インターネット広告

インバウンドマーケティングの基礎|インバウンドマーケティングに適したWebサイトを考える【第一回】

これから4回にわたって「インバウンドマーケティングに適したWebサイトを考える」という趣旨のシリーズ記事をお送りします。
HubSpotとインバウンドマーケティング」というシリーズ記事では、全10回にわたってHubSpotを活用したインバウンドマーケティングの実現というテーマで、主に機能や戦略について紹介しています。

「インバウンドマーケティングに適したWebサイトを考える」では、「HubSpotとインバウンドマーケティング」であまり触れられなかった「Webサイト」がテーマです。

Webサイトは消費者とコミュニケーションをとる重要な接点です。SNSなどのコミュニケーションツールが普及した今も、Webサイトの重要性は変わりません。

  • 【第一回】インバウンドマーケティングの基礎
  • 【第二回】インバウンドマーケティングに必要なWebサイトの機能
  • 【第三回】インバウンドマーケティングに適したCMS
  • 【第四回】インバウンドマーケティングを実現するWebサイトのコンセプト

第一回の「インバウンドマーケティングの基礎」では、そもそもインバウンドマーケティングとは何か、その中でWebサイトがどういう立ち位置なのかを紹介します。

インバウンドマーケティングとは

「マーケティング」という言葉が登場してから100年以上たちました。その歴史のほとんどにおいて重要視されていたのが「企業から消費者にどのようにメッセージを伝えるか」です。
この時、重要な手法は主に広告です。チラシや新聞、雑誌広告に始まり、テレビCMやラジオCMなどのマス広告、この20年ほどでテレビCMの市場規模を超えたWeb広告等は、基本的に「企業から消費者にメッセージを伝える」ために利用されています。
これらの手法は「アウトバウンド(=外に出す)マーケティング」と呼ばれています。

しかし、ユーザーニーズが多様化し、無数の商品が日々誕生する現代では、アウトバウンドマーケティングの手法が通用しづらくなってきました。
人が一日に目にする広告は3,000件を超えるといわれており、その中で記憶に残るのは3つしかないという意見もあります。広告予算を使い、多くのユーザーにアプローチすれば成果がでる、という時代ではなくなってきたのです。

そんな中、HubSpot社のブライアン・ハリガン氏が2006年に「インバウンドマーケティング」という言葉を提唱しました。
ブライアン・ハリガン氏は、インバウンドマーケティングを「一般消費者を顧客に育て上げていくための、全てのステップやツール、ライフサイクルの総称」と定義しています。

インバウンドには「内に取り込む」という意味があり、アウトバウンドマーケティングとは逆の手法を取ります。
広告で一方的にアプローチするのではなく、ユーザーが知りたい情報をブログ等で提供する。一方的にテレアポを行うのではなく、ユーザーのニーズが高まったタイミングで案内することが中心になります。


画像:リードプラス

なぜアウトバウンドマーケティングが通用しなくなったのか?

個人的な話になりますが、半年ほど前に高額(40万円ほど)な買い物をしました。40万円というと、正直かなりの額です。では、どういった経緯で商品を認知し、検討し、購入を決断したのか見てみましょう。

STEP①:商品の認知
購入したのは楽器の機材です。別の用事で楽器屋に行ったとき、たまたまその機材が目に入りました。その時は気にしていなかったのですが、何となく面白そうだなと思いパンフレットだけ持って帰りました。
多くの方がそうであるようにそのパンフレットは持って帰った後、見ることもなく捨てています。
何はともあれ、この時商品を認知したのです。

STEP②:ニーズの発生
高い機材ですし、特別欲しいとも思っていなかったのですっかり忘れていたのですが、しばらくして楽器をやっている友人がその機材を購入したことをTwitterで知りました。
ただ知らない機材を購入しただけであれば見逃したでしょうが、一度認知しているため「あ、あれか」と思います。
その次に取った行動はGoogleとYouTubeでの「検索」です。

STEP③:ニーズの高まり
幸いその機材を利用している人は多いようで、YouTubeで調べたらいろいろなレビューがありました。その動画を見ているうちに、非常に優れた機材だとわかり、ニーズがどんどん高まっていきます。類似機材との比較動画もたくさんあったので、口コミや比較サイトを見に行く手間はありませんでした。
その機材のブランドサイトへ行くと、有名なミュージシャンも使っていることや、開発秘話や機能の詳細を知りました。

STEP④:購入
最終的にはその機材を購入した友人に電話で相談し、購入することにしました。購入したのは最初にその機材を見つけた楽器屋です。
その機材には様々なアクセサリがあるのですが、そうしたものはブランドサイトで購入しています。

