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最近になって徐々に増えてきているインハウス運用。
広告代理店に委託するのと比べて、内製化することでノウハウを蓄積できたり、コストカットに繋げられたりとメリットも多いインハウス運用ですが、広告のプロではない担当者が運用していると、どうしても失敗しがちなポイントというものが出てきます。
弊社は広告代理店として、クライアント様の広告運用を担う立場ですが、セミナーなどを通じて情報を提供したり、コンサルティングサービスを通じてインハウスの広告運用を支援しています。
今回は、そんなインハウス運用の担当者に向けて、インハウス運用で失敗しがちなポイントを5つにまとめて解説していきます。
インハウス運用の落とし穴5つ
インハウス運用は、広告代理店と違い、業界の最新情報が入ってこない、担当者が1人で運用することになりがち、担当者の知識不足、など、様々な要因により、広告運用の「落とし穴」にハマってしまうことがあります。
ここでは、そんな「落とし穴」について、順番に見ていきましょう。
インハウス広告運用の落とし穴①入札調整に固執しすぎる
インハウス運用の落とし穴の1つ目は、入札調整に固執しすぎることです。これは、インハウス運用に限らず、広告代理店でも新入社員によくありがちな失敗パターンです。広告代理店だと、すでに経験を積んだプロが見てくれるのですが、インハウス運用だと正してくれる人がいないので落とし穴にハマったままになりがちなので注意が必要です。入札調整だけで気づけば1日経っていた……なんてこともあるかもしれません。
広告グループやキーワードごとの入札調整は、確かにリスティング広告の運用においては重要な作業ではありますが、今では機械学習を用いた自動入札が主流です。
基本的には入札調整は自動入札に任せ、空いた時間でそれ以外の運用に時間を割けるようにしましょう。
そうでなくても、入札調整は1日にそう何度も行うものではありません。あまり神経質になって何度も微調整を繰り返すと、媒体の最適化がうまく働かず、かえって成果を悪くする原因にもなりますので、行き過ぎた入札調整は控えるようにしてください。
Web広告運用は細かく運用できるため、ついつい細かな作業にとらわれてしまいがちですが、大切なことはきちんとデータを蓄積し、評価し、仮説を立てたうえで改善運用を行うことです。直前の成果をもとに勘で入札戦略を調整しても、成果が上がる可能性は非常に低いので、調整したくなる気持ちを抑えて、じっくりデータを貯めることを意識しましょう。
インハウス運用の落とし穴②自動入札を過信しすぎる
インハウス運用の落とし穴の2つ目は、自動入札を過信しすぎることです。いきなり1つ目と矛盾するようなことを言うようですが、広告媒体の自動化機能が便利だからといって、自動化を過信してすべて丸投げしてしまうことは危険です。
自動入札は確かに便利な機能ですが、それを制御するのは運用者です。
「成果が悪化しているから自動入札に任せよう」「自動入札にしているから多少成果が悪化していても大丈夫」というような、自動入札の過信は非常に危険ですので、自動入札を使う際にも、自動入札の特性をよく理解し、自身の手で制御できるようにしておきましょう。
自動入札を使っていて成果が悪化したときにどう調整するか?あるいは、手動入札に戻したときにどう対処するか?というのが、運用者の腕が試される場面でもあります。自動入札をうまく扱える運用者こそが一流の運用者です。
自動入札は、今では広告媒体も推奨するスタンダードな入札方法となってはいますが、広告運用にある程度慣れた運用者にとっても、実は使いこなすのは難しいものです。
自動入札に「頼る」のではなく、「使いこなす」つもりで使用するようにしましょう。
ちなみに、自動入札をはじめとする自動化機能をうまく活用して成果を伸ばすには、最初の設計が非常に重要です。データが適切に蓄積されるアカウント構造は当然、コンバージョン設定も重要です。マイクロコンバージョン(最終目標のコンバージョンよりもハードルが低く確度が高い行動)を設定し、重みづけをせず全体のコンバージョン数が最大化されるよう自動化に任せていたら、コンバージョン数は増えたのに、問い合わせなど重要なコンバージョンにつながっていない、ということになるケースも珍しくありません。
Grabには自動入札戦略をテーマにした記事もあるので、ぜひ合わせてご嘆ください。
インハウス運用の落とし穴③登録キーワードの不足
インハウス運用の落とし穴の3つ目は、登録キーワードの不足です。これは、広告代理店の運用者とインハウス運用者で大きく異なるポイントのひとつなのですが、広告代理店の運用者は、リスティング広告の運用をする際に登録するキーワード数が圧倒的に多いです。
業界や目的、費用感によって様々ではありますが、数百以上のキーワードを登録するのが普通です。当然、各キーワードのマッチタイプ(部分一致、完全一致など)も綿密に計画して出稿します。
一方、インハウス運用の方のアカウントを見てみると、キーワード数が数十程度、かつほとんどが完全一致になっているなど、市場に対して取りこぼしが多い、逆に部分一致ばかりで無駄な出稿が多い、というケースが見受けられます。
この差はなぜ生まれるのかと言いますと、広告代理店の運用者は、キーワードのマッチタイプに対する正しい理解があることに加え、いわゆる「ロングテール」のキーワードを重視するためです。ロングテールとは、検索ボリュームの少ないキーワード群のことで、2語、3語の掛け合わせキーワードを指すのが一般的です。
こういったキーワード群は、検索されることが少ないので、広告が露出する機会も少ない傾向にあります。しかし、クリック単価が安く、検索ニーズが明確でコンバージョン率の高いユーザーを狙い撃ちできるというメリットがあります。
