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「リッチリザルト」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。Web担当者の中には、「リッチリザルトについてはいろいろ調べてみたけど、難しそうだし、結局検索結果の順位には影響しないらしいから対策していない」という方が少なからずいると思います。
しかし、リッチリザルトは検索順位には影響しないものの、SEO対策において必須の施策といえます。今回は、リッチリザルトをテーマに種類や導入方法、SEO効果などを見ていきたいと思います。
リッチスリザルト(リッチスニペット)とは
リッチリザルトはもともと「リッチスニペット」といわれていました。スニペットとは切れ端、断片を意味する言葉で、SEO業界で使われる場合には検索結果に表示される情報の断片を意味します。
リッチスニペットの種類が増え、断片(スニペット)というにはかなり豊富な情報がアピールできるようになったため、リザルト(結果)という名称に変わりました。しかし、今でもリッチスニペットという言い方が一般的なようですが、Google Search Consoleヘルプなどでは「リッチリザルト」となっているので、ご注意ください。
厳密な定義を上げると難しいですが、この記事では表示されている情報そのものを「スニペット」、その情報全体、または表示させるための施策、施策の名称を「リッチリザルト」としています。
例えば、Grabのトップページが検索されたとき、上記のように表示されています。WebサイトのURL、サイトアイコン、ページタイトルに加え、数行の説明文(ディスクリプション)が表示されています。
こうした要素を「スニペット」と呼び、特殊なコーディングをすることで様々な情報を表示することを「リッチリザルト」といいます。
リッチリザルトの種類
リッチリザルトにはいろいろな種類がありますが、よく見かけるものをいくつか紹介します。
強調スニペット
検索結果の最上部に、検索クエリに対する回答として表示されるスニペットを強調スニペットと呼びます。他の検索結果とは見た目が違い、より目立つため、検索結果1位より上という意味で「ゼロポジション」と呼ばれることもあります。
強調スニペットは「○○ とは」という意味を調べる検索クエリでよく表示されます。
パンくずリスト
Webサイト内のパンくずリストを表示するスニペットもあります。上記の例であれば、ページタイトルの上にサイトのドメイン>大カテゴリ>小カテゴリと並んでおり、Webサイトの構造やカテゴリが一目で分かります。
画像・レシピ
How toコンテンツなどでよく表示される、画像タイプのリッチリザルト。テキストだらけの検索結果に画像を表示させることができたら、高いクリック率が期待できます。
レシピタイプのリッチリザルトでは、カロリーや調理時間を追加することもできます。
口コミ・評価・料金・営業情報
飲食店やサービス業なら外せないリッチリザルトが口コミや評価、料金、営業情報です。上記のように予約可否や評価が一目でわかることで、ユーザーの行動を促進することができます。
ユーザーは自分の望んだ条件(費用や予約可否など)が分かった上でクリックするため、クリック率はもちろんコンバージョン率にも大きく影響します。
イベント・スケジュール
一部の業界でしか利用できないかもしれませんが、イベントやスケジュールを表示するリッチリザルトもあります。上記はコンサート会場の検索結果ですが、直近のイベントに直接誘導することができます。
会社情報
会社概要を表示するリッチリザルトもあります。トヨタの検索結果では、代表取締役社長や資本金、従業員数などの情報が表示されています。ユーザーはページを遷移することなく、知りたい企業の基本情報を入手できるので、オフィシャルサイトならぜひ導入しておきたいリッチリザルトです。
検索ボックス
検索機能のあるWebサイトでは、検索ボックスを表示させることができます。いきたいサイトが決まっていて、その先で検索しようとしているユーザーにとっては手間を省くことができます。
そのほかにも、求人情報、動画、How to、よくある質問など、様々な種類のリッチリザルトがあります。リッチリザルトを適切に使えば、検索からの流入かなり増やせる、つまりSEO対策になることが分かると思います。
リッチリザルトを導入しても、それが要因で検索順位が上がるということはありません。そのためSEO業界では見落とされがちですが、検索結果でより豊富な情報を伝えることで、上位化しなくてもクリック率を高めることができます。
リッチリザルトの導入方法
リッチリザルトを導入するには、大きく2つの条件が必要です。
- 構造化データマークアップを行いクローラーに正しく情報を伝える
- 検索クエリに対して強い関連性、高い品質のあるページを提供する
それぞれ見ていきましょう。
構造化データマークアップを行いクローラーに正しく情報を伝える
Googleの検索結果はクローラーが情報を読み取って掲載しています。しかし、クローラーはあくまでもロボットなので「営業時間:10:00~19:00」と書かれていても、それが「営業時間」であるとは分かりません。画像についても、どれがアイキャッチ画像で、どれがHow toを伝える説明画像なのかを判断することはできないのです。
リッチリザルトに情報を表示してもらうにも、クローラーに「これがパンくずリストです」「これがイベント・スケジュールです」「これが口コミ、評価です」といったことを正しく伝える必要があります。
