求人の現状と課題|Webを通じた求人募集の手法

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Webを活用した求人手法

企業の採用担当の方は、最近求人募集をかけているのになかなか応募が集まらない……と頭を悩ませている方も少なくないのではないでしょうか。
それはもしかすると、求人媒体だけに募集を出しているのが原因かもしれません。
実は、求人募集を出すことのできるチャネルは求人媒体だけではなく、様々なチャネルが存在します。今回は、そういった求人媒体以外で求人募集をかけるための方法について解説していきます。

【最新版】求人広告の掲載数と新規求職申込件数について

皆さんは、直近の求人広告の掲載数の動向についてご存知でしょうか?
全国求人情報協会の調査によると、2020年6月の求人広告の掲載数は、全体で647,208件(前年同月比-58.2 %)でした。
前年同月と比較して、求人広告の掲載数は実に6割もの減少が起こっているのです。

また、雇用形態別に見てみると、正社員が-62.6%、アルバイト・パートが-59.5%、契約社員他が-63.7%となっており、直近の減少傾向の大きさがうかがえます。

一方で、新規求職申込件数(季節調整値)は対前月比で18・2%増と、1963年1月の統計開始以来、最大の増加幅となりました。これは新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が解除され、求職活動が本格化した影響とみられています。

新規求職申込件数(季節調整値)

引用元: GD Freak!

このように、求人広告の掲載数が大きく落ち込み、求職者が増えている今日ですが、そんな中で効果的に求人募集をかけるためにはどういった手法が有効なのでしょうか。

求人広告が減少していても、費用対効果の面で最も効果が高いのは、やはりWebを活用した手法です。Webを活用した手法は、24時間応募を受け付けることができますし、リーチできる求職者に物理的距離の制限がありません。その上、紙媒体などと比べて、圧倒的に伝えられる情報が多いので、ユーザーに行動を喚起しやすいのも強みです。

そこで、Webを活用した求人募集の手法を順番に見ていきましょう。

Webを活用した求人手法4選

 

①求人媒体

1つ目は、求人媒体です。
まずは、メリットとデメリットについておさらいしていきます。

求人媒体とは、リクナビやマイナビに代表されるよう、Web上に企業の求人情報を掲載して求職者を集める媒体のことです。賃金や求める条件など、求職者が条件を絞り込んで求人を探せるので自社の求人が求職者の目に留まりやすいメリットがあります。また、求人募集を出している企業側からも求職者に直接スカウトを出すこともできるので求職者とコンタクトが取りやすかったりと、「求人」に特化したプラットフォームならではのメリットがあります。

デメリットは、求人媒体に掲載するだけで料金が発生するため、仮に応募がゼロだったとしても、料金は変わらずかかってしまう点が挙げられます。
正社員募集の場合、料金の相場は4週間掲載で20万円からです。費用をかければかけるほど掲載順位が上がり露出が増えるシステムになっています。採用費に予算をさけない企業や慢性的に人手不足な会社は、かなり厳しい戦いになると予想されます。

②自社制作の採用サイト

2つ目は、自社制作の採用サイトです。
最近では、求人媒体ではなく自社制作の採用サイトを用いて求人募集を出す企業が増えています。

採用サイトを自社で持つ一番のメリットは、コスト削減です。
求人媒体に掲載した場合、応募があってもなくても掲載期間に応じて一定の料金が発生します。一方自社制作の採用サイトの場合は、最初の制作にはコストがかかりますが、一度制作してしまえばあとはほとんどコストがかかりません。特に集客がうまくいっている企業であれば、求人媒体に掲載するよりも大きくコストを削減することができるでしょう。

また、自社制作の採用サイトと、リスティング広告やインディード広告などを併用する手法もよく使われています。広告を見てその企業に興味を持った求職者を企業サイト内の採用情報ページへ遷移させることも可能ですが、求職者に必要のない情報が入っているとその情報が不要になり、応募率が落ちてしまいます。そこで競合他社との差別化を図り、求職者にとってほしい情報が盛り込まれている採用サイトであれば、狙っているターゲットからの応募を集めやすくなり、入社後のミスマッチを防ぐことができるのです。そうなれば、広告から流入した求職者の応募率が上がり、応募単価を下げることができるでしょう。このように独自に宣伝して求人活動をしたい場合成果を最大化にするためにも採用サイトは必要不可欠です。

採用サイトをイチから制作するにはコストがかかりますし、社内にリソースがない場合は外注する必要も出てくるので、なかなか難しい企業の方も多いかもしれません。ですが、これから採用を増やしたい、採用単価を下げたいという企業の方は、採用サイトは制作しておいて損のないメリットの多い手法です。特に、頻繁に求人募集を行う企業は掲載料がかさんでくるので、自社制作の採用サイトの活用をお勧めします。採用サイトが公開されたら、求職者を呼び込む仕掛けとして広告掲載することもお勧めです。

