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公開日:2021年6月22日/更新日:2021年11月2日
数年前から話題になっている「note」をご存知でしょうか?
実際に利用されている方はどういうものか理解されていると思いますが、自分で使っていないと「ブログと何が違うの?」「何ができるの?」などの疑問があると思います。
noteは個人クリエイターやブロガーが中心となって利用していましたが、ここ最近はビジネス活用事例も増えてきました。
そこで今回は、今からできる企業の「note」活用をテーマに、noteについてまとめていきたいと思います。
noteとは?
noteを一言で表すのは簡単ではありません。ブログやオウンドメディア的な側面と、SNSプラットフォームとしての側面を持つからです。その点を含めて一言で表すとすれば「ブログコンテンツ型SNS」だといえます。
そんなnoteですが、数年前から話題になっていたものの、ここ1年ほどで急激に利用者が増加しました。
2019年9月に月間アクティブユーザー数2000万人を超えてから1年も経たないうちに3倍以上の6300万人にまで増えました。
なぜこれほど急激に成長したのでしょうか?
様々な理由がありますが、コロナ禍で医療従事者やスポーツ選手などがTwitterなどの短文SNSでは発信しきれない情報を積極的に発信していたことが挙げられます。
また企業のビジネス活用も進んでおり、note proというビジネス向けのプランの契約数も半年で急増したと発表しています。
noteで何ができるのか?
noteでできることは基本的にWordPressで構築したブログと同じと考えて大丈夫です。noteもブログのように長文の記事を書き、本文の中に画像や動画、音声などを入れることができます。WordPressでブログやオウンドメディアを作るとなると、ドメインやサーバーを用意したり、HTMLでデザインしたりとある程度の知識が要求されますが、noteはアカウントを作ればすぐにブログを投稿することができます。
また、通常のブログ系プラットフォームと違うことは、コンテンツを有料化するなど、個人クリエイターやブロガーでも簡単に収益化できることです。
そしてSNS的な側面もあるため、noteのアカウントをフォローしたり、Twitterの「いいね」のような「スキ」という機能があったり、コメントを残したりとユーザーとコミュニケーションが取れます。
ただしWordPressなど自分で構築するものと違い、デザインを自由にカスタマイズすることはできません。あくまでもnoteというプラットフォームが用意している機能の中で運営することになります。
note pro とnoteプレミアム会員
noteは無料で利用できますが、note proとnoteプレミアム会員という有料プランが用意されています。
noteプレミアム会員は月額500円の有料プランで、月額マガジンの定期購読販売や予約投稿、コメントのオン/オフ機能、数量限定販売など、主に個人クリエイターやブロガー向けの機能が多く用意されています。
note proは月額5万円から利用できるビジネス活用向けのプランで、独自ドメインに変更したり、ロゴをnoteのロゴから自社のロゴに変えたり、メニューやテーマカラーをカスタマイズしたり、アクセス解析や外部メディアとの連携などが用意されています。
企業としてしっかりブランディングしていくならnote proも検討してみましょう。
noteとブログの違い
ここまでを見ると、「手軽だけど、月額5万円も出さないとnoteのロゴが表示されるし、ドメインもnoteのものになるなら、ちょっと手間をかけて自社でブログを構築した方がいいんじゃないか」と思うかもしれません。
企業のオウンドメディアとして、noteとブログをどのように使い分けるべきかお悩みの方も多いでしょう。noteは普通のブログサービスのように見えますが、note独自の機能を多く備えています。noteとブログ、それぞれの特徴を理解して自社に合うのはどちらか、目的を満たすにはどちらが適しているのか参考にしてください。
収益化の違い
ブログでの収益化は、記事への広告掲載が効果的な方法です。ブログを訪問したユーザーに、掲載した広告が表示されたりクリックされることで広告収入が発生します。ブログ上で広告を掲載するには、Google AdSenseといった広告やアフィリエイトサービスなどを利用します。
noteでは、広告掲載による収益化ができない代わりに、記事を有料化することで収益につなげることが可能です。手数料が15%発生しますが、記事ごとに100円から販売価格を自由に設定でき、記事単体だけでなくマガジン形式での販売も可能です。
カスタマイズ性の違い
無料のブログサービスを利用している場合はサービスによって制限がありますが、有料のWordPressなどでブログを運営している場合には好みのデザインにカスタマイズすることができます。WordPressを使う場合は、デザインを最初から作り上げる必要はなく、好みのテーマを選んでカスタマイズ設定することができます。