その時に用いる方法が構造化データマークアップです。構造化データマークアップとはHTMLにクローラー向けの情報を加えることで、Google, Yahoo, microsoft「schema.org」という規格で「JSON-LD」という構造に合わせて記述することが一般的です。
難しい言葉が出てきましたが、サイト制作者であれば特に難しいことはありません。
例えば、会社概要を表示させるリッチリザルトであれば、下記のように記述します。
<script type="application/ld+json"> { "@context": "http://schema.org", "@type": "Organization", "name": "株式会社アイビス", "url": "https://ibis.gs/", "logo": "https://ibis.gs/official/images/pc/logo.png", "contactPoint": { "@type": "ContactPoint", "telephone": "0800-123-0323", "faxNumber": "06-6633-99990", "contactType": "customer support", "areaServed": "JP", "availableLanguage": "Japanese" }, "location": { "@type": "Place", "@id": "https://ibis.gs/", "name": "株式会社アイビス 大阪本社", "address": { "@type": "PostalAddress", "addressCountry": "JP", "postalCode": "556-0017", "addressRegion": "大阪府", "addressLocality": "大阪市", "streetAddress": "浪速区湊町2-1-7 ルネッサ難波ビル5F" } } } </script>
このように記述すると、クローラーが「このページは株式会社アイビスという名前の企業のページで、電話番号は○○で~」といったことが正しくわかるということです。
また、Googleの構造化データマークアップ支援ツールも用意されています。基本的には自分で作成するよりもこうしたツールを使った方が簡単ですし、何より確実です。
構造化データマークアップ支援ツールに、使いたいリッチリザルトのタイプと対象ページのURLを入れ、それぞれの情報を選択するだけで構造化データを作成できます。
URLとタイプを入力したら、後はそれぞれの要素を選んでいくだけなので特に難しくありません。
後はツールが出力してくれた構造化データを対象ページのHTMLに編入すれば、マークアップ完了です。
ページ数の少ないWebサイトであればこの方法でも問題ありませんが、ブログサイトなどページ数が膨大な場合はシステムを組んだほうがいいでしょう。WordPressであればリッチリザルト用のマークアップを記事事に自動で作成してくれるプラグインもあります。
またもう一つ、非常にお勧めの方法として、Google Search Consoleのデータハイライターを利用することもできます。構造化データマークアップ支援ツールと似たような機能ですが、サイト内の代表的な1ページの構造を指示するだけで、他ページも同様にマークアップしてくれます。
ただしこの方法はGoogleが指示したページの構造を参考に自動で他ページにも構造化データをつけていきます。そのため、コーディングが適切ではない、複雑な構造をしているサイトではうまく機能しない場合があります。同じ構造のページが大量にあるブログサイトなどでお勧めです。
検索クエリに対して強い関連性、高い品質のあるページを提供する
構造化データマークアップが完了しても、必ずリッチリザルトが表示されるとは限りません。Googleは様々なシグナルからリッチリザルトを表示すべきかどうかを判断しています。
リッチリザルトを表示するということは、他の検索結果に比べてより多く、具体的な情報をユーザーに与えることになります。当然、信頼性が低い、品質が低い、関連性が低いものについては表示されません。
まず大前提として、構造化データに関するガイドラインには目を通しておきましょう。
あくまでもユーザーに価値のある品質の高い情報であることが、前提となっています。実際には存在しない情報を構造化データとして追加したりすることは避けましょう。
また、検索クエリとの関連性も重要です。あるページきちんとマークアップされていて、品質が非常に高かったとしても、キーワードによってリッチリザルトが表示されたりされなかったりします。リッチリザルトはそのページに行かなくても豊富なの情報を与えるものなので、関連性が低い場合は表示されません。
リッチリザルトはSEO対策の“礼儀”
今回はリッチリザルトについて紹介しましたが、リッチリザルトを導入したからといってSEO効果があるわけでも、サイトの品質が良くなるわけでもありません。あくまでもサイトの情報を検索結果でリッチに表現するだけのものです。
ただし、リッチリザルトは広がっていて、検索結果に画像や動画、タイトルディスクリプション以外のテキスト情報が表示されることはもはや当たり前です。
もし特定の検索クエリにおいて、自社サイト以外がリッチリザルトを導入していた場合、自社サイトのクリック率は当然低くなります。その影響でSEOに悪影響が出てくるでしょう。
リッチリザルトの導入を支援するツールもいろいろあるので、SEO対策の“礼儀”程度に捉えて、対応しておくことがよさそうです。