YouTube動画広告の運用指針|目標インプレッション単価の考え方

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YouTube動画広告|適切な目標インプレッション単価の考え方

コロナ禍において、新しいマーケティング施策、集客方法の確立に取り組んでいる企業も多いと思います。弊社でも会場で行っていたセミナーを、Zoomを使ったウェビナーに切り替えるなど、いろいろな施策に取り組みました。

現在注目されているマーケティング施策の一つにYouTube動画広告があります。実際、フルスピードが行った「取り組んでいる顧客獲得施策・今後取り組みたい顧客獲得施策」の調査で、動画広告は「今後取り組みたい」という意向が強いことが分かりました。

画像:青軸:現在取り組んでいる顧客獲得施策。黄軸:今後取り組みたい顧客獲得施策。動画広告は取り組んでいる企業より、取り組みたいと考えている企業の割合が多い。

画像:青軸:現在取り組んでいる顧客獲得施策。黄軸:今後取り組みたい顧客獲得施策。動画広告は取り組んでいる企業より、取り組みたいと考えている企業の割合が多い。

つまり、動画広告は取り組みたいもののまだ取り組めていない企業が多いということです。まずYouTube動画広告を始めてみたい、という方のために「【YouTube広告出稿手順】広告掲載まで6ステップ」という記事があるので、ご覧ください。
今回は、動画広告を運用し始めて最初にぶつかる壁の一つである「目標インプレッション単価」の適切な考え方を紹介します。

Google広告の入札戦略

Googleには自動入札機能があり、目的に応じて入札を自動化してくれます。目標インプレッション単価もその一つで、他にも「目標コンバージョン単価」や「クリック数の最大化」などいろいろな入札戦略が用意されています。
これについて、詳しくは次の記事で紹介しているので、併せてご覧ください。

【Google広告上級編】ポートフォリオ入札戦略とは
Google広告の入札戦略はどれを選べばいい?【スマート自動入札とは】
【Google広告の自動運用改善】自動入札戦略を活用した運用改善の方法

YouTube動画広告では、主に「目標インプレッション単価」「目標コンバージョン単価」「目標視聴単価」を利用すると思います。まずその3つの意味を紹介します。
今回テーマにしているYouTube動画広告は、スキップ可能なインストリーム広告です。バンパー広告やスキップ不可のインストリーム広告は相場感や運用方針が大きく異なるので、ご注意ください。

目標インプレッション単価

まず、今回の主題である目標インプレッション単価ですが、これは「1,000回動画広告が表示される当たりの広告費」を意味します。つまり、目標インプレッション単価を1,000円に設定すれば、1インプレッション(広告表示)当たり1円の広告費が発生するということです。
他の入札戦略においても同様ですが、これはあくまで「1,000回動画広告を表示したときの広告費を1,000円にすることを目標とする」設定です。そのため、確実に1,000円となるわけではありません。
ちなみに、キャンペーンの目標で「ブランド認知度とリーチ」を選択した場合は目標インプレッション単価しか使えません。

目標コンバージョン単価

コンバージョン設定をしていれば、目標コンバージョン単価が利用できます。これは「コンバージョン1件当たりの広告費」を意味し、10,000円に設定していれば、10,000円で1件コンバージョンが発生するように、自動で最適化してくれます。
しかし、ユーザーがコンバージョンするかを事前に予測することは難しいため、目標コンバージョン単価をうまく活用するにはテクニックや経験が求められます。例えば、本来1コンバージョン当たり20.000円のコストがかかるのに、目標コンバージョン単価を10,000円に設定していたら、Googleは可能な限り安く配信しようとします。その結果、オークションに負けそもそも広告が表示されない、低品質な広告枠にばかり表示される可能性があります。逆に高く設定していた場合、Googleは入札を強めるため費用対効果が悪化してしまいます。
このように、目標コンバージョン単価を適切に活用するのは簡単ではありません。

