【動画広告のKPI】広告成果を分ける目標設計

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【動画広告のKPI】広告成果を分ける目標設計

近年注目を集める動画広告。もともとはブランディング目的で利用されることがほとんどでしたが、最近は直接的な成果を狙った事例も増えています。

しかし、動画広告を出稿する際に、どの指標を使って目標を立てていけばいいかわからないという方は少なくないのではないでしょうか。
その答えは、どのような目的で動画広告を出稿するかによって変わってきます。

今回は、動画広告の目標設計について、出稿の目的別に適切な指標の選び方を解説していきます。

動画広告は認知・検討・行動のすべてで活躍

動画広告は認知・検討・行動のすべてで活躍

動画広告というと、ユーザーに自社の商品・サービスを知ってもらう「認知」のための施策というイメージが先行しがちですが、実は認知だけでなく、検討段階、行動段階のユーザーに対しても効果的です。
まず、最もよく使われる認知のための動画広告は、静止画のバナーと比べて情報量が多く、かつ動きがついていることでユーザーの意識に入りやすいことから、近年では非常に広く出稿されています。
ちょうどテレビCMのWeb広告版と考えるとわかりやすいでしょう。

次に、検討段階における動画広告は、やはり静止画と比べて情報量が多いことが強みとなるのですが、その情報の内容が異なります。
動画広告は、商品やサービスを実際に利用しているシーンを想像させやすいという大きな利点があり、これが検討段階のユーザーに対しての購買への後押しとなるのです。

最後に、行動段階における動画広告は、動画広告が持つストーリー性が重要になります。
動画広告では、動画の最後にCTA(Call to Action)と呼ばれる、ユーザーの行動を促す文言やボタンを表示するのが一般的です。
「詳しくはこちら」「今すぐ購入」などがCTAにあたります。
動画広告では、動画の中で自社の商品・サービスについてのストーリーを作り上げ、最後にCTAを表示して自社のウェブサイトに誘導することで、最終的な購買行動にスムーズにつなげることができます。

このように、動画広告は認知・検討・行動のすべての段階で効果的に働くのです。

動画広告は認知・検討・行動のすべてで活躍

動画広告の評価方法は「認知」「検討」「行動」それぞれの段階に分けて考える

動画広告の効果を評価する指標

動画広告の効果を評価する指標としては様々なものがありますが、結局どの指標を元に戦略を立てていけばいいのでしょうか。
前述の通り、動画広告は認知・検討・行動のそれぞれの段階で効果があり、それぞれの段階で役割が異なります。
そのため、どの目的で動画広告を出稿するのかを最初に決めておき、目的に合わせた目標設計を行うのが大切です。

動画広告を評価する指標①:認知段階

認知段階における動画広告の評価は、とにかく多く再生され、とにかく多くの人に届くことを目指します。
そのため、特に重要となる指標は、インプレッション、リーチ、再生回数です。

インプレッションは、その動画広告がユーザーの画面に表示された回数を指します。
ユーザーが見ているウェブページに動画広告が掲載されてさえいれば、ユーザーの視認範囲に入っていなくてもインプレッションとしてカウントされる場合と、ユーザーの視認範囲に動画広告が表示されたときにのみインプレッションとしてカウントされる場合があり、カウントの方法は媒体によって異なります。
特に、後者の視認範囲に表示されたときのインプレッションのことをビューアブルインプレッションとも呼びます。
インプレッションを評価指標とする場合は、媒体ごとのカウントルールを確認しておきましょう。「こっちのほうがインプレッション単価が安い」と思っていたら、単にカウントルールが緩いだけだった、ということが起こり得ます。

リーチは、インプレッションと似た指標ですが、動画広告が表示された「回数」を指すインプレッションに対し、リーチは動画広告が表示された「ユーザー数」を指します。
1万人のユーザーに対して一人あたり平均1.5回動画広告が表示されているとしたら、リーチは1万、インプレッションは1万5千となります。
リーチが少ないままインプレッションばかり増えているという場合は、同じユーザーに同じ動画広告が何度も繰り返し表示されてしまっているということになるため、改善が必要です。
ユーザー一人当たりの広告表回数を「フリークエンシー」といいます。フリークエンシーがあまりに多い場合は、ターゲットを拡張してより多くの人に広告を届けるか、フリークエンシーキャップを設けて1人当たりの広告表示回数を制限するか、広告費を制限するかといった対策を取ります。

