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2020年WEBマーケティングトレンドまとめでも紹介しましたが、2020年は動画広告が大きく注目された一年でした。そしてそれは2021年も変わらないでしょう。
そこで今回は、動画広告の基本であるYouTube広告で成果を上げるためのターゲティング方法を紹介します。
動画広告はWebCMと呼ばれるように、TVCMの代わりとしてブランディング目的で利用することもできます。しかし近年注目されているのは、見込み顧客からのアクションを獲得するための動画広告です。
そのためにはターゲティングを駆使し、ニーズを持った見込み顧客に効果的にアプローチする必要があります。
YouTube広告のターゲティング方法を理解し、効果的に活用しましょう。
YouTube広告でターゲティングが重要な理由
YouTubeは全世界で20億人、100カ国80言語に渡り毎日10億時間以上も視聴されています。日本国内だけでも6500万人以上が利用しています。ターゲティングをしなければ、これら全員が配信対象者になります。
こちらは利用者層のデータです。これを日本人のライフラインとなったLINEと比較してみましょう。
年齢・性別・利用率ともに、LINEと似通っていることがわかります。
一方、こちらはInstagramの年齢性別の分布です。Instagramもここ数年で利用者層が広がっていますが、LINEやYouTubeと比べて利用率に大きな偏りがあることがわかります。
つまり、YouTubeは日本人の生活において当たり前に浸透したサービスだということです。視聴される動画もエンターテインメントから美容・ダイエット・学習・音楽など、多岐に渡ります。2020年はコロナウイルス感染拡大の影響でテレビ番組の収録が中断されたため、芸能人も多く参入しました。
そのため、YouTube広告=TVCMのように使われるようになりました。
しかしYouTube広告の魅力は、TVCMのようなブランディング力があることではありません。Google広告を通じて細かなターゲティングや入札設定を行い、PDCAを回し、費用対効果を高めていける点が最大の魅力です。
そのための基礎となるのがターゲティングです。膨大なYouTubeユーザーから自社の見込み顧客を見つけ出し、効率的にアプローチしていきましょう。
YouTube広告で知っておくべき2種類のターゲティング
YouTube広告のターゲティング方法は、基本的にGoogle広告と同じです。なので、非常に細かく多岐に渡ります。
しかしここでは大きな分類として、2つのターゲティング方法を紹介します。
オーディエンスターゲティング
1つ目はオーディエンスターゲティングです。オーディエンスターゲティングとは、ユーザーの年齢性別や興味関心・購買意向などを基にターゲティングする方法です。例えば、自社が30代女性向けの化粧品を販売し、その新商品のプロモーションをYouTubeで行うのであれば、30代女性で美容に興味を持っていたり、スキンケア商品への購買を検討している人をターゲティングすると効果的でしょう。
上記の画像では、アフィニティカテゴリ(興味関心)で「美容通」を選択しています。これは、美容系のサイトを頻繁に訪れていたり、美容に興味関心を抱いている人をターゲティングしています。
もう一つ、購買意向の強いオーディエンスで「スキンケア商品」を選択しています。興味関心との違いが分かりづらいですが、購買意向のほうが直近の行動を基にしたターゲティング項目です。つまり、最近スキンケア商品について検索したり、レビュー動画を見たりした人が対象になります。
他に、リマーケティングもオーディエンスターゲティングの一つです。
画像:YouTube広告のターゲティング例
上記はデフォルト状態で作成されているリマーケティングリストです。もちろん、自身で最適なリマーケティングリストを作成することもできます。
YouTubeチャンネルを運用しているなら、チャンネル閲覧者への配信は積極的に行った方がいいでしょう。その類似ターゲティングも効果的です。
類似ターゲティングとは、基となるターゲティングのユーザーと同じ行動はしていなくても、他の点で似通った興味関心を持っているユーザーを対象にした配信です。チャンネル閲覧者の類似であれば、チャンネルは閲覧していないけれどチャンネル閲覧者と似た行動を取っている、近い興味関心を持っている(つまり自社のチャンネル動画似興味を示してくれる可能性が高い)ユーザーに配信することができます。
コンテンツターゲティング
もう一つのターゲティングは、コンテンツターゲティングです。YouTubeにおけるコンテンツターゲティングとは、広告を配信する動画を指定できるターゲティング方法です。動画を指定する方法はトピックでざっくりしたカテゴリで絞る他、直接動画のURLで指定することもできます。
子ども向けのおもちゃを販売している場合、キッズチャンネルや子育てのノウハウを紹介する動画を見ているユーザーへの配信が効果的かもしれません。
画像:YouTube広告のターゲティング例
YouTube広告のコンテンツターゲティングの一種、プレースメントで「育児」と入力すると、育児に関連する動画やチャンネルが表示されます。これらを指定すれば、その動画を見ているユーザーに広告を配信することができます。
このターゲティング方法は、オーディエンスターゲティングのような曖昧さがありません。オーディエンスターゲティングはユーザーの行動履歴からGoogleが推測しているだけですが、プレースメントを指定すればその動画を見ている人に広告を届けることができます。