検討期間は約1ヵ月、広告は一度も経由していません。この例はインバウンドマーケティングをうまくやっているという例ではありません(友人が購入するという出来事がなければそのまま忘れていたと思います)。しかし、消費者自らが発見し、ニーズを高めていき購入するというインバウンドマーケティングの流れをたどっています。

この図はニールセン社が行ったメディア別の購買に関する関与影響度の調査です。
上位3つに「知人からの推薦」「ブランドのWebサイト」「オンライン上のクチコミ」があります。私が購入に至った要因である「友人が購入した」「YouTubeでレビューを見た」「ブランドのWebサイトで詳細を見た」の3つがすべて当てはまります。

そのほか様々な広告手法(アウトバウンドマーケティング)でも、30~60%程度の関与影響度があることがわかります。
しかし、私の実体験にもあるように、購買行動に大きな影響を与えるのは「知人からの推薦」「ブランドのWebサイト」「オンライン上のクチコミ」であり、インバウンドマーケティングの主題となる部分です。

アウトバウンドマーケティングが通用しなくなってきた理由は、SNSやブログが発達したことで、消費者自らが積極的に情報収集できるようになったためです。
ほとんどの消費者は自分が目にするコンテンツが広告かどうかを知っています。その情報が事実かどうかをSNSや口コミサイトで調べたらすぐにわかることも知っています。
広告は認知を得るきっかけにはなりますが、ニーズを高め、検討段階で勝ち残るうえではあまり役に立ちません。

インバウンドマーケティングが推奨される理由

アウトバウンドマーケティングが通用しなくなった理由は、消費者が自ら情報を得るようになったからです。企業から与えられた情報よりも調べた情報、知人の情報、同じ立場の人の情報に影響されるのは当然のことでしょう。

ではなぜインバウンドマーケティングが推奨されるのか。
それはもちろん、消費者のニーズを高め購入に至るうえで有効だからですが、それ以外にも理由があります。


現代は売り手も買い手も情報過多の時代です。多くの消費者はあらゆるところから売り込みをかけられてうんざりしています。Webサイトを見ていても、アプリを使っていても、SNSで友達とコミュニケーションを取っても、いつも広告が目に入ります。自宅のポストにはチラシが溢れ、職場ではコールドセールスに対応しなければなりません。メールも必要なものの数倍、よくわからないメルマガが届いているのではないでしょうか。
もっとも、多くのマーケティング担当者、営業担当者は少しでも自社の売上を伸ばすために必死に施策を展開しているため、それを責めることはできません。

インバウンドマーケティングは「内に取り込む」手法です。そのため、広告のように消費者が他のニーズをもってコンテンツに触れている際、無理やり阻害するといったことがありません。
ユーザーが必要とする情報を用意し、それが見つかるように工夫する。そしてユーザーのニーズが高まったときにようやく電話やメールといったプッシュ施策を取ります。

こうした特徴があるため、インバウンドマーケティングは「愛されるマーケティング」とも呼ばれます。


あなたの会社において、営業はどのように売り上げを上げているでしょうか。
テレアポリストを作成し、一日中電話をかけ、アポイントが取れた数件を追いかける。これが一般的な営業スタイルです。

しかし、どう見てもこれは効率的ではありません。インバウンドマーケティングを取り入れれば、営業の仕事は次のようになります。

  • マーケティングチームから質の高いリードが渡される(この時すでにリードは商品に対してしっかり理解し、十分にニーズが高まり、自社のことを信頼し、もちろん名前や電話番号といった情報がわかっている)
  • 営業はクロージングを行い、請求書等のやり取りをする

インバウンドマーケティングでは、リードジェネレーション(リードを生み出す)、リードナーチャリング(リードを育成する)、リードクオリフィケーション(リードの選別)をマーケティングチームが担当します。
マーケティングチームと営業チームの連携など、組織内の改革が必要かもしれませんが、営業活動が最適化されることは間違いありません。

インバウンドマーケティングのコンサルティングやMA導入を行うリードプラスに、次のような記載がありました。

インバウンドマーケティングの営業スタイルは「アウトバウンドのスタイルでは絶対に会えないような方々に簡単に会え、しかも初めてお会いしたにもかかわらず数年前から知り合いだったかのようなところから商談が始まります。そして、その商談の内容も核心をついている」という特徴があります。

インバウンドマーケティングにおけるWebサイトの役割

ここまでインバウンドマーケティングとは何か、どんな効果があるのかを簡単に紹介してきました。
Grabにはインバウンドマーケティングに関連する記事が多くあります。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

