【費用対効果を改善する3つのコツ】広告費用対効果の考え方

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【費用対効果を改善する3つのコツ】広告費用対効果の考え方

広告費用対効果を改善するには?

以前、「Webマーケティング用語集-広告評価指標編」で、Web広告の目標設定から、効果の評価まで、不可欠な指標としてCPA(獲得単価・成約単価=広告費用対効果)を紹介しました。
今回のテーマは、運用型広告を活用する際の「CPA(広告費用対効果)」の考え方について、より深く見ていきましょう。

「CPA」は“Cost Per Action”あるいは“Cost Per Acquisition”の略語です。
それぞれ直訳すると「行動ごとのコスト」「獲得ごとのコスト」ですが、具体的には「ネット広告でユーザーの1コンバージョン(CV)を獲得するのにかかるコスト」、つまり広告費に対してどれだけの成果が出たかという費用対効果を指します。CPAは広告評価指標の中でも特に重要で、広告の費用対効果を明確に表します。そのため、目標設定・運用改善・効果評価のいずれにおいても活用します。

CPAは「広告費用」を「コンバージョン数」で割って計算します。たとえば10万円かけて通販サイトの広告を打ち、購入数(CV数)が1,000件だった場合、CPAは【100,000円÷1,000CV=100円】となります。

CPAは、「広告費用とそれによって得られる利益が釣り合っているのか」、つまり費用対効果を考える際の重要な指標です。

特に、現在ネット広告のメインとなっている「運用型広告」を活用する際には欠かせません。

「運用型広告」とは?

ユーザーが広告枠のあるページを開いたとき、表示される広告が「リアルタイム入札」で決まるものを“運用型広告”といいます。運用型広告の代表例は、Google、Yahoo!の検索結果の画面に表示される「リスティング広告」です。

広告主が設定した検索ワードがユーザーによって打ち込まれたとき、検索意図に合った広告が複数ピックアップされ、各広告主が定めた入札価格をもとに入札が行われます。その中から、入札価格や検索意図とのマッチ度などの要素から、最も適切な広告が表示される仕組みを「リアルタイム入札」といいます。

このような広告では、競合他社の動向やユーザーのニーズなどを考慮に入れ、入札価格やキーワード、興味関心といった配信設定を調整していく必要があります。このように、様々な数字データをもとに運用・改善していく必要があるために、「運用型広告」と呼ばれています。

運用型広告で成果を上げる、継続的に改善を続けるには、様々な数字データを活用していくことが欠かせません。運用改善の中でも特に重要な数字がCPAです。多くの数字は、広告費や市場ニーズの変化によって意味が変わってきます。しかし、CPAはどんな状況であっても、最も素直に広告の費用対効果を示してくれます。

では、具体的にはどのように考えていけばいいのでしょうか?

CPA(広告費用対効果)の基本的な考え方

【広告費用÷コンバージョン数】から導き出されるCPAについては、極端に単純化すると以下のようなことが言えます。

  • CPAの数字が高すぎる=コストがかかり過ぎている
  • CPAの数字が低い=コストを抑えることができている

もちろんより良いのは後者です。では、そもそもCPAはいくらだったら“高い”といえるのか、逆にいくらまでなら“低い”と判断できるのでしょうか。

そのためには広告運用前に考えておくいくつかのポイントがあります。

改善のコツ:CPAの限界値を把握する

たとえば、ネット通販で販売する1箱10,000円の商品があったとしましょう。商品の原価が5,000円だった場合、この商品を1つ販売するために5,000円までは広告費をかけても赤字にはならないといえます。つまり,CPAの限界値は5,000円となります。

限界値を把握しておくことは、広告の予算を組む際に役立ちます。たとえば1ヶ月で目標とするCV数が50、つまり50箱販売したい場合、CPAの限界値は5,000円なので1ヶ月の広告予算は【5,000円×50箱=250,000円】ということになります。

また、CPAを評価する際、この限界値をベースに高い・低いを判断することもできます。

改善のコツ:LTVで考える

LTVとはライフタイムバリューの略で、顧客の生涯価値を表します。例えば、10,000円の商品Aを販売した後、50%のユーザーが25,000円の商品Bを2回購入するとします。この場合、LTVは以下のように計算します。

10,000円+(50%×25,000円×2個)=35,000円

もろもろの原価が合計で15,000円だった場合、20,000円が上限CPAであると考えられます。通販や定期購入を狙った商品の場合、最初の売り上げで広告費をペイしようと考えることは現実的ではありません。そのため、1回目の購入のあとのアップセルや継続期間などを考慮に入れる必要があります。

LTVをベースに考えることで、広告施策の検討余地が増えるため、より積極的なプロモーションを行えます。

改善のコツ:CPAはゆとりを持って考える

より多くの利益を上げるにはCPAの数値を抑える必要がありますが、抑えれば抑えるほどいいというわけではありません。目標CPAを下げすぎるとうまく改善できない場合があります。

たとえば「目標CPA」の数値を限界値よりも大幅に下げ、それをもとに予算を組むと以下のような問題が起こる場合があります。

  • 入札価格が低すぎるためそもそも広告が表示されない
  • 運用目標と実際の成果に開きがありすぎ自動調整やPDCAサイクルが働きづらい

利益を確保するためにも、目標CPAを抑えることは必要です。しかし、それにより狙った成果が出ず逆に利益が下がる結果になってしまうことが起こりえるのです。

目標CPAを定めるときには、ある程度は余裕を持ち、運用上現実的な数値かどうかを考慮しましょう。顧客単価が低すぎるために目標CPAも低くなってしまう場合がありますが、その場合は前述にあるLTVの考え方を用い、より長期的な視点プロモーションを計画する必要があるでしょう。

費用対効果を改善する3つのコツまとめ

CPAは広告施策のあらゆる面で活躍する指標です。広告手法を検討する際、目標CPAから逆算し、最も費用対効果に見合ったものを検討します。また、運用中においても、基本的にはよりCPAが良くなるようにPDCAサイクルを回して改善します。

そして、CPAを活用するには、何よりもまず適切な目標CPAを設定する必要があります。

例えば、Google広告には「目標コンバージョン単価制」という入札方法があります。これは、目標とするCPAに収まる範囲で最大のコンバージョンが獲得できるよう、Googleが機械学習により自動で入札単価などの配信設定を調整するものです。この時、目標CPAの数値が適切でないと、Googleの機械学習がうまく働きません。

適切な目標CPAを見つけるためには、まずは「限界CPA」と「LTV」という観点からビジネスを考える必要があります。あとは少しゆとりを持たせ、現実的な目標CPAを見つけましょう。

“現実的な”という感覚は、カンや経験に依存してしまう部分もあるので、まずは限界CPAから初めて、運用改善の中で目標CPAを見つけていくことも方法の一つです。