ただし、コンテンツターゲティングを利用する場合は注意が必要です。というのも、直接指定したいと思うほど人気の動画は大企業を含め大量の広告主が出稿を競っているため、入札単価が高騰しがちです。上限入札単価を設定した結果、ほとんど表示されなかったということもありえます。
そのため予算や目的にもよりますが、オーディエンスターゲティングを基本にコンテンツターゲティングは細かくテストしながら徐々にボリュームを増やしていくほうが良いでしょう。
YouTube広告で成果を上げるターゲティングのコツ
ここまでYouTube広告のターゲティングの種類を紹介してきました。では実際にどういうターゲティングを行えば成果を上げることができるでしょうか。
予算や目的、なにより商品・サービスによって全く違うので一概には言えませんが、スタンダードな方法をいくつか紹介します。
広い層にフリークエンシーキャップを設定
YouTube広告を初めて出稿する、という場合におすすめのターゲティング方法がアフィニティカテゴリで幅広い層をターゲティングし、フリークエンシーキャップを設けて配信することです。
フリークエンシーキャップとは1ユーザーに対し何回広告を配信するかという設定です。狭いターゲティングに予算を投資した場合、1人のユーザーが何度も同じ動画広告を見てしまうことになります。
印象に残りやすい点が動画広告の魅力ですが、逆に言うと飽きられやすいというデメリットがあります。同じバナー広告が何度も出てもそんなに気になりませんが、同じYouTube広告がインストリームで何度も出たら「またスキップしないと…」「この5秒何度も見たよ…」と思われてしまいます。
そのため動画広告は意外と寿命が短く、数週間程度でどんどん視聴率が落ち、視聴単価が上がっていくということになりやすいのです。
そこでまずはアフィニティカテゴリで潜在層を指定し、フリークエンシーキャップを1〜3回程度に設定して出稿してみましょう。
この状態だと動画広告に飽きられている可能性はないので、動画本来のポテンシャルがわかります。この時に視聴率が低いようであれば、動画クリエイティブの見直しが必要でしょう。
カスタムインテントを有効活用
次に活用したいのがカスタムインテントです。カスタムインテントとは、ユーザーの購買意向を自由に設定する機能です。例えば、この動画を見ている人・こうしたキーワードで検索している人、などを設定できます。
この機能の魅力は、直近の行動に基づいてGoogle広告が機械学習により最適なユーザーをどんどん見つけ出してくれる点です。カスタムアフィニティという機能もありますが、こちらはより長期的な興味関心に基づきます。一方カスタムインテントは直近の行動に基づくため、ユーザーが入れ替わります。広い層にフリークエンシーキャップを付けて配信するのも、飽きられないようにすることが目的の一つですが、こちらも飽きられにくいターゲティングと言えます。
最初からカスタムインテントを作るのではなく、まずは広い層にアフィニティカテゴリで配信してみましょう。すると、どの動画で配信されたか、どの動画で視聴率が高いかといったデータを取ることができます。そうしたデータを基にカスタムインテントを活用すれば、効果的なターゲティングを作ることができます。
一点集中型のプレースメント配信
プレースメント配信は一般的に視聴単価が高くなりやすいため、中小企業におすすめのターゲティングではありません。しかし、効果的な動画クリエイティブがあり、ターゲットに見てもらえたら成果が期待できる、という場合は思い切って高い視聴単価を設定し、配信してみるのもいいでしょう。
ただし、それもいきなり出稿するのではなく、まずアフィニティカテゴリなど広い層に配信し、動画クリエイティブの効果をた確かめ、プレースメント指定をしたい動画がターゲット層とマッチしているかを考えてからやる必要があります。
成果を上げる秘訣はリマーケティング
YouTubeチャンネルを開設し、YouTubeマーケティングを行っている場合は最初からリマーケティングを使っても良いかもしれません。しかし、そうではない場合はまずアフィニティカテゴリやインテントを使った配信を行いましょう。
するとリマーケティングリストが作れるので、それを基に配信を広げていくと効果的です。先述の通りYouTube広告では同じ動画を繰り返し配信すると視聴率が下がり、視聴単価が上がる傾向にあります。そのため、リマーケティングでは別パターンの動画を配信しましょう。
また、リマーケティングの類似配信も成果を伸ばす上で重要です。
リマーケティングとリマーケティングの類似は似た機能ですが、目的が全く違います。
リマーケティングは実際に動画広告を見た人に対し、行動してもらうための追加訴求を行う方法です。一方、リマーケティングの類似は広告でアプローチした人と似ている人、つまりアフィニティカテゴリなどで指定はしていないけれど、近い興味関心や行動傾向を持つ人に配信する方法です。
行動してもらうためのリマーケティングと、オーディエンスターゲティングを更に広げるリマーケティングの類似は違う、ということを把握して活用しましょう。
まとめ
今回はYouTube広告のターゲティングに焦点を当てて紹介しました。どのようにターゲティングすればいいか、少しでもイメージが掴めたら幸いです。
しかし、YouTube広告で最も重要な要素は動画クリエイティブそのものです。最初に広い層へフリークエンシーキャップを付けて配信することを推奨しましたが、その段階で動画クリエイティブの検証をしっかり行いましょう。
動画クリエイティブが良いものであれば、ターゲティングの工夫次第で長期的に数多くの見込み顧客を獲得できる可能性があります。しかし動画クリエイティブの質が低ければ、いくらターゲティングを工夫してもなかなか成果は上りません。
YouTube広告を出稿する際は、広告運用の中身(ターゲティングや入札設定)だけでなく、動画クリエイティブそのもののPDCAサイクルも意識しましょう。