目標視聴単価

続いて、目標視聴単価ですが、これは「ユーザーが広告動画を1回視聴する当たりの広告費」を意味します。YouTube動画広告は、視聴の定義を「ユーザーが動画広告を 30 秒間(広告が 30 秒未満の場合は最後まで)視聴したか、動画広告にエンゲージメント操作を行ったとき」としています。

入札戦略の考え方

では、「目標インプレッション単価」「目標コンバージョン単価」「目標視聴単価」はそれぞれどのように使い分ければいいでしょうか。ここでは「コントロールしやすさ」を中心に考えていきます。

「目標インプレッション単価」「目標コンバージョン単価」「目標視聴単価」の3つのうち、一番コントロールしやすいのはどれだと思いますか?
コントロールしやすい、というのは広告主の意向を叶えやすいという意味です。少し考えてみてください。

入札戦略の考え方

答えは「目標インプレッション単価」です。なぜかというと、他の2つは広告主の意向やGoogleの設定だけでなく、ユーザーの行動が加味されるからです。目標視聴単価は広告を表示するだけでなく、ユーザーに一定時間見てもらわないといけません。目標コンバージョン単価はさらに進んで、ユーザーに具体的なアクションをとってもらう必要があります。適切な目標視聴単価や目標コンバージョン単価を設定するには「視聴率はどれくらいだろう」「コンバージョン率はどれくらいだろう」と考えなければなりません。これらを事前に予測したり、運用しながら最適なポイントを見つけるのは大変です。一旦いい設定を見つけても、ユーザーニーズの変化やターゲティング、クリエイティブによって大きく左右されるからです。

しかし、目標インプレッション単価は広告を表示させるだけです。複雑な予測は必要なく、市場平均を知っておけば一般それを設定し、成果に応じて調整する、ということが可能です。
なので、初めてYouTube広告を運用する、まだ始めたてで経験が少ない場合、目標インプレッション単価を設定しましょう。
目標インプレッション単価で運用し、最適化させていくと、平均的な視聴単価やコンバージョン単価といった数字が見えてきます。こうした数字を得たうえで他の入札戦略に展開していけば、効率的に運用することができます。
実際、プロの広告運用者でも、いきなり目標コンバージョン単価を設定してうまくいくということはほとんどありません。

目標インプレッション単価の考え方

それでは、目標インプレッション単価の設定方法を考えてみましょう。まず結論から伝えるとYouTube動画広告の目標インプレッション単価に適正相場というのはほぼありません。というのも、すでに説明したようにユーザーの行動を加味せず広告主が自由に決めることができるからです。ですが、一般には「400~600円」ほどで設定することが多いと思います。

仮に目標インプレッション単価を500円に設定した場合で考えてみましょう。1,000回表示されるごとに500円の広告費が必要になるということなので、視聴率が20%であれば200回視聴されます。500円で200回視聴なので、視聴単価は2.5円です。
視聴単価の平均は3~7円ほどといわれているので、視聴で見ても悪くない数字ですね。実は、目標インプレッション単価はクリエイティブの品質によっては他の入札戦略より効果的なのです。

逆に考えてみましょう。目標視聴単価を3円に設定していた場合、視聴率が20%であれば1,000回のインプレッションで200回の視聴が発生し、それぞれに3円かかるので、インプレッション単価は600円になります。
では視聴率が40%の場合も考えてみます。この場合、1,000回のインプレッションで400回の視聴が発生するため、インプレッション単価は1,200円になります。
一方、インプレッション単価から視聴単価を計算してみましょう。目標インプレッション単価を500円にしていた場合、視聴率が20%であれば視聴単価は2.5円です。視聴率が40%の場合、1,000回のインプレッションで400回の視聴が発生しますが、インプレッション単価は変わらないので、視聴単価は1.25円になります。

こうして数字で比較すると、目標インプレッション単価の良さが分かりますね。もちろん、必ずしもいい面ばかりではありません。目標インプレッション単価は「インプレッションを最適化する」ために設計されています。一方、目標視聴単価は「視聴を最適化する」ために設計されています。そのため一般には目標インプレッション単価の視聴率は目標視聴単価の視聴率に劣ります。
しかし、これから行う動画広告の視聴率やコンバージョン率の推測が難しい状況で、目標インプレッション単価は最適な選択肢と言えます。