noteは、記事を作成するエディター画面が簡素な作りのため、独自でデザインのカスタマイズはできません。しかし、デザインがシンプルなため、ユーザーに長文でも疲れることなく読まれやすいともいえます。また、他SNSへのシェアボタンの位置も決まっているので、SNSへの拡散もスムーズに行われやすい仕組みとなっています。
ユーザー層の違い
ブログは記事を増やして、資産として蓄積することができる点が強みです。SEO対策もすると良質な記事の量が増えるので、Google検索エンジンからの評価が高まり、検索結果も上位表示され、多くの人に見てもらいやすくなります。
noteは先述した通り、すでにファンや利用者がいるプラットフォームです。noteには、記事のリコメンド機能(投稿記事に近い属性の記事がレコメンドされる仕組み)、カテゴリページの拡大といった、noteのユーザーを集客しやすい仕組みが設定されています。また、note編集部からピックアップ記事として紹介されることで記事のアクセスが伸びる期待もできます。さらに、noteはSNSとの相性が良いのでSNS活用して宣伝することで記事が露出され、新規ユーザーの集客に役立つだけでなく、記事の購読を促進する効果も期待できます。
コンテンツの違い
ブログでは、作成したコンテンツはすべて自社の資産になります。WordPressなどで運用しているブログであればサービス終了の危険もなく、資産を蓄積することができます。また、自社でドメイン取得をすれば、独自のURLを使うことができます。
noteで作成したコンテンツはnote上で公開されるため、万が一noteがサービス終了してしまった場合には、これまで蓄積した資産を失ってしまう可能性があります。URLについては、基本的にnoteのドメイン名のみしか使用できません。月額5万円のnote proを利用すれば独自ドメインが使用可能です。
noteを使うメリット・デメリット
noteは手軽に運用できるといったさまざまなメリットがありますが、デメリットといえる部分もいくつかあります。
メリット
・運用を手軽に始められる
noteのプラットフォームを使うことで、自社で一からサイト構築する必要はなく、自社オウンドメディアと同等のコンテンツ運用をすぐに始められることがメリットです。プラットフォームを利用するだけであれば費用もかからないので、人件費など、必要最小限のコストで始めることができます。
・集客がしやすい
2020年5月時点でnoteには6,300万人のユーザーがいるため、自社サイトにてオウンドメディアを運用している企業であっても、自社サイトより集客がしやすいというメリットがあります。
また、noteには、1,600ほどの企業アカウントが開設されており、今後も増えていくことが予想されています。同じくBtoBである企業、法人が読者として多く登録しているので「noteユーザーには記事が読まれやすい」のもポイントです。
・SEOに強い
2019年にnoteは、サービス全体のドメインを「note.mu」から「note.com」に移行したことで、ドメインパワーが強力になりGoogle検索結果で上位に表示されやすくりました。
ただ、noteの記事が上位表示されやすいのはニッチなスモールワードをターゲットにした場合です。
ビックワードだと競合の記事とnote内部で、キーワードのカニバリゼーション(食い合い)が発生してしまう可能性があります。
・ECサイトと連携できる
noteはECサイトと連携できるため、商品やサービスの紹介から購入につなげていくことが可能です。ECサイトと連携する際は、noteの記事上に商品URLを埋め込むと商品画像と商品名、店舗名といった詳細情報がカード形式で表示されます。
デメリット
・カスタマイズができない
記事を作成するエディター画面が簡素な作りであり、装飾できる機能も制限されています。プレーンテキストでの表現が基本なため画像や動画は記事に差し込むことしかできないことや、特に外観のデザインはカスタマイズすることができません。
・コンテンツ内に広告が掲載できない
noteはコンテンツに広告の掲載が出来ない仕様になっています。つまり、バナー広告やアフィリエイトサービスの掲載ができません。
・独自のドメインを決められない
有料プランのnote proでなければ、独自ドメインを適用することができないため、ドメイン名やnoteの記事URLは自動で割り振られた英数字の羅列になります。
競合と差別化したり、ユーザーに記事を覚えてもらいたいという場合、URLだけでは記事の内容が分からない状態になってしまいます。
・コンテンツのデータ移行が出来ない
noteで公開したコンテンツはnoteが持っているということです。
noteは民間企業なのでサービス停止の可能性もあります。何らかの理由でnoteの規約に違反してアカウントが凍結される可能性もあります。
仮にnoteがサービス終了してしまえば、データのエクスポートができないため移管作業も簡単には行うことができません。
万が一に備え、noteで公開した記事は別に保存してバックアップできる状況にしておきましょう。
noteのビジネス活用