再生(視聴)回数は、その名の通り、動画広告がユーザーに再生された回数を指します。再生の定義は広告手法によって様々です。YouTubeの場合、30秒以上閲覧されたら「視聴」とカウントされます。
これも、インプレッションやリーチが増えていても再生回数が増えていなければ動画広告が見てもらえていないのと同じですから、やはり改善が必要ということになります。

動画広告を評価する指標②:検討段階

検討段階における動画広告は、ただ見てもらえればいい認知段階とは違い、ユーザーの意識に残ることを目指します。そのため、特に重要となる指標は、視聴時間、視聴率、ブランドリフトです。

視聴時間は、動画広告がユーザーに視聴された時間を指します。
これが長ければ長いほど、動画広告がしっかり見てもらえているということになります。
ただ、そもそも動画広告自体の長さに差があると、正当な比較が難しくなってしまいます。
そこで、視聴率と呼ばれる指標が登場します。

視聴率は、維持率などとも呼ばれ、動画の総再生時間のうち、何%見てもらえたかを測る指標です。
例えば、総再生時間が30秒の動画広告で、15秒経過時点まで再生したユーザーが全体の30%だとしたら、15秒時点、つまり全体の長さに対する50%における視聴率は30%ということになります。
視聴率は、再生時間の経過に従って緩やかに下降していくのが普通ですが、もしも特定のポイントで著しく視聴率が急落していることがわかったとすると、その時点での動画の内容に問題がある可能性があります。
視聴率を100%にすることは不可能ですが、なるべく視聴率の下降を緩やかにして最後まで見てもらうことを目指しましょう。

ブランドリフトは、動画広告を見たことによってそのユーザーにとってのブランドイメージがどれだけ上昇したかを表す指標です。
動画広告を見たユーザーと見ていないユーザーにそれぞれアンケートを取り、それぞれのユーザー群のブランドイメージの差を算出する方法を取るのが基本です。
検討段階では、他の商品ではなく自社の商品を選んでもらう必要がありますから、ブランドリフトが大きければ大きいほど、動画広告の効果が高かったということになります。

視聴回数や視聴率はあくまでもユーザーの関心度合いを疑似的に推測しているにすぎません。ある程度の費用を動画広告に投じる場合はブランドリフト調査もあらかじめ検討しておきましょう。

動画広告を評価する指標③:行動段階

動画広告を評価する指標
行動段階における動画広告の評価は、基本的に通常のディスプレイ広告やリスティング広告と変わりません。
動画広告をクリックしてコンバージョンに至るまでを目的として出稿しますから、クリック率、コンバージョン率が重要です。
ただし、動画広告とバナー広告ではそもそも配信面が異なったり、広告を見るシーンやモチベーションも違ってきたりしますから、動画広告とバナー広告を全く同じ基準で比較してしまうのはあまり良い方法とは言えません。

また、動画広告を評価するうえで大切なことが、アトリビューション分析です。動画を見て行動しようとしても、全員が動画広告内のCTAをクリックするわけではありません。ブラウザで検索するなど、別の方法でコンバージョンに至ることもよくあります。

動画広告であれば動画広告、バナー広告であればバナー広告の中で、それぞれユーザーの反応の良いクリエイティブを探索していくのが良いでしょう。
動画広告とバナー広告の両方で良いクリエイティブを打ち出すことができれば、全体の成果改善に大きく貢献してくれるはずです。

動画広告の成否を分ける目標設計まとめ

今回は、動画広告を出稿する際に評価に使う指標について、出稿の目的別にそれぞれ解説してきました。
動画広告は、認知・検討・行動のすべての段階で効果的に機能しますが、だからこそ、どの目的で動画広告を出稿するのかをあらかじめ明確にしておき、目的に応じて評価する指標を決めることが重要です。
これから動画広告を出稿しようとしている方、動画広告の出稿を始めたばかりの方は、ぜひ今回の内容を元にして、動画広告の目標設計にチャレンジしてみてください。