ここからこの連載のテーマである「インバウンドマーケティングに適したWebサイト」を紹介します。ここでいうWebサイトとはいわゆる「企業のオフィシャルサイト」に限らず、ブログサイト、サービスサイト、求人サイトなど、自社が管理しているWebサイト全般を表します。
二回目以降で必要な機能やCMS、コンセプトについてお話しますので、今回はインバウンドマーケティングにおけるWebサイトの役割を紹介します。

まず、次の図にあるようにWebサイトは非常に信頼性の高い情報源だということが前提にあります。

Webサイトは消費者と接点を持ちデータを得る場所

インバウンドマーケティングという新しい手法においても、施策の軸となるのはWebサイトです。
その最大の理由は、消費者はあらゆるシーンでWebサイトを訪問されることと、訪問されたらデータが計測できることです。

インバウンドマーケティングは広告のように特定のチャネルからの集客ばかりではありません。広告を使うこともあると思いますが、TwitterやFacebook、Instagram、YouTube、口コミサイトなど、様々なチャネルから消費者に「発見」されます。
その時、情報のハブとなるのがWebサイトです。Twitterで発見した人がWebサイトを訪問し、よく使うSNSであるFacebookで「いいね」した、といった行動はWebサイトがハブになることで実現されます。

また、より重要なこととしてWebサイトに訪問されたらデータが計測でき、解析できるということがあります。
InstagramやTwitterにも解析機能はありますが、お世辞にも顧客行動やインサイトがよくわかるものとは言えません。
しかし、自社のWebサイトに関しては基本的なアクセス解析で経路や行動、ユーザーのデモグラフィック情報を得ることができます。

インバウンドマーケティングでは広告のように積極的にアクセスを集めるわけではありません。だからこそ、接触したユーザー一人ひとりを深く知り、最適な施策を展開する必要があります。

Webサイトは消費者のニーズにコンテンツで応える場所

インバウンドマーケティングで重要になるのは、集客戦略やツール選定ではなく“コンテンツ”です。消費者はあらゆるニーズをもって情報を検索します。そのニーズに応えるのがコンテンツであり、そのほかの要素はコンテンツを効果的に見せる、発見しやすくするものです。
大前提として、魅力的なコンテンツがなければインバウンドマーケティングで大きな成果を出すことは難しいです。そして、そのコンテンツを提供するメインの場所がWebサイトです。

TwitterやInstagramでもコンテンツを提供できますが、それぞれのメディアによる制限があります。また、多くのSNSは性質上、情報の賞味期限があり2~3日後には情報がないも同然になります。

Grabも弊社のインバウンドマーケティングを実現する重要なWebサイトですが、アクセスの半数程度は半年以上前に書いた記事からきています。もちろん新しい記事もアクセスを集めているため、記事を更新すればするだけアクセス数が伸び、質の高いリードがより多く獲得できるようになります。

Webサイトは完全に自分たちでコントロールできる場所

最後に、これも非常に重要なことですが、Webサイトは完全に自社のコントロール下にあります。
Twitterで140文字以上投稿したいと思ってもできませんし、Instagramで商品ページのリンクを貼ろうと思ってもできません。
しかし、自社のWebサイトにはそういった制限がなく、自社のコンテンツを提供するうえでベストな形式をとることができます。

また、訪問したリードの確度や興味の内容によって表示内容を変えるスマートコンテンツや、訪問者をリード化するポップアップフォームなども利用できます。

まとめ|インバウンドマーケティングの基礎

今回は「インバウンドマーケティングに適したWebサイトを考える」第一回としてインバウンドマーケティングの基礎的な知識と、Webサイトの役割について紹介しました。

インバウンドマーケティングにおいて、Webサイトは一つの要素でしかありません。本当に効果を出すには、SNSなどの他メディアも活用する必要があるでしょう。
しかし、Webサイトが各施策の中心になり、リード獲得から育成までを担うことは間違いありません。
次回はインバウンドマーケティングのWebサイトに必要な機能を紹介します。インバウンドマーケティングでは、従来のオフィシャルサイトと異なり、適切なコンテンツを提供する機能、リードを獲得する機能が必要です。

  • 【第一回】インバウンドマーケティングの基礎
  • 【第二回】インバウンドマーケティングに必要なWebサイトの機能
  • 【第三回】インバウンドマーケティングに適したCMS
  • 【第四回】インバウンドマーケティングを実現するWebサイトのコンセプト