自社でnoteを使うかどうかは、目的やリソース次第です。noteは非常に優れたプラットフォームですが、自社でデザイン性の高いオウンドメディアを構築し、SEOにリソースを割くのであればWordPressなどのCMSを使った方がいいでしょう。一方で、デザイン性よりもユーザーとのコミュニケーションを重視する場合や、SEOにリソースを割けない場合、検索ボリュームが少ない業界でSEO効果が見込みづらいという場合はnoteが良い選択肢になります。
では、実際にどのようにnoteを活用していくのか、よくいわれる「企業型」「部門型」「コミュニティ型」「代表者型」に分けて見てみましょう。
企業型noteの活用事例:KIRIN
企業が主体となって公式noteを運営している場合、企業型といわれます。
2019年4月に「キリンビール」として始まった麒麟麦酒株式会社の公式noteは2021年3月に「KIRIN」に名称を変え、運営されています。
「これからの乾杯を考える」をコンセプトに運営していましたが、ノンアルコールも含めキリングループ全体で社員やファンや関係企業の声を届ける場として活用されています。
どんな投稿をしているかというと、「私の晩酌セット」などおつまみレシピ紹介や、コロナ禍に苦しむ飲食店の取り組み紹介など、様々なコンテンツを届けています。
私たちから発信されたコンテンツを見たことで、noteの皆さんにとって、少しでも身体が軽くなるような暮らしの楽しみが増えたり、読み終えたらスッキリとデトックスされるような気持ちになったり、そんな読後感を抱いていただけるような発信を目指していきます。
名称を変えた後は「暮らしを軽やかに、気持ちを健やかに。」をコンセプトに、社員インタビューなど求人目的にも活用されています。
部門型noteの活用事例:UUUM DESIGN
企業の特定の部門やサービスなどが主体となって運営されているnoteを部門型と呼びます。先ほどの「KIRIN」の例でいうと、「キリンビール」という部門型noteから「KIRIN」という企業型noteに変化したといえます。
部門型noteでは、その部門に特化した情報が届けられるため、1つの企業の中で部門それぞれが違う部門型noteを運営していることもあります。
YouTuber事務所であるUUUMもその1つで、「UUUM」という企業の公式noteの他にもアカウントがあり、「UUUM DESIGN」はUUUMに所属するデザイナーが運営しています。元々は社内コミュニケーションのような役割もあったようですが、8000人を超えるフォロワーがいて、他の企業のデザイナーやデザインに興味のある人にも読まれているようです。
そういう意味では、次に紹介するコミュニティ型noteともいえるかもしれません。
コミュニティ型noteの活用事例:ランサーズ
noteでは定額制マガジンなどの機能を使い、顧客を囲い込んだり、ファンクラブ、コミュニティのように運用することもあります。
クラウドソーシングサービスを運営するランサーズは、公式note「つながる!ランサーズ」を社内報・社外報として活用しています。
マネージャーが新人向けに仕事のマインドセットを書いたりしており、ランサーズの社員ではない人が読んでも学びになります。新卒・転職者の記事ではランサーズへ入社した経緯や意気込みが書かれており、ランサーズへの就職・転職を考えている人の後押しになります。
優秀な人材を確保することが難しくなったと言われる今、これまでのように求人媒体に掲載するだけでなく、このように積極的に情報を発信する取り組みが求められているのかもしれません。
代表者型noteの活用事例:SECOND DESIGN
企業の代表などが企業に所属する個人として発信することを代表者型noteと呼びます。
現在、個人事業主も含めると非常に多くの人が企業・組織のためにnoteを運営しています。代表者の思いや声を直接届けられるため、ブランディングや採用、従業員満足度の向上、顧客獲得など様々なメリットがあります。
一級建築士事務所「SECOND DESIGN」の岩永 祥氏はnoteを通じて企業やデザイン、社会に対する自身の考えを発信されています。
企業規模や形態によってはnote代表の発信した考えに共感して顧客になってくれることもあるかもしれません。社員や転職希望者はこうしたところで企業の性格を知ることもできます。
まとめ
今回は急成長するnoteのビジネス活用について紹介しました。noteの魅力や活用用途が伝われば幸いです。また、noteとブログ・オウンドメディアの違いで書いたように、オウンドメディアや他のSNSにもまた違った魅力があり、何を使うのかは戦略によって検討しなければいけません。
事例を「企業型」「部門型」「コミュニティ型」「代表者型」に分けて紹介しましたが、こうした分類は便宜上のもので、複数の役割を果たしているものや、特殊な活用を行っているケースも数多くあります。
noteは他のSNSに比べて自由度が高いコンテンツが提供できるからこそ、運用方法はアカウントによって様々です。自社の目的やスタイルに近い運用をしているnoteがないか調べてみて、あれば参考にしてみましょう。
MARKETIMESにGrabの記事が転載されます!
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