Webサイト・情報の整理術、コンテンツマップの重要性と作り方

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Webサイト・情報の整理術、コンテンツマップの重要性と作り方

コンテンツマーケティングという言葉が浸透し、オウンドメディアを持つ企業も多くなりました。
しかし、オウンドメディアに対して「ブログのようなもの」というざっくりとしたイメージしか持たない企業も少なくありません。

そのため、オウンドメディアを作成して運用してみたものの、効果が出ない、管理コストがかかりすぎる、だれも全体像を把握していないという状況に陥るケースも少なくありません。

そうした状況を避けるためには、オウンドメディアをただのブログではなく、企業のプロモーション戦略上重要な集客チャネルとして、しっかり企画・運用していく必要があります。

今回はオウンドメディアの企画・運営を戦略的にするために欠かせない「コンテンツマップ」を紹介します。
コンテンツマップを作成することで、オウンドメディア全体としてどんな価値があるか、どのタイミングでどんなコンテンツを配信すべきか、どんな方法でプロモーションすることが適切かといったことが見えてきます。

今回は「コンテンツマップとは何か」という部分から、作る理由、メリットまでご紹介します。
今、自社でオウンドメディアを運用しているがコンテンツマップがない方、これからオウンドメディアの活用を考えているWeb担当者の方はぜひ参考にしてみてください。

コンテンツマップとは


コンテンツマップとは、サイトのコンテンツ構成、つまり、そのサイトのどこにどんなコンテンツがあるのかを図式化したもので、新しいサイトを作るときや、大幅なリニューアルを行う際に用意します。
小規模なサイトの場合、作成しない場合がありますが、オウンドメディアのようにコンテンツ量が膨大になる場合は必ず作っておきましょう。

サイトマップとの違い

コンテンツマップとよく似た言葉に、サイトマップがあります。どちらもサイトの構造を表したものですが、この2つは目的が大きく異なるので、注意しましょう。

サイトマップの目的は、サイトのカテゴリをわかりやすくしたもので、Webサイトの制作時にディレクトリ構成の元になるものです。つまり、実際のWebサイトの構造を表します。
対して、コンテンツマップはユーザーの導線設計を意識し、ユーザー視点でコンテンツを整理するために作成します。そのため、今自社サイトが持っているコンテンツの量や種類、価値の評価、今後ユーザーにどういったコンテンツを出していくかといった戦略部分で活躍します。

Web制作の現場では、サイト作成やリニューアルの際にどちらも作成します。サイトマップはサイトの実際の構造になるため、一度完成してから変わることはめったにありません。
しかし、コンテンツマップはコンテンツが増えたり変わったりするたびに変更するため、対象のWebサイトとともに運用していく必要があります。

コンテンツマップを作る理由

大規模なサイトでコンテンツマップを作成し、随時更新し続けることは非常に手間がかかります。しかし、オウンドメディアのようにコンテンツの価値が重要になるサイトでは、コンテンツマップの作成と運用が成果を大きく左右します。
では、コンテンツマップを作成する理由・メリットを見てきましょう。

自社の資産(コンテンツ)を俯瞰して価値を測る

オウンドメディアで数百に上るコンテンツがある場合、だれも全体像を把握したり、評価したりできないという課題が出てきます。
しかし、コンテンツマップがあれば、今どんなコンテンツがあるのかがパッと見てわかります。コンテンツマップがカテゴリなどに紐づいたものであれば、自社サイトはどのカテゴリに強いのかなども一目で知ることができます。

オウンドメディアの価値は、各記事単体が持つ価値の合計値になります。コンテンツマップを作ることで、各コンテンツの価値を知り、自社のメディアは何に強いのか、今持っているコンテンツの価値を有効活用できているのかといったことを考え、次の戦略に活かすことができます。

導線設計や情報構造を見直す・整理する

オウンドメディアでは、大きなカテゴリの中に記事が追加されていくと思います。しかし、日々コンテンツを作り続けると、既存のカテゴリに当てはまらない記事も出てくるかもしれません。
当てはまらない記事は1つだけなら無理やりどこかのカテゴリに入れて問題ないかもしれませんが、増えてきたら別のカテゴリを用意したほうがユーザーにとって使いやすいサイトになるでしょう。

例えば、Grabは「Webマーケティング」「インターネット広告」「Web制作」「SEO」という4つのコンテンツがあります。しかし、最近は写真系の記事やサイト構造やシステム関連の記事も増えてきました。今は「Web制作」というカテゴリの中にありますが、もしかしたら「Webデザイン」と「Web制作」に分けたり、「写真」「システム開発」のようなカテゴリを追加したほうがいいかもしれません。

さらに、最近は連載記事や他社からの寄稿記事といった取り組みも増えています。現状、これらも既存の4つのカテゴリの中に入れていますが、今後も続けるなら「連載記事」のような別カテゴリを用意したほうがいいかもしれません。
コンテンツマップがあると、こうした判断もスムーズになります。

有効なコンテンツ戦略を立案する

コンテンツマップを作り、コンテンツ全体を俯瞰することで、自社に強みのあるコンテンツのジャンルを知ることができます。もちろん、弱みのあるジャンルも知ることができます。
こうした情報を元に、次のコンテンツ戦略を企画しましょう。