このロングテールのキーワードを大量に登録することで、低単価でコンバージョン数を伸ばすことを実現しているため、広告代理店のアカウントは登録キーワードが非常に多いというわけです。
登録キーワードが少ないということはインプレッションを得る機会がそもそも少ないということになります。少ないキーワードでインプレッションを増やそうと思うと、検索ボリュームが大きいビッグキーワードに出稿し、さらにビッグキーワードの部分一致で幅広いキーワードにばらまくことになります。ビッグキーワードは競争が激しくクリック単価も高くなり、ビッグキーワードの部分一致は確度が低いキーワードが大量に含まれてしまいます。いずれにせよ、適切なユーザーに広告を届け、コンバージョン数を増やしていくことはできません。
どんなキーワードをどのマッチタイプで出稿するかは、リスティング広告においては最も重要といっても過言ではありません。アカウントを構築する段階で、ロングテールまでカバーできるように意識して、網羅的にキーワードを登録していくようにしましょう。かつ、ビッグキーワードの部分一致で広くとる場合は、想定される除外キーワードを必ず入れる、などの工夫をしましょう。
既に運用を始めてしまっているという方も、今からでも遅くありませんので、掛け合わせキーワードの追加をするようにしてください。
一流の広告運用者は、キーワードの追加や、アカウント構造の組み直しを定期的に行います。キーワード追加に関しては手間を惜しまないようにしましょう。
インハウス運用の落とし穴④広告メニューの理解不足
インハウス運用の落とし穴の4つ目は、広告メニューの理解不足です。Web広告の広告メニューには、様々なものがあります。
リスティング広告であれば、通常のリスティング広告に加え、検索広告向けリターゲティング配信(RLSA)と動的検索広告(DSA)があります。同じリスティング広告でも、Googleの検索広告とYahoo!の検索広告は、仕様も効果も全く違います。
ディスプレイ広告であれば、リターゲティング配信やオーディエンス配信、GDNのスマートディスプレイキャンペーン、YDNのインフィード広告、サーチターゲティング、ブランドパネルが代表例です。また、最近はDSP広告を使う機会も増えています。
SNS広告であれば、ディスプレイ広告と同様にリターゲティング配信とオーディエンス配信、そしてSNS特有の精度の高い類似オーディエンス配信も挙げられます。
ここで挙げた以外にも非常に多くの広告媒体、広告メニューがあります。中心的なものだけでもこれだけ数がありますし、弊社が定期的に開催している「Web広告手法の選び方セミナー」では、30種類以上の広告手法をとりあげています。
インハウス運用の担当者の方が業務の傍らにこれだけの広告メニューを全て覚え、理解するのはなかなか難しいのではないでしょうか。
最も危険なのは、この多彩な広告メニューを、理解しないまま使ってしまうことです。理解し、使いこなせるようになれば強力な武器になるのが広告メニューですが、理解せずに使うものではありません。
もしかしたら、成果の悪化による焦りから新たな広告メニューを試そうとする気持ちもあるかもしれませんが、そういった場合、まず成功しないと考えてください。まずは基本を理解して、それからひとつずつ着実に新しい広告メニューを試し、成功させ、身に着けていきましょう。
そうすれば、新たな広告メニューは必ず今後の広告運用の武器になるはずです。
インハウス運用の落とし穴⑤情報収集を全て自社で行おうとする
インハウス運用の落とし穴の5つ目は、情報収集を全て自社で行おうとすることです。インハウス運用では、常に最新の情報にキャッチアップし続けられるかどうかが、運用成功のカギを握ります。
しかし、広告代理店と違い、インハウス運用では最新の情報を得るのは難しく、自分から情報収集に動かなければ最新の情報にキャッチアップすることはできません。
とはいえ、インハウス運用の担当者は、ただでさえ運用業務で手一杯で、それに加えて情報収集まで自分で行うとなると、かなりの負担がかかってしまうはずです。
そのため、インハウス運用の場合に情報収集を全て自社で行おうとすることはあまりおすすめしません。
インハウス運用だからといって、広告運用に関わるすべての業務を自社でまかなう必要はないのです。
必要に応じて、広告代理店やコンサルティング会社のサポートを受けることも大切です。あるいは、広告代理店が主催するセミナーセミナーに参加するというのも有力な選択肢になるでしょう。
コストカットのために行っているインハウス運用で、削減したコスト以上の負担が担当者にかかってしまっていては本末転倒ですから、情報収集については自社だけで行うのではなく、プロのサポートを受けることも検討してみてください。
インハウス運用で失敗しがちな落とし穴5つまとめ
今回は、インハウス運用の担当者の方に向けて、インハウス運用で失敗しがちな「落とし穴」を、5つにまとめて解説してきました。
Web広告の運用は、非常に難易度が高く、インハウス運用の担当者というのはとても負担のかかるポジションでもあります。
しかし、陥ってしまう「落とし穴」というのは、どの担当者の方も大体似たようなものです。
そして、その「落とし穴」はどれも、インハウス運用という業界の情報が入ってこない状況だからこそ起こりうるものであるとも言えます。
そのため、あらかじめ「落とし穴」がわかっていれば、そのポイントに気を付けながら運用することで、穴に落ちることを回避することも可能になってきます。
今回の記事をご覧になっているインハウス運用の担当者の方は、ぜひ今回ご紹介した「落とし穴」を意識して、穴に落ちてしまうことのないよう気を付けて運用を行ってみてください。