質の高い調査結果が得られるアンケート調査の進め方

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質の高い調査結果が得られるアンケート調査の進め方

自社の商品やサービスの満足度などをはかるために行われる「アンケート調査」ですが、思った通りの結果を得ることができていますか?

アンケート調査は短くて数週間、数ヶ月かかります。始めてから、あれを聞いておけば良かったと思うことも少なくないのではないでしょうか。
当然ですが、調査には費用がかかります。対象となるサンプル数確保のための費用、分析・レポート費用、会場インタビューなら会場費もかかります。かけた費用を無駄にせず、調査結果を反映したスピーディな意思決定を行うためにも、調査を始める前にしっかり準備を行いたいものです。

そこで今回は「質の高い調査結果が得られるアンケート調査の進め方」というテーマで、調査の種類、調査の手順、調査を行う時に気をつけたいポイントなどを解説します。

アンケート調査の役割|なぜ重要なのか


アンケートが重要とされる理由は、アンケート=ユーザーのリアルな声(事実)だからです。
既存の商品やサービスについて認知度や満足度を調べることにより、現状の課題や次の打ち手を検討することができます。さらに、新しい商品やサービスを検討している場合は、そもそも消費者は何を求めているのか、何に困っているのかなどの情報を集めることができます。

一方、アクセス解析などは、全体的な消費者の行動傾向をつかむことはできますが、細かな感情や、どうしてその傾向があるのかといった理由は見えにくく、課題の明確化や打ち手の検討につなげにくいというデメリットがあります。

購入意向をアンケートで調べることにより、販売量を予測したり、顧客のニーズを知ることができ、リスク回避につながります。このように、ユーザーの声を集めることができるアンケート調査はマーケティングには欠かせない手段です。

アンケート調査の種類


アンケート調査と一言で言っても色々な種類が存在します。数値をベースに分析する「定量調査」と、数字では出てこない情報を引き出す「定性調査」という二つの考え方があります。実際の手法としてはWeb調査やインタビュー調査、行動観察調査など様々です。調査目的に合わせて、適切な調査手法を選択することが重要です。ここではそれぞれの手法について紹介します。

定量調査とは?

定量調査とは、量という字からもわかるように「調査結果を数値として集計、分析する」手法です。量的調査と呼ばれることもあります。
認知率や使用率など全体の傾向をつかむために用いられる手法です。
規模はその調査次第ですが、数十という少ないものから多いものでは数千という母数を集める場合もあります。同じ基準を設けて定期的に行っていくことで、トレンドの変化や消費者の意識がどのように変わるかなど把握するためにも用いられます。

定量調査の具体的手法

  • 郵送調査:アンケート調査の中でオーソドックスな手法の一つが郵送調査です。紙のアンケート用紙を準備して、対象となるパネルに郵送で送ります。回答後、返送してもらいそのデータを元に集計・分析を行う手法です。郵送や集計時の手間や時間がかかるため、現在は次に紹介するWeb調査に移行しつつあります。製品テストを行う場合もあります。実際に商品のサンプルを決められた期間使ってもらって、その満足度や使いやすさなどを調査する場合は郵送調査を利用します。
  • Web調査:インターネット上でアンケート調査を行う手法です。誰でも答えられるオープンなタイプや、調査会社が持つパネルや自社の顧客など限られた人を対象に行う場合もあります。過去主流だった郵送のように発送、到着、返送という手間が省けるので、比較的短期間で設計、実査、集計・分析などが出来るメリットがあります。費用も比較的安い傾向にあります。コンピュータ上で回答するため、単純な文章だけの質問ではなく「映像や写真などのビジュアル」を用いることも可能です。
  • 会場調査:あらかじめ決めた会場に対象となる人を集めて行う調査手法です。調査の規模次第ですが、基本的に数百人、数千人と言った規模を会場に集めることは難しいので量的調査の中でも比較的少人数の調査になります。対象者の交通費負担や会場を借りる必要があるため、費用は比較的高くなります。単純に文字のアンケートだけを行う場合もありますが、その場で商品を試してもらうことや、映像や写真を見てもらって調査を行うことも可能です。

定性調査とは?

量を重視する定量調査に対し、定性調査は「深さ」を重視した調査手法です。質的調査と呼ばれることもあります。
定量調査が事実ベースの「What?」を聞いていくのに対して、定性調査は「Why?」「How?」といった観点で、対象者一人の意見や感想を深掘りしていくことで、数字では出てこない消費者の本音や、無意識に行う動作や目線などに着目します。

定性調査の具体的な手法

  • パーソナルインタビュー:一人に対してインタビューを行う方法です。時間をかけてじっくり行う場合が多く、回答に対して「なぜ?」「どうやって?」と追加の質問を行い深掘りしていきます。なぜなぜ?と聞かれることによって、普段深く考えずに行っている行動の真意や、アンケート調査では出てこない消費者の実態などを探ることができます。
  • グループインタビュー:一人に深掘りするパーソナルインタビューに対して、グループインタビューは複数の人を同時にインタビューする形式です。インタビュアーは基本的に一人一人に質問を投げかけ、一人ずつ回答するようにリードしますが、グループインタビューでは他者の意見の影響を受けます。参加者間で意見交換が行われることや、他者の発言で「そういえば私も!」などと気付くことも起こります。気をつけたい事としては、グループの中に一人でも「主張が強い参加者」がいると、周りがその人の意見に引っ張られてしまう場合があるということです。グループインタビューは、インタビューする側のスキルが求められます。
  • 行動観察調査:調査対象者の行動を観察する調査手法です。具体的には、その場で商品を使ってもらう、実際に店舗を再現して模擬購買をしてもらうなど、やり方は様々です。ポイントは消費者が何気なく行っている行動に、ヒントがあるということです。対象者本人も、ほぼ無意識な行動なので、インタビュー調査を行っても口からは出てこない情報なのです。例えば「買い物中、パッケージや値札、プロモーションの札などの中でどこを最初に見るのか」「商品を使う際、どの工程で一番時間がかかっているか」など、質問されても答えられないようなポイントを観察します。