目標インプレッション単価の調整方法

目標インプレッション単価の調整方法

目標インプレッション単価の大きなデメリットは、調整する指針が少ないことです。ユーザー行動が加味されない分、ほとんどの場合設定した通りの目標を達成することができてしまいます。そのため、今の設定が最適なのかが分かりづらいのです。

目標視聴単価で考えてみましょう。目標視聴単価を1円に設定していた場合、視聴率が相当高くないとそもそも配信量が制限されます。視聴してもらうにはそこそこ良い面に掲載する必要がありますが、この単価ではなかなかオークションに勝つことができないからです。
逆に視聴単価を20円くらい(かなり高価)に設定していたらどうなるでしょうか。この場合、多くのオークションに勝ち、狙った視聴を獲得できる確率が上がります。つまり、視聴率が上がります。

目標視聴単価が安すぎれば予算が消化されず、高すぎれば視聴率が異様に高くなります。その指針に従い運用調整をしていけば、適切な目標視聴単価を知ることができます。

目標インプレッション単価でも同様の傾向にありますが、コントロールしやすい分、視聴単価ほど顕著に現れません。運用を始めるには迷わずせってできるためおすすめですが、視聴やコンバージョンを増やすため運用改善していくうえではあまり適していません。

そこで、目標インプレッション単価を使って運用改善する指針を2つ紹介します。

1つは、インプレッション以外の数値から類推する方法です。例えば、視聴率が非常に高い場合、市場に対して高めのインプレッション単価を設定している可能性があるので下げてみてもいいでしょう。逆に視聴率が低い場合、市場に対して低く設定してしまい質が低い場所にばかり掲載されている可能性があるため、上げてみてもいいでしょう。同じことをコンバージョンやクリックなどアクションに対して考えてみてもいいでしょう。
おすすめは1,2週間ほどのスパンで50円ほど変更しながら徐々に絞っていく方法です。最初は500円で設定し、視聴率が50%を超えるようであれば50円下げる。まだ視聴率が高い場合はまた50円下げる、視聴率が10%まで減ったので25円上げてみる、という運用を繰り返していくと、インプレッションだけでなく視聴にもある程度最適化された設定を見つけることができます。
すでに紹介したように、視聴率が同じであれば目標インプレッション単価のほうが視聴単価を低く抑えられる傾向にあるので、ぜひ試してみてください。

もう一つが、目標視聴単価や目標コンバージョン単価など、広告運用本来の目標を叶えられる入札戦略に切り替えることです。ディスプレイ広告や検索広告では、まずクリック数の最大化で運用し、その後目標コンバージョン単価に切り替える、という運用方針をとることがあります。これは、まずクリック数を多く獲得しデータを得て、そのデータをもとに本来の目的に対して最適化していく、という戦略です。
同じように、目標インプレッション単価で運用し、得られた視聴単価やコンバージョン単価を基準にそれらの入札戦略に切り替え、その上で最適化していくこともお勧めです。

まとめ

今回はYouTube動画広告の入札戦略、なかでも運用初期におすすめの「目標インプレッション単価」の活用方法を紹介しました。
広告運用は自動化され便利になった分、戦略的に最適化することが難しくなっています。使える選択肢も増えたため、設定に迷う機会も多いでしょう。しかも、業界業種や目標によって最適解は様々で「こうすればうまくいく」というテンプレートはありません。
そうしたとき、今回紹介したような指針を持ち、とりあえず運用をはじめ、データを見ながら改善していくことが重要になります。
これから運用を始めようと考えられている方は、今回紹介した内容を参考にしながら、やってみてください。最初からうまくいくわけではありませんが、目標インプレッション単価を利用し、徐々に最適化していけば、大きく失敗するということはないはずです。