③SNSの活用

@DMM.comHRPR|Facebook

引用元:Insta Lab

3つ目は、SNSの活用です。
SNSを活用した採用活動は、「ソーシャルリクルーティング」とも呼ばれます。
企業がTwitterやFacebookを活用して採用活動を行うことを言います。

企業側は自社の公式アカウントの投稿を通じて自社のブランディングを行い、求職者はその企業の投稿を見て応募する先の企業を吟味したり、時には企業とコミュニケーションをとって自分と企業とのミスマッチを減らしたりします。
SNSは、いわばそのユーザーのライフスタイル、考え方の表れとも言うことができます。そんなSNSの、求職者のアカウントを企業が予め観察しておくことで、企業にとっては採用に適さない考え方を持った求職者をスクリーニングすることが可能になります。そうなれば、適切でない求職者からの応募にコストを割く必要がなくなり、採用活動の低コスト化を図ることができるでしょう。

また、企業にとっては、内定者とSNSで繋がっておくことで、内定者の囲い込みを行うことも可能です。
内定者の辞退率を少しでも下げるためにも、内定者とのSNSによるコミュニケーションは積極的に行っていきましょう。ただし、ソーシャルリクルーティングで採用を行うためには常に投稿を発信し続ける必要がある上、求職者と繋がりを得ることができたとしても即採用となるわけではないため、工数という意味でのコストは少なからずかかります。SNSの利用自体は無料なので、金銭的コストはかかりませんが、いくら無料だからといっても、やみくもに情報を発信しているだけでは、採用に繋げることはできません。

例えば、日本における代表的なSNSには、Twitter、Facebook、Instagram、LINEがありますが、それぞれユーザー層が違えば、ユーザーが利用する目的も違います。
これはあくまでSNSを使ったマーケティングの基本的なことですが、ソーシャルリクルーティングを行う際にも、各SNSのユーザー層に合わせて、発信する内容を変えたり、投稿頻度を調節したりして、各SNSに最適な運用を心がけてください。

④ダイレクトリクルーティング

4つ目は、ダイレクトリクルーティングです。
求人媒体や自社制作の採用サイトが、求職者からの応募を「待つ」タイプの求人手法であるのに対し、ダイレクトリクルーティングとは、企業自らが積極的に求職者を見つけに行く「攻め」の求人手法です。先述のソーシャルリクルーティングもダイレクトリクルーティングの一種ですが、より特化した手法として、ダイレクトリクルーティング専用のサービスを活用することが挙げられます。

ダイレクトリクルーティング専用のサービスを活用することのメリットは、転職の潜在層にアプローチできることです。積極的に転職を考え、求職をしている人は求人媒体などで仕事を探すので、企業としてもコンタクトが取りやすいのですが、漠然と転職を考えている、「求職潜在層」はそういったアクションを取ることがないため、今までは企業がコンタクトを取ることがほとんどできませんでした。

しかし、ダイレクトリクルーティングの登場によって、「求職潜在層」に対しても企業がコンタクトを取りやすくなり、ぐっと求人の幅が広がりました。
また、ダイレクトリクルーティングの専用サービスは、求人媒体などの他の仲介サービスと比較してコストが安く済むため、低コストで採用が行えることもメリットのひとつです。
Webを通じて採用活動を行うなら、ダイレクトリクルーティングは外せない選択肢と言えるでしょう。

まとめ:自社制作の採用サイトをつくろう

今回は、求人広告の現状と課題を踏まえた上で、Webを通じた求人募集の手法について紹介してきました。
Webでの求人募集と聞くと、イコール求人媒体とつい考えてしまう方も多いかもしれません。しかし実はそれ以外にも自社でサイトを持つ手法や、SNSを活用する手法、募集をかけるのではなく求職者に直接アプローチをかける手法など、様々な手法があり、実際に活用されています。求人広告が減少している中、求人広告以外の手法で採用を行っている企業が増えてきているのです。

特に、自社制作の採用サイトは採用コストを抑えるだけでなく、競合他社との差別化を図れるからお勧めです。今は求人広告の掲載数が減って求職者が増えていますが、これから先の求人活動は少子高齢化により求職者が減っていくことが想定されています。そうなると企業間で優秀な人材の奪い合いが起こるのは必然的で、求人を出す企業はさらに増えていくでしょう。その競争に勝つには、力を入れて採用サイトをつくっている会社が選ばれることは間違いありません。

慢性的な人手不足に困っている会社や毎年のように優秀な人材を雇用したいと思っている会社は、求人媒体に掲載するにしても、広告出稿するにしても、絶対に採用サイトをつくるべきです。もし、求人媒体でしか採用活動を行っていないのであれば、求人媒体に頼らない他の手法もぜひ実践してみてください。