冷静に考えると、代理店への依頼費用がインハウスで運用を行う場合の人件費を超えるのは月に数百万円以上の運用を継続的に行い続ける場合のみです。毎月数千万円、数億円といった規模での運用を考えているのであれば、専門家集団を雇いインハウスチームを立ち上げた方が良いかもしれませんが、多くの場合はそこまでの規模を最初から考えているわけではないと思います。

そして社内にノウハウが蓄積できない点についても、むしろ広告代理店などプロと付き合っていた方が早くノウハウを溜められます

商品理解には確かに課題があるかもしれませんが、実際にそのデメリットが他業種を始め多くの事例から得た知見を持っているというメリットを超えるケースは稀でしょう。ただし医療や金融業界のように広告規制など特殊なルールがある業界の場合は、それを専門に扱っている代理店を頼った方が良いかもしれません。特殊な商品・業界の場合の広告運用を依頼する場合は、その分野の知識や経験があるかを必ず確認しておきましょう。

もう一つ、よく言われている広告代理店のデメリットに運用のスピード感の遅さが挙げられます。広告代理店は常に多くの案件を抱えているので、何か変更を依頼した時にすぐに対応してくれるわけではありません。

確かにこれもデメリットに見えますが、実際にデメリットとなるケースは少ないでしょう。というのも広告運用において、思い付いてすぐに実行しないといけないケースはほとんどないからです。むしろ思いついたことをすぐに実行する、少し予想と違う動きをしたからすぐに変更を加えるといった運用スタンスは、広告のパフォーマンスを大きく下げてしまいます。

そして当然ですが、本当の緊急事態(大きなトラブルで会社の新規受注を一時的に止めなければいけないなど)という場合、多くの代理店は柔軟に対応してくれるはずです。

Web広告は常に最新の数値が計測できるため、ちょっとした数字の動きに敏感になって、すぐに変更を加えてしまいます。これはむしろインハウス運用のデメリットで、依頼から実行にまである程度の時間がかかってしまう広告代理店の方がきちんとデータに基づいて冷静な運用が行えます

基本的には迷ったらコストで考えて問題ないと思います。細かなメリット・デメリットは色々ありますが、上述したようによく言われるデメリットはメリットと表裏一体なので、厳格に「こちらの方が優れている」とは言えません。

Google広告の運用について迷ったら、単純に自社で専門家を雇い広告運用専門チームを用意するコストと、広告代理店に依頼するコスト、どちらが大きいかで判断しても良いのではないでしょうか。