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【Google広告】YouTube広告に新たなセグメント「テレビ画面」が登場

2018年10月16日、Google 広告(旧 AdWords)のデバイスカテゴリに「テレビ画面」が追加されました。
これにより、「モバイル」「タブレット」「パソコン」に加えて、「テレビ画面」に対してもユニークな広告配信設定を行うことができます。

今回は、追加された「テレビ画面」というセグメントについて、その活用方法と、追加されるに至ったユーザー行動の変化を見ていきましょう。

YouTube広告のセグメントをおさらい

YoutubeはGoogleアカウントと紐づいているため、非常に多くのユーザーデータを持っています。そのため、他広告手法と比較しても、高い精度で的確に対象ユーザーに広告を届けることができます。
「動画広告」というブランディング中心のクリエイティブでありながら、多くの企業がダイレクトな成果(CPACVR)を求めて出稿しており、活用の幅はかなり広い広告手法です。

では、改めてYouTube広告のセグメント内容を整理してみましょう。

  • ユーザー属性グループ…広告を表示したいユーザー層の年齢や性別、子供の有無、世帯収入といった大まかな属性を設定できます。
  • 詳しいユーザー属性…大学生、住宅所有者、最近子供が生まれたユーザーなど、共通の特徴を持つユーザー層を設定できます。
  • 動画リマーケティング…動画、TrueView 広告、YouTube チャンネルの操作履歴に基づいて、特定のユーザーに広告を表示できます。リマーケティングリストは再生時間やクリックの有無など、非常に細かく設定することができます。
  • 興味 / 関心…カテゴリからトピックを選択して、そのトピックに関心があるユーザーをターゲットに設定できます。そのユーザーが別のトピックに関連するページにアクセスしているときでも広告を表示できます。

また、興味 / 関心には次の5つの種類があります。

  • アフィニティカテゴリ…関連するトピックにすでに強い関心を持っているユーザーに動画広告を表示して、ブランドの認知度を高めたり購入を促したりすることができます。
  • カスタムアフィニティカテゴリ…カスタムアフィニティカテゴリでは、ブランドに合わせてよりターゲットを絞ったアフィニティカテゴリを作成することができます。カスタムアフィニティカテゴリは、キーワードを指定したり、ターゲットが閲覧しそうなWebサイトのURLを入力することで自由に作成することができます。たとえばランニングシューズを販売している企業がアフィニティカテゴリに用意されている「スポーツファン」ではなく、特定のマラソン支援サイトを指定し「熱心なマラソン愛好者」というカテゴリを作成し、配信したりといったことができます。
  • ライフイベント…引越し、大学卒業、結婚などといったライフイベントが発生するとき、顧客の購買行動やブランドの好みが変化するときがあります。そんなときも、YouTube広告で見込み顧客にアプローチできます。
  • 購買意向の強いユーザー層…広告主様が提供するサービスや商品に似たものを調べていたり、購入しようと積極的に考えていたりするユーザーを見つけるには、このユーザーリストを選択します。
  • カスタムインテントオーディエンス…カスタムインテントオーディエンスは、ユーザーの最近の Google 検索で使用した検索語句に基づいて、セグメントすることができます。キーワードによっては顕在層にアプローチできるため、より成果を重視する場合に効果的です。
  • コンテンツターゲティング…コンテンツターゲティングを使うと、広告を表示させる場所を指定することができます。このターゲティングには次の4種類があります。
  • プレースメント…YouTube チャンネル、YouTube 動画、GDNのWebサイトやアプリをプレーメントとして指定できます。たとえば、ニーズが近いWebサイトや、近いジャンルの紹介動画、チャンネルなどをターゲットにできます。
  • トピック…YouTube と Google ディスプレイ ネットワーク上の特定のトピックを動画広告のターゲットに指定できます。トピックターゲティングを使用すると、選択したトピックに関連するさまざまな動画、チャンネル、ウェブサイトに広告を表示できます。たとえば、「自動車」トピックをターゲットに指定すると、自動車に関する動画を視聴しているユーザーに広告が表示されます。
  • キーワード…ユーザーが関心を持ちそうなサイト、YouTube動画、YouTubeチャンネルをキーワード(単語やフレーズ)で指定することができます。
  • デバイス…ユーザーが使用しているデバイス(パソコン、スマートフォン、モバイル端末や、Chromecast などテレビ画面を使用する端末)を指定することができます。