アンケート調査の手順

アンケート調査の重要性や種類について理解したところで、実際にどのように進めていけばよいのかという手順を紹介します。質のよい、また自分が欲しい結果を得るためのアンケート調査を行うためには準備が最重要です。事前準備の精度の高さが、得られる結果に影響します。ここではアンケート調査の手順についてステップごとに解説します。

STEP1:目的を明確にする

調査を行う前に「調査目的」をはっきりさせておきましょう。なぜこの調査を行う必要があるのか、どのようなデータを集めるために調査を行うかという事を明確にしておくことが重要です。
目的がはっきりしない状態で調査に取りかかると、結果的に欲しいデータが得られなかったという事態に陥るリスクもあります。

STEP2:仮説を立てる

調査目的がはっきりしたら、仮説を立てましょう。目的と仮説の違いは以下の通りです。

目的:A商品を使っている人の使用実態、満足している点と不満に思っている点を調べる
仮説:Aを使っている人は○○という部分に満足しているが、××の点で不満がありリピートしていない

仮説を立てることで、単純に「使用実態を知る」と掲げるだけよりも「何を質問に入れないといけないのか」という点が明確になりませんか?
仮説を立てる目的は、質問や調査の流れがシャープになり、本当に知りたい情報を得ることができるからです。目的の「使用実態を知る」だけで調査に挑むと、Aの使用頻度や使用場所、誰に使われているかなど知ることはできますが、情報の羅列に過ぎません。特定のマーケティング課題に対して調査を行う場合は、仮説を立てるようにしましょう。

STEP3:調査対象者、調査手法の決定

目的と仮説が固まったら調査対象者、つまり「誰に聞くか?」を決めていきます。
調査対象者の決定は慎重に行いましょう。理由は、ターゲットでない人の意見を聞いても意味がないからです。例えば乳幼児向け商品のアンケートを取る際に、子供の年齢が10歳を超えている人に聞いても、参考になるとは言えません。
次に、立てた目的と仮説をもとに調査手法を決定しましょう。目的と仮説に沿って、欲しい結果をイメージしながら定量なのか定性なのか、インタビューなのかWebアンケートなのか、検討していきましょう。

STEP4:調査票の作成

調査対象者、調査手法が決まったら、実際に調査票を作りましょう。調査票とは、いわゆるアンケート用紙のようなものです。
質問文は短く、わかりやすく、簡潔にということを心掛けましょう。例えば「悪くはない」という表現や「ない訳ではない」という二重否定は回答者を混乱させてしまい、正しい結果が得られないこともあります。
調査全体の長さにも気をつけましょう。あまりに長い調査は集中力を保つことが難しく、正しい結果が得られないリスクがあります。また、関連する項目は近くに置くなど、全体の流れも重要です。

一度調査票を作り終えたら、最初から最後まで自分で一度回答してみることをオススメします。流れの違和感や、質問の聞き方の分かりづらさなど気付くことができます。

気軽に利用できるアンケート調査サービス

社内で調査パネル(対象ユーザー)や専門の担当者を抱えている場合は別として、多くの企業が「調査会社」と協力して調査を行うでしょう。ここではアンケート調査を依頼できる調査会社をいくつか紹介します。

株式会社インテージホールディングス
消費財や食品、飲料などのコンシューマーグッズの調査に強みがあり、小売店での販売データなど大規模などビッグデータを有している調査会社です。近年では新しい手法のリサーチにも力を入れています。

株式会社マクロミル
インターネットを使ったリサーチに強みがあるリサーチ会社です。オンラインリサーチやインタビュー調査など総合的な調査を提供しています。さらに、一般消費者モニターを多くかかえるという強みを生かし、セルフリサーチサービスも提供しています。オンライン上で直接ユーザーに定量・定性調査ができるため「本格的な調査の前にちょっとユーザーの意見を聞いてみたい」という時に活用できるでしょう・

LINEリサーチ
LINEが提供しているリサーチです。15歳~59歳のスマホ利用率は約90%。LINE利用率は約92%です。この非常に高い利用率で、幅広いユーザーの意見を拾えることがLINEリサーチの強みです。回収スピードも早く、10分で1,000件の回収ができる点や、他調査会社に登録していないフレッシュユーザーが多いので、調査慣れしていない一般消費者の声が聞けるという点でも活用できるでしょう。

LINEリサーチについては下記の記事で詳しく紹介しています。マーケティングカレンダーで紹介したように、日々アップデートされていることも大きな特徴なので、今後アンケート調査を行う際はぜひ検討してみてください。
「LINEリサーチ」を活用しよう!“スマホ時代”の新たな市場調査法

まとめ

今回は「質の高いアンケート調査結果を得るためには」というタイトルで調査の種類や進め方などを紹介しました。
最近はインターネットを使った簡単な調査も増えており、さらにSNSを使ってユーザーの声も集めやすくなっています。

調査方法は時代によって変わって来てはいるものの「目的と仮説を立てて調査設計する」という基本原則は同じです。
質の高い調査ができるように、今回の記事を参考にしてみてください。