例えば、Grabであれば「Webマーケティング」のコンテンツ量が圧倒的です。しかし、Webマーケティングは非常に広いテーマなのでもう少し細分化すると「トレンド系」や「まとめ系」に強く、「ニュース系」に弱いことが見えてきます。
「Web制作」も、細分化してみると「デザイン系」に強く、「システム系」や「企画系」はあまり強くありません。

このことから取れる戦略は大きく2つです。弱みのある「ニュース系」や「システム系」を伸ばすか、すでに強みのある「トレンド系」や「デザイン系」を伸ばすかです。

戦略なくコンテンツを作り続けても、大きな成果は望めないでしょう。オウンドメディアの目標は「○○について調べるなら××を見よう!」と思ってもらうことです。

Grabも運営し始めて約10か月が経過しました。最初はとにかくコンテンツ量を確保するために様々なジャンルの記事を書いてきましたが、これからはより戦略的にコンテンツを作っていった方がいいかもしれません。
今の強みを活かして「Webマーケティングのトレンドを知るならGrabを見よう!」と思ってもらうことを目標にするなら、一旦ニュース系記事やシステム系の記事に注いでいるリソースを割り振った方がいいでしょう。

コンテンツマップがあると、こうした戦略を考えることができます。

コンテンツマップの作成と運用手順

ここからはコンテンツマップの作成と運用手順を見ていきましょう。

Step1.現在のコンテンツを洗い出す

すでにあるサイトをリニューアルする際、サイトを運用しているけれどコンテンツマップがない場合は、まず現在のコンテンツを洗い出しから行います。もしも新しいサイトの企画であっても、掲載予定のコンテンツを想定して企画していると思いますので、同様に洗い出しを行ってください。

Step2.コンテンツをグルーピング

次にコンテンツをグルーピングします。すでにあるサイトに対して行う場合、現在のサイト構造(カテゴリわけなど)に従って作成しがちですが、純粋にコンテンツの種類や内容によってグルーピングを行いましょう。
グルーピングを行うと、今のカテゴリ分けにふさわしくないコンテンツや、どれにも属さないコンテンツが見つかるかもしれません。
そのコンテンツに対し、新しいカテゴリ分けを追加するのか、いっそのこと削除してしまうのか、コンテンツ内容を見直して既存のカテゴリ分けにふさわしくするのかなどを考えます。

新しいサイトで、掲載予定のコンテンツをグルーピングした場合、それがサイトのカテゴリ分け、いわゆるサイト構造になるでしょう。あまりにもグループ数が多く、一つ一つのグループのコンテンツが少ない場合、ユーザーにとって魅力的なサイト構造にならないかもしれません。もう一度、掲載予定のコンテンツから見直した方がいいかもしれません。

Step3.コンテンツマップに落とし込む

グルーピングしたものをコンテンツマップ(図)に落とし込んでいきます。
コンテンツマップは様々な形式をとることがあります。マインドマップ形式で作成されることが一般的ですが、コンテンツ配信のスケジュールに特化した「コンテンツスケジュール」を作ることもあります。

マインドマップ形式で作成する場合、ユーザーが目的とするコンテンツにスムーズにたどり着けるかどうかを意識してください。例えば、カテゴリ分けが多すぎたり、似たカテゴリがあったりすれば、ユーザーはどこを選んでいいかわからなくなります。
コンテンツマップを作成した後、仲間外れのコンテンツが出てきた場合は、グルーピングから見直す必要があります。
また、同じコンテンツが複数のカテゴリに属していたりしないかもチェックしましょう。

コンテンツマップ作成に役立つツールには、Xmindのようなマインドマップツールの他、ExcelやPowerPointも使えます。

Step4.コンテンツマップを運用する


画像:Grabのコンテンツマップ 概要


画像:Grabのコンテンツマップ 詳細

コンテンツマップはサイト作成時、リニューアル時に作るだけのものではなく、常に運用していくものです。コンテンツが新しくなったのにコンテンツマップが古いままだと、コンテンツを俯瞰したり、構造を見直したり、戦略をたてたりすることができません。

ちなみにGrabでは、大まかなカテゴリ分けを持ったマインドマップ形式のコンテンツマップをPowerPointで作成し、コンテンツ一つ一つに着目したコンテンツスケジュールをExcelで作成しています。
PowerPointで作成した大まかなコンテンツマップは、大きな変更の時のみ更新し、Excelのコンテンツマップは記事更新のたびに更新しています。

このように、効率的に運用できる方法でコンテンツマップを作ることも重要です。

まとめ

今回は、Webサイト、特にオウンドメディアの企画・運営で欠かせないコンテンツマップをテーマにご紹介しました。

少し前ならオフィシャルサイトや広告用のランディングページを作成し、費用をかけてプロモーションすれば自然と効果が出ました。しかし最近、こうした方法では費用対効果が見合わなくなり、オウンドメディアをはじめ、様々な方法でユーザーに価値を提供する企業が増えています。
オウンドメディアへの注目度が急激に上がったことで、しっかりと計画されていないメディアが乱立し、その多くが収益につながらず閉鎖していきました。

オウンドメディア戦略を成功させる、きちんと価値を評価するためにも、ぜひコンテンツマップを作成してみてください。
今後のコンテンツ企画が楽になり、運用コストの削減や効果の増加など、様々なメリットがあります。