YouTube広告に限らず、Google広告の強みは、圧倒的なデータ量を使ったセグメントの豊富さです。
これだけのセグメントから自社に最適な設定を見つけることは簡単ではありませんが、他の動画広告やSNS広告、DSP広告よりも高い費用対効果が期待できます。

今回追加された「テレビ画面」は、最後の「デバイス」の種類にあたります。これだけある中で小さな変更のように感じますが、このアップデートからはユーザー行動の変化がうかがえます。

セグメントに「テレビ画面」が追加された背景

テレビ画面を使用する端末セグメントは2018年10月16日に追加されたばかりのセグメントです。
スマートフォンの登場から、テレビの影響力は下がり続けてきました。確かに、テレビでバラエティを見る代わりに、スマートフォンでYouTubeやライブ配信、SNSを見ているユーザーは増え続けています。
一方で、スマートフォンの画面をテレビに転送したり、クロームキャストやFire TVなどのストリーミング端末が普及したりと、テレビでコンテンツを愉しむユーザーも増加しました。
確かに「テレビ番組」や「テレビCM」の影響力は低下しましたが、今でも多くの若者の家にテレビは置かれており、「テレビというデバイス」の影響力が低下したわけではありません

「テレビ番組離れ」は進んでも「テレビ離れ」は進んでいない?

ストリーミング端末は、有名なものだけでもAmazonの「Fire TV Stick」「Fire TV」、Googleの「Chromecast」「Chromecast Ultra」、Appleの「Apple TV」「Apple TV 4K」などがあります。
世界のビジネスのトップを走るこれらの企業が相次いで参入しているのは、スマートフォン向けに普及したサービスをテレビ画面で見るというニーズが強く、将来的に拡大していくということです。
また、NetflixやHuluなど、テレビ向けのコンテンツをPC、スマートフォン向けに提供して成功したサービスが増えてきていることも要因の一つです。2017年には、Netflixの登録者数が5090万人を突破し、主要ケーブルテレビの契約者数を上回ったことも話題になりました。

野村総合研究所が発行する「ITナビゲーター 2019年版」では、「ストリーミングプレイヤー(ストリーミング端末)の保有世帯数は、2017年で約570万端末である。これが、2024年度には約1300万まで拡大すると予測される」としています。

また、Googleの発表によると、YouTubeの一日の総再生時間のうち、1億8千万時間以上が「テレビ画面」で再生されているとしています。

「消費者の行動が多様化する中で、これは広告主にとってお茶の間のユーザーにデジタル動画を使ってリーチする絶好の機会になります。YouTube のターゲット設定と測定の対象にテレビ画面端末が追加されれば、お客様はユーザーがテレビ画面を見ている様子を把握して、くつろいで視聴しているユーザーにアプローチできるようになります。」
David George、CEO、Pixability

さらに興味深いデータとして、アメリカの調査会社「eMarketer」の発表があります。この調査によると、2017年のコードカッター(従来のテレビサービスを解約したテレビ保有者) は、2,200万人に上りました。

これは、2016年から43.6%も増加しています。「コードカッター」という言葉が登場した2010年には80万人ほどだったことからも、さらに増加すると考えられます。

このデータからわかることは、「テレビはテレビ番組を見るものではない」というユーザー行動の変化です。

YouTube広告に「テレビ画面」が追加されたのも、こうしたユーザー行動の変化が背景にあります。

「テレビ画面」の活用方法

現在、Web広告の主要デバイスはスマートフォンですが、テレビとは使用状況が大きく異なります。
ユーザーがテレビでYouTubeを見ている状況を考え、Googleが持つ様々なセグメントを活用し、適切なクリエイティブをユーザーに届ける必要があります。

テレビでYouTubeを見ているシーンとして、次のような前提があります

  • 家で見ることが前提である
  • プライベートな空間・時間である
  • 一人で見るとは限らない
  • 大画面で音声が再生される
  • テレビだけに集中しているとは限らない(スマホを操作しながら、食事をしながら、本を読みながら)

どれも広告配信、マーケティング施策に大きな影響を与えます。
例えば、スマートフォンでYouTubeを見ている場合、その画面に注目しているため広告は確実に目に入ります。しかし、テレビでは本を読んだり食事をしたりしている可能性があるため、見逃される場合があります。テレビに配信する広告では、より「音声」が重要になってくるでしょう。

向いている商品・サービスも従来のYouTube広告とは異なります。上記のような特徴から、次のように家族で見ている層への訴求や家で使う商品などとの相性が良いと考えられます。

  • 家族向けにレジャー施設や映画に関する広告
  • 在宅時に需要があるフードデリバリーに関する広告
  • 家具に関する広告

こうした違いがあるため、従来のYouTube広告の延長線上というよりも、「新しい形のテレビCM」というイメージで利用するといいかもしれません。
テレビCMを実施すると、時間も費用も膨大なものになってしまいます。しかし、Youtube広告のセグメントを上手く活用することで、簡単に安価でテレビCMに近い効果が期待できます。

追加セグメントの注意点

セグメントが増えることは、セグメント精度の向上、より細かな入札調整など、広告配信の精度の向上に繋がります。
しかし、新しいセグメントを試す場合にはいくつか注意点が必要です。

デメリット① セグメント精度の低下

セグメントが増えるメリットと矛盾しますが、「テレビ画面」を利用することにより、セグメント精度が落ちる可能性があります。
テレビ画面でYouTubeを使っている場合、クロームキャストなどのストリーミング端末を使用したり、スマートフォンの画面を転送したりすると考えられます。
Google広告では、ユーザーの端末、Googleアカウントの情報を紐づいたセグメントが可能ですが、「テレビ画面」ではアカウント情報と使用者が異なる場合があります。

例えば、一つの端末を複数人が使用する場合です。
家族などで利用する場合、端末の持ち主は女性(母親)で、視聴者が男性(父親)や10代男女(子供)の場合、セグメントの不一致が発生します。
この例のように、セグメント内容によっては接続端末の持ち主の属性に依存した広告配信になることを注意する必要があります。

デメリット② リーチ数の低下

また、ストリーミング端末が普及してきたとはいえ、「テレビ画面」をセグメントすることで、対象ユーザーが減り、リーチ数が低下してしまう可能性もあります。
「ITナビゲーター 2019年版」の発表にあるように、日本国内のストリーミング端末は約570万といわれています。2024年度には約1300万まで拡大する見込みがあるとはいえ、月間6200万人が利用するYouTube全体と比べるとまだまだ一部です。

どのセグメント項目にも言えることですが、セグメントをし過ぎると対象ユーザーが少なくなり、配信の単価が上がったり、配信自体がされなかったりといったリスクがあります。
セグメントを利用する際は、想定リーチ数などを確認し、必要な成果を達成できるだけの母数があることを考えましょう。

まとめ

今回はYouTube広告に追加された「テレビ画面」というセグメントを中心に紹介しました。
正直、まだまだ利用者が限られている「テレビ画面」を活用する機会は少ないかもしれません。しかし、追加されるに至った背景にある、ストリーミング端末の普及や利用シーン、利用デバイスの多様化は他の広告手法やセグメントを利用する際にも意識すべきポイントです。

現在、YouTube広告を利用している、またはテレビCMを利用しているのであれば、ぜひ「テレビ画面」の活用を検討してみてください。
リーチが限られるなどの課題もありますが、テレビCMよりも高い精度で狙った層にアプローチできることは間違いないでしょう。

様々なセグメントによって広告精度が上がる一方、配信数が限られてしまったり、本来の見込み客を逃してしまったりといったリスクもあります。
「テレビ画面」に限らず、セグメントはまずは広く、それから徐々に絞っていくイメージで活用したほうがいいでしょう。